7時間で佐須浜→田代島 14Km完泳 海の男は〝鉄人〟に 末永さん「鎮魂込め最後まで」
震災犠牲者への鎮魂の祈りを込め、石巻市渡波の佐須浜から田代島まで遠泳に挑んだ同市万石町の漁師、末永典弘さん(60)が無事完泳した。海水温が21度とこの時期では低い過酷な状況での挑戦。足がつるなどのトラブルもあったが、7時間かけて約14キロを泳ぎ切った。
趣味でトライアスロンを10年以上続けてきた〝鉄人〟の末永さんは、ウェットスーツに身を包み、午前8時過ぎに佐須浜漁港の岸壁から出発。しかし、出だしから足の指などがつるトラブルに見舞われた。「指がつるのは海中で何とかなるが、太ももがつったときはどうにもならず、一時並走する船上に上がって対処した」と話した。
末永さんはゆったりとしたクロールで泳ぎ続け、4キロほどで体が慣れ始めた後は順調に進むことができたという。中間地点の荻浜沖で風向きが変わり、波も高かったが、なんとか乗り越えた。
1時間おきに5分ほどの休憩も挟んだ。並走する漁船からつるされた脚立をつかみ、体は海に入ったまま水分補給や食事でスタミナを回復させた。ゴールとなる田代島北端の二鬼城埼灯台前には午後3時ごろに到着。砂浜に上陸すると、応援してくれた仲間たちとともに達成感に包まれた。
その後、漁船で佐須浜漁港に戻った末永さん。取材に「鎮魂の意味を込めた遠泳だったので最後までやり遂げなければならないという決意だった。仲間の応援や協力のおかげでゴールできた」と笑顔を見せた。
トライアスロン歴35年で大先輩の遠藤勇太郎さん(80)=同市渡波=も前半5キロ、終盤2キロの計7キロをともに泳ぎ、力泳する末永さんを励ました。「私も31年前に万石浦から田代島まで泳いだ。後輩が達成したことに敬意を表したい」と喜んでいた。【渡邊裕紀】
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