【新潟県】まだ雪のない越後湯沢へ。東京から片道5時間の鈍行で向かい、自然とお米とお酒を大堪能しまくった話
新潟県は越後湯沢をひたすらに堪能してきた。
越後湯沢へ向かうことを友人に話すと、
「スキー?雪あんの?はやくね??」
と返事をされる。
実際のところ雪は全くなかったし、日中はダウンを着なくても快適な気温だった。観光客の少ない絶好のアウトシーズン。雪が降ると賑わうこの街であえて雪のない時期に行って「自然とお米とお酒」を堪能しまくった贅沢旅を紹介します〜!!
11/8(金)
会社で働いているから「有休」を使って仕事を休んだ。漢字で書くと、有給でもあるし有休でもあるらしい。祝日も出勤している性分故、金よりも休みが欲しい私は、小さなアンチテーゼとして「有休」と大きく申請書に記載して提出した。「給料は麻薬だ。社会はあなたに夢を諦めさせる為にお金を渡すのだ。」といったマークザッカーバーグの名言をふと思い出した。そういえば昔の自分の夢はなんだったけ… 何はともあれ、今日は旅に行く。
都内のターミナル駅で電車に乗り込む。サラリーマンも学生も揃いも揃って、車窓からの景色には目もくれずに首を垂れ下ろしながらスマートフォンを見て時間を消費している。数十年前では考えられない光景だったはずが、今や当たり前になっている。コロナの時に当たり前だったマスク姿はまばらになってきている。数十年後、僕の目の前にはどんな当たり前が広がっているのだろう。そんなことを考えながら、カメラを首からぶら下げて少し荷物の多いリュックを背負い通勤電車に乗り込んだ。
車窓からの眺めをボーッと見たりして過ごした。ふと「秒速5センチメートル」のワンシーンを思い出した。大雪の降る中、都内から電車を乗り継いで特別な想いを寄せる相手に会いに行く感動のシーン。高崎線に乗り換え。都会からだんだんと離れていくと、高い建物が少なくなってくる。しばらく乗っていると田んぼが広がる群馬県に入り、自動扉からボタン式の開閉扉へと変わる。この時、僕は旅をしているんだと実感できる。
高崎で電車を乗り継いでJR上越線で水上を目指した。都内の電車の雰囲気とまた違ったゆったりとした雰囲気が漂っている。座先も一面に広がっているし、心なしかふかふかしている。なんだか「はいはい。都内でよく頑張りましたね」と宥められているような気分にしてくれる路線なのだ。途中、地下鉄とはまた違うトンネルの中の駅に到着した。土合駅(どあい)という駅らしい。少し調べてみると、日本一のモグラ駅らしい。改札までは10分程度かかると脅威の駅。そんなの東京駅の京葉線からJR線への乗り換えだってかなり時間かかるぞという都会住みの方の声が聞こえた。経験上10分程度かかるが階段もなければ歩く遊歩道だってある。
土合駅(どあい)気になる方はぜひ調べてみてください。
群馬県水上町に到着した。
駅を降りると、空気が澄んでいた。乗り換えに時間がある為高台に登って景色を眺めた。緑色の山の奥に紅葉が始まっている山。その奥には雪がかかっているアルプス山脈が連なっている。山がレイヤーをなしている。日本は島国だから、山もあるし海もある。海なし県と揶揄されている群馬県だって、車を3時間も走らせれば新潟の角田浜から日本海を一望することができる。モンゴルなんて中国とロシアに囲まれている国だから、海が見たい!と思ったら国境を越える必要があるし、アメリカの中央ノース・ダゴダ州に住んでいる人だって、海のあるワシントン州までいくとしたら、車で18時間かかる。コンパクトな日本だからこそ都会に行けばテクノロジーを体験できて、地方に行けば自然を体感できる。文化も自然も素敵な国だなと島国のDNAを感じながら群馬の風を浴びながらそう思った。
基本的に旅の予定はがっちり決めていない。食べものはだいたいその時の気分におまかせ。というよりも、あれが食べたい!とか、これを絶対やりたい!という欲求があまりないのだ。旅をする為にある程度の用意をして当日向かったらもう満足である。水上駅前には、商店街が広がっている。蒸気に吸い込まれるように饅頭を一つ半分こして食べた。もちもちしていて美味しい。
駅から少し歩いて「Walk On Water-cafe&-bookstore-」さんへ。
パイプオルガンのような綺麗な風鈴の音色につられて店内へ。旅の本や雑誌、雑貨が綺麗に陳列されている。コーヒーやおにぎりなどの軽食が人気のよう。次回、水上にお邪魔する時は是非、食事も楽しみたい。
ふらっと立ち寄った所で食事を済ませて、周辺を散策した。あれだけ暑かったはずの夏はどこか懐かしさすら感じる。落ち葉を踏んだり階段を駆け上ったりして時間が過ぎる。「何か」をしなくても居心地が良くて楽しいと思える相手と今回こうして旅をしている。
駅に向かう道中に廃墟旅館を見つける。中まで入ることができなかったが、外からでも伝わる殺伐とした雰囲気。外装が剥がれ落ち窓ガラスが破られ、グラフィックデザインが壁一面に描かれている。人間が住んでいないだけでここまで老朽化が進むから建物もきっと息はしていないが生きているのだろう。そのままぶらぶらと駅に向かい、上越線越後湯沢行きへ電車に乗り込む。
駅では交通系電子マネーが使えないとの事で電車の中で車掌さんが乗客1人1人に「どこまで行きますか?」と尋ねながら回っていった。越後湯沢ではこの券をBOXの中へ入れて下車完了。都内の電子マネーで慣れているから新鮮な気持ち。
都内から約5時間かけて旅の目的地の越後湯沢駅に到着した。
11月にもなれば新潟=雪のイメージがあったが、雪は全く降っていないしダウンが無くても過ごせるように気温だ。しかし、都内のモワッとした空気とはまた違く凛とした空気の味がする。もうこれだけで良いのだ。自然を感じれれば、日常と少し違うだけでもう大満足なのだ。
今回泊まる宿はこちら「HATAGO 井仙」
駅から徒歩1分。走れば30秒ほどの距離にある。
なんせ今回の旅は、越後湯沢の駅からほとんど離れない予定である。絶好の立地に風城が漂う宿。この宿がまた最高に良かったからこの場を借りて僕なりの言葉で紹介したい。
エントランスを抜けると囲炉裏がお出迎え。火こそついていなかったが、雰囲気は抜群に旅に来た!というスイッチを入れてくれること間違えなし。チェックインは、タブレットで対応してくれているところもスムーズでスマート。ウェルカムドリンのサービスもあってコーヒーかお茶を選べる。普段ゲストハウスに泊まるから、こういう宿も新鮮でそして丁寧で心が踊った。
越後湯沢駅周辺には足湯がたくさんある。その一つが今回宿泊した宿「HATAGO井仙」に付属しているのだ。なんと、宿泊者と併設されているCafeで買い物をされた方限定の足湯なのだ。日本人故、「限定」の文字に弱い。贅沢な移動疲れを癒す為に足湯に浸かってみた。ちょうどいい温度感。座ってボーッとしているだけで幸せホルモンがドバドバと出てくる。もういっそのこと、このまま部屋に戻って寝てしまおうかと迷うぐらいだった。しかし、我々には目指すところがある!
越後湯沢駅の中を奥の方向へ進んでいくと酔っ払いのおじさんが立っている。ここが「ぽんしゅ館」の入口なのだ。いやいや、ぽんしゅ館ってなんなのさと聞かれた気がした。駅の中では珍しい日本酒の試飲ができたり、新潟の美味しいお酒やお米が買えるお土産コーナーがあったりさらに進んだ先には、温泉施設「酒風呂」というのもある。新潟の美味しいものが集まるテーマパークなのだ。
特に気にいったところは、日本酒の試飲コーナー。入口で500円で5枚のコインを購入し、自分好みに気になる銘柄をおちょこ一杯ずつ試飲ができる。写真には写りきらないほどの銘柄の数々。ワインや焼酎の試飲もあってもうのんべいはベロベロになること間違えなし。受付できゅうりが150円で売っていて卓上においてある数十種類の塩や味噌をつけて酒のあてにしながら楽しむこともできる。
ここに来るまでは、日本酒なんて全部一緒だと思っていた。しかし、全然違う。
素人の僕でも分かるぐらい銘柄によって味違う。フルーツの風味がする銘柄、口に含んだ瞬間に燻製されたチーズの香りがフワッと漂う銘柄、これは辛いなぁ〜と顔を歪めてしまうようなものなどなど。僕が気にいったのはこの「純米大吟醸初花」という銘柄の日本酒。名前の通り、口に含んだ瞬間に花の香りが透き通るように抜けていくのが伝わる。おすすめのランキングや、こんな感じの味がしますよ〜と銘柄ごとにボードに書いてあるからみながら嗜むのはかなり楽しい。
日本酒の試飲でだいぶ酔いが回ってきたところで腹が減ってきた。越後湯沢駅周辺は、みんなが大好きなミスタードーナツやらマクドナルドといったチェーン店が存在しない。ここに住んでいる方たちが、もしマクドナルドを食べたいと思ったら車で30分ほどかけてマクドナルド六日町店まで足を伸ばす必要がある。今週の土日は休みだから、ドライブがてらにマックを食べにいくか!という会話が越後湯沢のどこかで行われているいるのだろうと考えたらそれもそれでいいなと思った。そんなことよりも新潟の名物は、マクドナルドではなく米だ。そして米といえば、おにぎりだ。窓も向こう側ではおにぎりを作っている姿が見える。米を炊く土窯大きさにも驚きだ。こんなのを目の当たりにしてしまったら、買わざるを得ない。
色々な具の中身を選ぶことができるが、僕はあえて塩握りをいただくことにした。
味噌汁がついて、500円を出せばお釣りが戻ってくる価格設定に驚きだ。写真の通り、おにぎりのサイズが、、もう、、、スポーツ少年団の学生がお昼休みの食べるおにぎりの大きさをしているのだ。恐る恐る口に運ぶ。美味しいという言葉しか出てこなかった。正直ここまで美味しいとは思ってもみなかった。口に入れた途端に米がほどけて口の中を優しく踊り始めたのだ。千と千尋でハクからもらったおにぎりを泣きながら食べる千尋のシーンが連想された。バクバク食べ進める僕の隣で彼女は、こんなに食べるんやといった表情でニコニコと微笑んでいた。無事完食。
爆弾のおにぎりを頬張った後にHATAGOに戻り風呂を済ませた。
大浴場は内湯だったが、露天風呂付きのお部屋があったり、追加の料金を支払えば、貸切風呂というサービスもある。気が付いたら普段だったら仕事が終わって一人でご飯を作っている時間になっていた。歩くこと10分「しんばし」に到着する。和をイメージした店内と外装。清潔感で溢れている。
冷やしにしんせいろそばを注文した。太陽が沈むと冷えるが、まだ手袋が必要な程ではない。11月も中頃を過ぎているのに「冷やしそば」を注文しているぐらいだ。やや太いそばを口に運ぶともうそこは天国。そばは別腹。さっきのおにぎりはしっかりとお腹の中で踊っている。もう一度言うがそばは別腹なのだ。ススっと堪能してから、ニシンと一緒にそばを食べる。甘辛く煮付けられていることもあって箸が止まらなかった。
おそれおおいが、この大きさの舞茸天ぷらが2つもあるのに小皿になるのだ。
サクサクの衣に包まれたジューシーな舞茸を一口食べたらもう脳天が爆発した。
この旅に来る前に、燃えるゴミを捨てなかった後悔や、1泊の旅行なのに3日分の着替えを持ってきてリュックがパンパンになっていることなどもうそれはそれでよいのだよと舞茸天ぷらが教えてくれた。
すっかり夜になってしまった。テクテクと宿に戻り2度目の風呂に入る。ただ駅の周りをぐるぐると歩いただけなのにこの満足感。それもそうだ。たらふく美味しいものを食って呑んで風呂に入ってきたのだから。雪がないオフシーズンだってかなり満足することができる。
部屋に戻っては寝る準備をする。毎回旅にはこのアイテムを必ず持っていく。コンパクトに畳めるのにブラシの先が触れることなく浮いているため衛生的。なによりもこのビジュアルが気に入っている。囲炉裏のあるお部屋、外は静か。布団に入って眠気が襲ってきた。目を開ければ朝がやってくる。
11/9(土)
旅行だろうとなんだろうとしっかり寝るし気づいたら寝ている。夜更かしは身体の毒だが、アマゾンの果ての草食動物はいつ肉食動物に食われるかとビクビクしながら生活しているもんだからきっと心地よくは眠れないだろう。それに比べて人間は、やれ枕が変わっただの、やれ物音がしたとかで眠れないっていうのだから相当繊細に作り上がってるのだろう。繊細というのは時に不便に感じるものだ。そんな事より最高の目覚めだ。窓越しだが空気が澄んでいるのが伝わる。
駅の反対側まで散歩した。あと数ヶ月もすれば雪が降る。そして積もるのかと考えると今しか味わえない絶好の気候であろう。横型の信号機は初めて見た。しかしなぜ横型なんだろうか。雪が積もらないように?それとも天井がある影響で横になったのか。朝は頭の回転が早く、それに新鮮だから早起きをするのが好き。あとは、悩み事があった時は「考え事は夜の寝る前よりも朝味噌汁を飲んだ後に考えろ」という誰かの言葉をずっと守っている。
駅に戻ると太陽の朝陽に照らさせる。0番線ほくほく線が目に止まった。暖かそうな線名なのにラインが青だからか寒そう。0番線は東京にないし新鮮に感じた。散策は楽しい。今住んでいるところの近くは朝起きて散歩をしたことがない。住めば都というが、住んでいるから散歩をした方がいいのになと他人行儀でそう思った。
朝ごはんの時間。HATAGO井仙に併設されているレストランで朝食を頂いた。20数年間生きてきた中の朝ごはん史上、満足度が1番だった。太陽の陽に照らされて、一緒に旅をしている彼女が目の前で同じものを食べている。食材がどれも新鮮で美味しい。特にお米。口の中でほどけた。過剰な表現ではない。口の中でほんとにほどけたのだ。新潟の米は美味しいとは聞いていたがこれほどまでかと驚いた。どうやら米にもランクがあり僕がこの日食べたのは「魚沼産コシヒカリ塩沢地区限定一等米」いわば米の頂点だ。大学だと東京大学、会員でいうとMENSAレベル。驚いた。基本朝食は、ブルーベリージャムトーストのみの僕だから朝食にデザートがついていることにも驚いた。朝食を頂き大満足のまま部屋の布団にダイブをして少し寝た。あっという間にチェックアウトの時間だ。お世話になった部屋に一礼をかまして宿を後にした。
帰りの切符はあえて買っていない。時間に縛られることなくのんびりが完了次第、帰る。とくに予定を決めていない僕たちは足湯巡りをした。ここの足湯は、温かくて気持ちがいいだの段差で湯加減が全然違うなど足湯の評論家になったつもりになったり、たまに寝っ転がりながらのんびりした。
駅前にはユニークなお店が多く「射的」の幟が目に止まった。迷わず入店。銃を手に持つのは初めてだし、メタルギアソリッドオプスプラスでは、AK47を乱れ打ちししているぐらい適当な撃ち方しかしたことない。恐る恐る500円を払って10発の弾に交換した。 狙うは恐竜のミニフィギア。片目を瞑って狙い撃ちするも外れてばかり。最後の数発で恐竜のヘッドショットして獲得することができた。喜ぶ僕の隣をみると彼女は両手に溢れるばかりの景品を取っていた。才能を感じた。その一つをシャボン玉に交換して散歩をしながらあたりをぷらぷらしていたら気づいたらお昼を回っていた。何もしていないがそれはそれで良いのだ。
駅でお土産を買って新幹線のチケットを買った。新幹線が嫌いな人はいるのだろうか。見た目がかっこいいし何より速い。小学生の頃、足の速い人がモテたように新幹線はおそらく電車の中ではヒーローの位置なのだろう。そんな事を考えながら自由席に乗り込む。
新幹線は特別である。乗客はコーヒーを飲んだり酒を嗜みながら各々の旅を反芻するように移り変わる景色を眺めていた。僕も同じで窓の外に目をやると空が青から赤へのグラデーション色に覆われていた。もしこれが紫とか濃いピンクの空だったら空を見ようと思わないのだろう。人間が生まれる前からこの色合いがあるのだからデザインにというものは全て地球に起源するものだし地球こそが1番のデザイナーだと思った。
数十年後の未来について考えた。朝食べた美味しい米を作る農家の人口は年々は減少傾向にあるらしい。バブルの時代に作り上げられたリゾートマンションは廃れていく一方だということも。対して、都内の成長は著しい。都内のマンションは乱立し価格は高騰するばかり。便利が先行する都内での生活は息苦しく感じる。イギリスでいうところのロンドン。フランスでいうところのパリ。日本でいうところのトウキョウ。東京に住むとはそういう事なんだろう。iPhoneがもうオーバースペックである事はうすうす気づいているように都内ももう詰め込みすぎなところすら感じる。自分が生きる場所は思考の中よりも思ったより広くてそして日本の中では、思ったよりも狭いと知った。
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