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学びにはいつも謙虚でありたい

そのやりとりからすでに1週間以上経っているし、このモヤモヤのおおよその答えも出ているけど、言葉に残しておきたい。
食べもの以外で書いておかなくちゃ!という気持ちになったのも久しぶりで、この出来事の中に私にとって重要な何かあるような気がしています。


さてそれは、今月からスタートした新しい仕事場でのお話。
仕事場はある施設のキッチン。現在は調理担当の方と補助の方がいらっしゃいます。
補助の方が3月で退職してしまうこと、現在調理人が1名しかおらず休みが取れないことから、私は調理人兼キッチン補助という形で入りました。
なるべく早く現場にも人にも慣れたくて、洗い物をしながら調理人と話していた時のことです。

「大塚さんは料理教室をしてるんだよね?」
「俺、料理教室行ったことないけど行こうとしたことはあるよ」
「全く料理ができない風を装って、実はできる人でしたって驚かせてみようかと友達と話してたんだよね」

本当にたわいもないやりとり。
私もその場は、「それはやられた方はびっくりしますね、ハハハ」と受け流してしまったのですが、その日の帰り道からこの会話を何度も反芻してしまうんです。
もやもやするけど、何にもやもやしているのか整理がつかず、またもやもやするというループに陥っていました。
これはきっとやり過ごしちゃダメなことだと感じて、モヤモヤを書き出してみたんです。

・料理教室を開催している側の私になぜこんなことを言ったのか理解不能
・私を不快な気持ちにさせてたくて言ったのか、さっそく嫌われた?
・話の通り実行していたとして、それで彼が得るものって何なのかな
・料理を仕事にしている人がそんなこと言って恥ずかしくないのかな
・もしかして料理ができない人を馬鹿にしているのかな
・そもそも私が馬鹿にされているのか
・マウント取りたかったのかな
・まだ私が調理するとこ見てさえいないのにマウントとる意味がわからない


書き出してみても相手の真意はわかりません。わかったのは彼の思考が理解できないということだけ。
ただ書き連ねている間に、自分のモヤモヤの根っこは少しずつみえてきました。
「学びに対して謙虚じゃない人と仕事するのは嫌だなぁ」ってこと。

自分とあまり接点のない世界のことを学ぶとき、人は常にまっさらな状態で教えを受け取りますよね。何も知らないのだから当たり前ですが、学びと向き合う姿勢はとても謙虚です。
本来、自分がよく知っている世界のことを学ぶ際も学ぶ姿勢に相違はありません。
謙虚であることは素直であることとも言えますが、知っている言葉や知識があればあるほど、相手の話を素直に受け取ることは難しい!
好きで、ある程度学びを重ねている世界に対して謙虚な姿勢であり続けることは、とっても難しいです。少なくとも私にとっては、意識的に「謙虚に素直に」と言い聞かせながらでないとできないことです。
気を抜くと、「あーこれは知ってるやつだ」と聞き流してしまったり、「私の知ってることと違うけどこの先生大丈夫?」と自分本位になってしまったりしちゃう。貴重な学びの機会を失ってしまう危険性を常に孕んでいるんです。


学びは必ず相手があるもの。教える側と教わる側。それは人とは限りません。自主学習だとしたら教科書や本という相手がありますよね。
私にとって、教える側と教わる側は一方通行ではなくて、常に循環する輪のようなイメージ。
私自身、料理教室を開催したり、VEGAN検定の講師をしたりと、教える側の立場になることも多いのですが、毎回教える以上に教わっているなぁと感じています。
こちら側の話に熱心に耳を傾けて、疑問を投げかけてくれる、そんな素直な姿勢に出会う度、己を振り返る機会を得ています。
教えることは教わること、教わることで教えること。やっぱり学びは輪になって続くんですね。


最初のやりとりに戻ると…。
調理人の話は、そんな学びの循環を断ち切るものだったんです。
学ぶという行為すら否定しているように感じて、悲しいし、ガッカリだし、すごく嫌な気分になっちゃった。

ひびの暮らしの中で、生きていく中で、私が学び続けることをとても重要視しているのだと実感する出来事でした。
学ぶことが好きなんだなぁ、すごくすごく大切なんだなぁと気づいて、嬉しくもありました。

そしてもう一つ。
一緒に仕事するのは、同じように学びを大切にする人とがいい。
それも私の強い思いなんだと気づきました。
今までそれを意識せずにきたのは、これまで一緒に働いてきた人たちが大なり小なりみんな学ぶことに意欲的だったからなのでしょうね。
そういう環境が当たり前だったから、あれ?いつもと違うぞ?ってもやもやしちゃったのかも。
本当に恵まれていたなぁと思うし、そういう場所をきちんと選んできた自分の嗅覚が今回鈍ってしまったことは少し残念です。(理由は自覚しているのですが)


でもまぁ、結果的には気づかせてくれてありがとうという気持ち。
調理人だって全く学びを放棄しているとは思いません。
ただ何気ない会話にこそ、本質が出てしまうものだから。
その戒めでもあったのかも。


どんな場所でも自分にとって大切なことを貫き続けられるのかどうか。
試されているのかもね。
学びにはいつも謙虚でありたい。学びの輪を繋いでいきたい。
私にとって重要なこと。


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