「直木賞」受賞式の巻き
古い友人(・・いや、もう友人と言うには申し訳ない)が、直木賞を受賞した。
その友人から授賞式にお呼ばれした数年前(平成)の話し。
そのような席には行ったことがないので、まず服装に悩んだ。
美術関係の仲間にはタキシード着ろ!だの、TVだと殺人事件が起こる状況だな!とか冷やかされたけど、結果は普段着をちょっと派手目にした程度で行った。
しか~し、私ごときがオシャレする意味など全く無いほどの大人数で、ざっと数百人でごった返した立食だった。
服装について周りを見渡すと、8割はサラリーマン風の普通のスーツ。
女性もスーツか小奇麗な普段着。
残りはTVで見る人とか、いかにもって感じのオシャレなおじ様、おば様。
後は、ありえないほど大きいヘアースタイルにドレスや和服姿のあでやかな女性たち。このドレスのスリットが深いこと深いこと・・・
社長風の偉そうな人「最近は忙しいかい?」
和服のママ「もう、暇で暇で・・」
社長「ゆうても景気はあまりよくないからなぁ~」
ママ「・・お願いネ」(この一言が重い、重い)
みたいな会話が寿司をほうばる私の後ろでなされていた。
ここはクラブ活動の場でもあるようで、終わった後に外に出ると、タクシーやハイヤーがずらっと並び、皆さん次々に派手な灯りの夜の街になじんでいった。
ここにはまだバブルな時間が流れていた・・ というか!バブルの時期は
もっと大変なことになってたんだろうな~と思った。
おっと主役の受賞した友人はというと、壇上で雄弁に受賞のコメントを話していた。
私はその壇上を見上げながら、駆け出しのころNHKのスタッフルームで
「小説書いています」
「オブジェとか作っています」
と自己紹介しあったことを思い出しながら、すごいところまで行っちゃったなぁ~と、話に聞き入った。
受賞式が終わり談笑の時間になったので受賞者へ挨拶する列に並んだ。
やっと来た私の順番で「おめでとうございます!」と握手できた。
すると友人はズボンのポケットから、私の作品のアンモナイトのキーホルダーをすっと出し、
「一緒に挨拶させてもらいました」と笑う。
それは、直木賞のお祝いの気持ちで先日送っておいた小さい作品だった。
とても律儀な人だなぁ~と感動した。
嬉しかった。
そんな夜だった。
んで、この会で分かったこと。
タキシードは必要ない。
物書きは話もうまい。
知らない間に友人は偉くなっている。
パーティー会場で殺人事件は起こらない。
パーティーでは乳首さえ見えなければ、おっぱいは出してよく、背中はお尻の割れ目近くまで出してよい。
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