中学のときの理科の先生
中学生になる。いちばん近所だった女バスの女の子と確実にグループが分かれる。
学校の図書館に『スクールカースト』みたいな新書がどこの棚にあったか今も鮮明に覚えている。中身は知らないし借りたのかどうかも覚えていないがその背表紙を何度も見ていた。
いじめられたことはない。不登校になったわけでもない。でも、あの雰囲気とか空気に馴染めない感覚が染み付いたままもうすぐ23になる。
中学二年生のときに来た理科の先生。太っていて、髪の毛は薄く、目を開いているのか分からない。ついでに授業でも何を言っているのか分からない。クラスのみんなが真似をして揶揄する。夏の日差しが強い日、ついに授業中に鏡か何か金属製の文房具かで日光を先生の頭へ反射させて頭に光を当てていた。
その生徒は後に生徒会長になる。
他の先生も当の先生も、学年の生徒もみんな分かっている。その先生は勝手に下に見られていた。結婚しているのかとか、詮索が暴力的なのにまだそれは無邪気だと思い込んでいた。
ある日、国語の先生が理科の先生について話した。職員室ではカントリーマアムを分けてくれることが多々あると。それまた生徒間でカントリーマアム王子と揶揄された。
今になって、その話をしてくれた国語の先生に勝手に感謝する。今更理科の先生に謝りたくなる。謝っても自分がスッキリするだけと分かっている。私は確実に揶揄される側だと昔からどこかで気づいていた。揶揄される側でもお菓子のやり取りをする。それは今後の安心材料として勝手に燃やしている。
大学を卒業してもついに恋人ができなかった。美人にはならなかった。仕事はできず、表参道や丸の内にいるわけでもなく、SNSに載せるネタもない。でも、この前シュークリームとレモンケーキを複数人分買って分けて食べた。
十分に美味しい。