チャリ買った話
■この記事
自転車を買った報告的な備忘。
■目次
■買ったチャリ
STRiDA LT という折り畳み自転車。
■経緯
かねてから自転車が欲しいと思っており、特に学生の頃は手近な乗り物だったので、大阪に引っ越したタイミングで買うつもりだった。しかし一方で、大阪という国は軽率に自転車を盗む蛮族も多いため、引っ越してきてからもなかなか購入を躊躇っていた。
それから何年か経ち、趣味で関西を起点に18切符等で旅行をするようになった。だが、近隣のメジャーな場所をあらかた行き尽くしてしまい、公共交通機関で行くにもやや辺鄙なところへ行こうと考えたときに、いよいよ自転車があったらいいなと思うようになった。
経験上、大都市圏以外でのレンタルサイクルは、返却時間の融通が利かない。特に観光に力を入れていない町などは自転車を貸し出している観光案内所も閉まるのが早く、それまでに借りた自転車を返却しなければいけない。夕方四時に観光案内所が閉まるので、それまでに返却というタイトなスケジュールはザラである。時間帯を気にせずに観光することを考えると、輪行して持っていくのが早いのである。
いわゆる自転車趣味人(チャリダー)でなくとも簡単に扱って輪行できる、旅行のツールとしての自転車となると、やはり折り畳み式だろうと考えた。
それで探していたところ、三角フレームのヘンテコな自転車があるというのでSTRiDAを知った。なんか他所と全く被らなくて面白そうだし、なによりかわいい。これいいな。
――そう思って試乗まで二年、試乗してから更に半年くらい、重い腰を上げ、石橋を叩き割って新造するくらいして、今回ようやっと購入した。
■仕様
STRiDAという自転車はすべてシングルスピード、つまり変速機がない。過去には、バイクのドッグミッション的変速機が積まれたEvoシリーズがあったが、特殊機構で壊れた場合の部品がないうえ、球数も少なくオークションで高値取引されている。車体も変速機分だけ重い。
シングルスピードは名前の通りギアがひとつなので、速度が出なかったり、坂道がしんどい。しかし、これくらい潔い仕様のほうが、却って考えることが減っていいような気がしないでもない。それに、そもそも速度を出すなら、タイヤ径のある自転車に乗り換える方がよほど話が早いし、坂が辛いのはどの自転車でも一緒である。
また、STRiDAシリーズはすべてベルトドライブで、裾が汚れない。ブレーキはディスクタイプ。サドル高は六角レンチが無いと調整できない。調節できるサドルポストがオプションにあるものの、この点はやや不便。
デフォルトのSTRiDAはやや芋ったく、初めから色々とパーツを付け替えて乗ろうと思っていた。それでオークションサイトなどを眺めていた頃、考えていたオプションパーツが付いた本個体が出品された。16インチのモデルをベースに18インチのホイールにインチアップされており、ほかに純正オプションのサドルとグリップ、ペダルが折り畳みできるものに変更されている。現行モデルに無いマットブラックのフレーム色もいいし、それに合わせた各パーツの色のセンスがいい。リアキャリアもキックスタンドもオプション別売りである。多少競ったものの、願ったり叶ったりの状態で入手した。
純正オプションのライトも付属していたが、こちらは残念ながら電池の液漏れがあって使用できず、そのまま廃棄した。
防犯登録後、最低限の装備として、ドイツABUS製の屈強すぎる鍵、Knog製の赤ザクみたいな前照灯と、スタイリッシュなベルを購入し、写真のような形になった。
■購入
オークションサイトで購入した。
そのため、本個体は中古車だが、ネット取引の中古ゆえに防犯登録でトラブルが起きた。前所有者が防犯登録を行っておらず譲渡証を貰えなかったのである。そのため、出品者に事情を説明し、車体を受け取って取引をクローズする前に警察に行き、車体番号を照合して登録と盗難届がないことを確認し、さらに自転車屋でその事情を説明したうえで、新規の防犯登録を行った。
防犯登録は最初に購入した店舗で行われるのが一般的で、譲渡の際は解除して譲渡証明書を作成する。しかし、今回はファーストオーナーが新車をネット購入後、いちども防犯登録を行っておらず、その友人であったセカンドオーナーの前所有者も長らく部屋置きしていて登録を行っていない、ということだった。ネット購入時の販売証明もすでに紛失してしまっている。なので、実車の車体番号でもって白を確認したうえで、今回購入に踏み切った。
オークションで出所不明の個体を購入するのは、非常にリスキーである。今回このような経緯で防犯登録ひとつが非常に面倒だったので、やはり自転車の中古購入はよくない。逆に言えば、譲渡証のない中古自転車も、自己責任のもと面倒な手間をかけたら「一応」防犯登録は可能である。
先述したように、この個体のカスタムの方向性が自分の指向性に一致していたため、こう手間はかかったものの、お買い得な買い物だったように思っている。
■乗車の感想
防犯登録をした日に、大阪環状線沿いを一周した。三、四時間ほどかかった。
STRiDAは前にキックするようにペダルを漕ぐので、かなり不思議な乗り心地である。スワンボートみたいな感じだろうか。ハンドルはスリリングに曲がる。
前輪に加重がかかりにくく、しかも前所有者の趣味かスリックタイヤ、つまり溝のないレース用のタイヤが履かされている。溝がないので点字ブロック程度の轍にも滑って怖い。また、軽い坂でも、漕ぎだしで前輪が浮いて怖い。まるで、漫画の湾岸ミッドナイトで、カーボンモノコックのボディにしたブラックバード号さながらの気分で、自転車というよりは、もはや「自転車風の乗り物」といった感じである。
整備された都市の道やサイクリングロードを走る分には問題ないが、悪路や坂道がしんどそうな印象である。山道は全く向かない。
かなり腰に来る。当然、体力も必要。
イギリスのメーカーのため、高身長でも自然に乗れる折り畳み自転車な点がよい。一応、有名なミニベロや折り畳みを一通り試乗してみたものの、折り畳みできるだけ乗り心地を犠牲にしたものが多かった。自転車旅コミックエッセイの人気作品でも紹介されているBromptonも検討したものの、こちらは乗車姿勢がややつらかった。自転車を移動ツールとして考えると、乗っていてしんどいのは避けたく思う。
車なら「ローバーミニ」や「BMWイセッタ」、バイクはホンダ「DAX」、機関車なら構内入れ替え機の「B20」型や「デキ3」、などと、好きな乗り物はいずれも小さい。自分にとって重要なことは、「実用的」で「かわいい」ということである。
■今後
やや特殊な自転車なので、近所の銭湯に行ったり、少し遠いスーパーに行ってみるなどして少しずつ乗り慣れたい。
目標はこれで琵琶湖を一周(ビワイチ)することだが、このような小径車であるため、現実的には一泊二日で見積もった方がよさそうである。一応インターネットを調べると、これでビワイチする猛者もおられるようだ。
装備も必要である。まずは大阪から週末ふらっと行ける範囲で軽めに輪行してみたい。
開いたり畳んだりが難しい。特に磁石でタイヤを付けたり離したりの操作にいつも苦戦している。コンパスのように開いて組み立てるのだが、ホイール同士を引っ付けている磁石が強すぎて、ちょっとの力では簡単に取れないのである。おそらくコツがあるのだろうが、イマイチ掴めていない。
現状、装備を全く持っていないので、次はパンク修理キットなりを買い揃えたい。空気入れはもちろん六角レンチさえ持っていなかったので、慌ててAmazonでツールセットを買ったりしている。自転車のパンク修理は小学生くらいのときに散々やったので、たぶん今でもさくっと出来ると思うが、この自転車は片軸で、ホイールの外し方を知らない。ディスクブレーキも初めてだが、メンテナンスの方法を知らない。まあ、なんとかなるだろう。
■まとめ
のんびりやります。