むくげについて①

初めまして。むくげと申します。
仕事は産婦人科医。趣味は読書、美術鑑賞、知識をインプットすること、食べること、そして夫です。noteでは、私の仕事である、産婦人科関連の情報発信を軸に、私の趣味の読書や美術鑑賞、知識のアウトプットなど交えてお話できたらと思います。

私がnoteをはじめたいちばんの理由は、世の中のすべての人に、女性のからだについて理解してほしいと思ったからです。
産婦人科というと、受診にハードルを感じる方が多いと思います。学生時代の私もそのうちのひとりでした。内診台に上がるのは不安だし、見えない場所でデリケートな部分を触られるのは怖い。診察の器械を入れられると痛いし不快。そもそも産婦人科というと、妊娠したときか性病を持っている人しか受診しないのではないか。。。
しかし、産婦人科医になって思うことは、何もない人こそ、産婦人科を受診してほしい、ということです。産婦人科ほど元気な女性に身近な診療科はないのではないかと思っています。例えば、毎月苦しめられている月経痛や、生理前後の気分の波、出血量の多さ。困っている場合は、産婦人科に受診してみてください。何が原因で症状が出ているのかにもよりますが、たいていは薬を使うだけでかなり楽になります。
また、子宮頸がんという癌は、性交渉によるウイルス感染によって発症しますが、比較的簡単な検査で前がん病変(がんの前の段階)をみつけて治療することができます。子宮頸がんは30~40代と、妊娠可能な年齢で発症する方も多く、治療により妊孕性(妊娠する能力)が温存できないこともあります(進み具合や、病型にもよります)。最近やっと日本でもワクチン接種が勧奨(国によって奨励されること)となりましたが、日本ではまだまだ普及していません。前述の通り、比較的簡単な検査で前がん病変を発見できるため、20歳以降は2年に1回がん検診が推奨されています。
ずっと仕事を頑張ってきて、40歳になって結婚したらブライダルチェックで子宮筋腫が見つかり、手術が必要と言われ、紹介された方もいます。子宮筋腫の手術は、術後3か月~半年の避妊が必要なケースが多いですが、40歳ともなると、不妊治療をしたとしてもなかなか妊娠に至ることはないので、半年のロスはとても大きいです。
このような例を経験すると、何も症状がなくても、若いうちから検診などを受けて、産婦人科を活用してほしいな、と思います。
医者になる前、自分が常々感じていたのは、どのような症状が出たら病院に行けばいいのかわからない、ということでした。これは患者さんからもたびたび耳にします。産婦人科でわかることを知ってもらって、産婦人科受診の垣根を低くしたい、というのが私の願いです。
ひとりでも多くの人に届いて、私の経験や知識がそのひとの人生に生かされますように。

いいなと思ったら応援しよう!