歩行者にやさしい車

歩行者の立場で道を歩いているとき、歩行者にやさしい車に遭遇するととても嬉しくなる。

具体的には、

雨で道路が濡れているとき、歩行者の横を減速して走ってくれたり、歩行者が横断歩道を渡るとき、(信号の有無にかかわらず)横断歩道の手前でゆっくりと停止してくれたりするのがやさしい車。

普段からこういったことを心がけているドライバーからしたら、当然のことかもしれない。

だけど、実際道を歩いていると、歩行者にやさしくない車もたくさんいる。

先の例でいえば、わざとかなっていうくらい歩行者に雨水を巻き上げながら走り抜けていく車とか、一歩間違えたら歩行者に接触しかねないくらいの勢いで走ってきて、横断歩道の手前で急ブレーキを踏む車とか。

もっとも、歩行者からしたらやさしいとは言えない車のドライバーも、みんながみんな悪意をもっているわけではないと思う。

というか、そう信じたい。

立場の違う相手のことを想像するのが難しいように、歩行者と車とでは、周りの見え方も、使う神経も、状況判断による影響もすべてが異なる。

私自身、雨の日に車を運転していて、歩行者の横を走るときにかなり減速したつもりだったけれど、ミラーで見たら思いのほか水がはねていたことも多々ある。

だけど、ちょっと注意してみると、歩行者に気を使ってくれている車とそうでない車は、なんとなく分かる。

大きな鉄のかたまりだけど、意志をもったように感じられる。

この車やさしいなって思うと、こちらも道をゆずってもらったら会釈をしたり、妨げにならないように早く渡ろうとしたりと、相手に好意で返したくなる。

返報性の法則というやつだろうか。

逆も然りである。

だけど、車を運転する人なら誰もがうなずくと思うが、歩行者側も車に気をつかってほしいと思うことは“かなり”ある。

信号も横断歩道もない道路を突然横切ったり、狭い道なのに広がって歩いたり。

あとは、歩行者用信号がなくて通行量が多い横断歩道。

特に郵便とか宅配とか、仕事中の車が通ろうとしているときは譲ってあげてもいいんじゃないかって思う。

車の通過なんて数秒のことだし、20人が立ち止まっても1人が進めば車は進めない。

待っている人も進めない。

もう少し、周りの状況に注意して、相手の立場を考えて行動すれば、世の中だいぶスムーズに事が運ぶんじゃないだろうか。

つまるところ、歩行者にやさしい車というのも、そのドライバーのモラルや考え方、注意力、判断力、想像力に由来するんだろうな。

相手を思いやった行動がとれる人は、たぶん歩行者だからとか車だからとか関係なく、どんな立場や状況でも、きちんとした行動がとれるのだと思う。

昨日、雨のなか外を歩いていたら、たまたま通りすぎる車がみんなやさしくて、それでこんなことを考えた。

私も、最近とくに、車を運転するとき歩行者にやさしく、歩行者優先を心がけている。

だけど同時に、車に対しても気遣える歩行者でいようとも思う。

すべては心がけ次第だ。

ただでさえストレスの多い世の中だけど、やさしくできるところはやさしくして、みんなでストレスを減らせていけたらいいなと思う今日このごろ。

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