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地元作家の大作身近に|石巻市和渕・鈴寛ギャラリー
地域に根差した美術館
石巻圏域ゆかりの作家の作品を展示する石巻市和渕の「鈴寛ギャラリー」では、6月1日から第1ギャラリーの常設展示を入れ替える。16人の作品を季節などに合わせて厳選し、20点近く入れ替え。石巻市美術展など大規模な展示機会でしか見られない100号サイズの大作も心行くまで堪能できる。
鈴寛ギャラリーは和渕出身で仙台市在住の歯科医、鈴木征三郎さん(83)が「父寛一が描いた作品のみならず、地元出身者やゆかりのある画家らの作品を披露する場を設け、芸術文化を身近に感じてほしい」と、令和4年に開いた私設の展示場だ。
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敷地内には、築100年以上の蔵を改修した第1ギャラリー、第2ギャラリー、寛一さんの常設展示エリアのほか、美しい庭園や家屋内にも書や屏風画などが飾られている。
第2ギャラリーに飾られた旧河北町出身で仙台市在住の菊地禮蔵さんの作品「春宵一刻値千金」は目玉。縦2㍍、横5・4㍍で、月夜に照らされた夜桜を描いた大作。石巻市水明北の彫刻家、佐々木巌さんの彫金、和渕出身の彫刻家星真子さんのブロンズ像も並ぶ。
定期で常設展示入れ替え
今回作品の入れ替えの中心となるのが、第1ギャラリー。東城照夫さんや尾形たき子さん、柏谷佳代子さん、柴田滋紀さんら16人から夏を感じられる絵画を選んだ。顧問の佐々木洋さん(81)は「普段はお目にかかれない地元ゆかりの方々の作品を無料で見られる。2カ月に1度の頻度で入れ替え予定なので、作者の思いや季節を感じてもらえれば」と話していた。今回の展示作品は7月28日まで。
観覧は土日の午前10時―午後4時だが、事前連絡があれば平日開館もする。問合せは、鈴木さん(090―4048―7884)まで。
運営スタッフ高齢化 守ろう〝おらほのギャラリー〟
鈴寛ギャラリーを管理、運営するスタッフは館長の庄司憲二さん(77)ら3人。全員75歳以上で高齢化が進む。地元に根付いたギャラリーを維持していくには、庭園の手入れや作品の入れ替え作業など役割が多く、新たな世代の協力が必要となっている。
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石巻圏域には公設の美術館がなく、作品を展示する場所は貸し出されているものの大半が有料。せっかくの美術作品も市民が目に触れる機会から遠のきがちだ。
庭園管理、作品展示ボラ募る
こうした状況を打開したいとの思いから始まったのが、この鈴寛ギャラリー。観覧はもちろん、展示も無料とし、「おらほの美術館・鈴寛ギャラリー」を掲げて運営。近隣高校美術部の作品展や小物づくりワークショップも開き、文化振興の拠点となっている。
佐々木顧問は「私たちの思いに賛同し、管理運営、庭園の手入れや作品入れ替えなどに協力をいただけるボランティアを探している。発表の場、気軽な観覧の場を地域から絶やさぬようお手伝いいただければ」と呼び掛けていた。
【横井康彦】
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