産婦人科専門医試験について(2024年版)
当時自分が知りたかったことについてまとめておきます。少しでも参考になればうれしいです。もし参考になれば、いいね!したり、ほかの記事を読んで感想をいただければ嬉しいです。(お手柔らかにお願いします)
・レポートについて
専攻医3年目の3月までにすべて記録。研修施設の指導医の承認を得た後、都道府県ごとのブロックで添削される(原則は専攻医4年目の4月?に在籍していた施設のある都道府県で添削されるが、例外もあります)。
都道府県によって厳しさはまちまち。厳しい都道府県に当たってしまった場合は、たくさんダメ出しをされて、突き返されることも。5月中頃がレポートの最終締め切りなので、症例のカルテを見に往復する羽目に。なるべく往復しやすい施設でレポートを書くのが吉。私の受験した都道府県では全部のレポートになるべく画像を添付しなければならず苦労しました。
因みに私は周産期のレポートに異所性妊娠を書いて、試験当日に産科管理症例に変更を指示され(後述)、7月にレポートを作り直した。要項では異所性妊娠は周産期として扱うと記載されているのに・・・。4つのレポートについては、各分野の代表疾患を書くのがいいと思います。
・試験勉強について
専攻医4年目の4月からゆるりと始めました。私は過去問(金原出版のホームページから、売っている年度分だけ購入 3周くらい)→必修知識を読む(1周)→ガイドライン(1周)を読む、という感じで勉強しました。
受験してから振り返ると、過去問を解いているとみえてくる頻出分野があるので、そこを重点的に勉強した方がいい!もし自分がもう一度勉強するなら、過去問(全問正解するまで)→過去問研究(過去問の問題に関連する部分を深堀り)→ガイドラインのなかで、新しく追加された知識や、変更された箇所を覚える(下線部)→時間があれば病理を勉強
※覚えている範囲で頻出分野・2025年のヤマ
・医の倫理系は毎年まだ出ていない部分が出る
・前壁付着の癒着胎盤のエコー所見(毎年形を変えて出てくる)
・卵胞発育→排卵→妊娠or月経の過程におけるホルモン動態(必修知識で必ず勉強すること)
・絨毛癌スコア(細かい部分は覚えなくて大丈夫 1つ満たすだけで臨床的絨毛癌の診断になる項目を抑える)・産科医療補償制度の対象や制度設計について
・不妊治療関連(2024年は基礎知識を踏まえて考えさせる問題が多かった。2025年もそのトレンドは続くような気がする。個人的には排卵誘発剤の選択について細かく聞かれそう
・脂質異常症や骨粗しょう症の治療方針について
※普段の外来であまり扱わない分野だが、しっかり勉強しておいてね!という学会からのメッセージを感じる。2025年は骨粗しょう症の薬剤選択について(検査値をみて骨吸収型か骨破壊型か把握し、併存症を考慮して治療薬を選ばせる)が出そう(これまで出題されていないが薬剤選択について必修知識に詳しく載っている、2024年には初めて問題文に骨吸収マーカーだか骨破壊マーカーだかが記載されていた)
・腟癌/外陰癌は範囲が狭いくせに1問ずつ必ず出題されているので点数の取りどころ
・Turner症候群についても手を変え品を変え必ず1問は出題されるので、ガイドラインのTurner症候群のページを読み込む。
・2024年では経口中絶薬についてはみんな間違えたと思うので、もう一回出題されてもおかしくない。
・婦人科病理→治療法を答えさせる、は頻出。余裕があれば主要組織型だけでも病理を勉強しておくとよい。
・遺伝性腫瘍についても数問出るので、勉強しておいた方がよい。
※※受験して感じたことは、過去問は受験者をふるいにかけるのではなく、来年以降の受験者に、「君たち、このあたりの分野はふだんあまり勉強していないと思うけど、専門医を目指すなら勉強して、日常診療に生かしてね!」というメッセージを感じる。(遺伝性腫瘍、女性ヘルスケア、不妊治療分野では顕著。)一方で、毎年似たような問題ばかりの分野もある。出題者のメッセージを意識しながら勉強すると点数を得点しやすい印象。多分新出でわからない問題が出たとしても、過去問の研究+ヤマの勉強で合格点が取れると思う。因みに自分の体感得点は6割程度。(答えは渡されないので、真相はわからない)
2日目の面接
試験会場は東京(?)と大阪の2か所。東日本か西日本かで決まる。遠い都道府県から来たグループから順に受ける(日曜中に帰れるように)。都道府県の中でも辺鄙なところの病院勤務だと、遠いのに遅い時間の受験になる。
同じ集合時間の人を(確か)4グループに分け、1グループ目から順番に面接が始まるので、うっかり4グループ目に当たると面接までの待ち時間がかなり長くなる。待機中はスマホの電源をオフにする必要があるため、なにか持っていかないとかなり暇。みんな勉強しているので、勉強用具を持っていくのが吉。鉛筆を使う場面があるので、筆記用具を持っていくこと。
時間になると、婦人科・産科・内分泌・ヘルスケアの症例がひとつずつ書かれた紙が渡され、症例ごとに模擬ICを行うことになので
例)
周産期:妊娠初期、MD twin。悪阻もある。今後の治療につき説明。
腫瘍:腹水貯留、卵巣癌ⅢC期と診断。CTにて播種あり。今後の治療につきIC。
内分泌:更年期障害で受診。所見など記載されている。治療法につきIC。
ヘルスケア:骨盤臓器脱、膀胱瘤あり。既往にDM。今後の治療につきIC。
ちなみに問題は人によって違う。確か20分与えられるので、別室で20分間症例の紙を読み、何を話すか考える。その後面接の部屋に案内され、模擬ICを行う。ホワイトボードがあり、説明の時使用可能。私は時間の限り細部を突っ込まれたが、時間が余ってしまい沈黙が流れた、という人もいた。
面接後、グループの人がみんな揃ったら解散。解散前に突然何人か名前が呼ばれるが、呼ばれた人はレポートに不備があるため●日に書き直せと言われる。提出期限や修正箇所をメモする代わりに写真を撮るよう言われるので、スマホはもっていくべき。
ちなみに面接はスーツが多かったが、かっちり目のワンピースの人もいた。男性はスーツばかりだったが、柄付きやおしゃれボタンなどのシャツを選んでいる人もいた。上着を着ている人は皆無。
結果発表は9月末(23日だったような気がする)。メールで結果を掲示した旨のお知らせが届くので、専門医システムのホームページにアクセスする。
以上、産婦人科専門医試験についてのレポートでした。役に立ったでしょうか。参考にしていただけると幸いです。