テクノが与える影響とテクノが示す態度 SALON 02があらわすもの
このコレクション自体が限られた招待客しか実際には観れず、このブランド自体当時はSNSのアカウントを突如削除するなどをしてメディアからは意図的に距離をとっていたので、あまりにもこのコレクションに関する公式からの情報が無いので、今回はブランド側からメディアに提供されたルックの写真とコレクションの発表の場に選ばれた会場、そして実際の服から得た僕の感情を元に書いていきます。
今日においてテクノを影響元、参照元に服を作るデザイナーはごまんといるわけですが、服として出力した際には皆異なるわけです。(音楽という目でみて、実際に触ることのできない物を真逆の服にするわけですから。)
ただ、テクノが持っている空気感というのはどの作品をみても感じるのです。
反復する音とリズム、つまりループの心地よさ、ハウスと比べるとより際立つ無機質さ、
グルーヴとフロアの一体感。
これ以上書くと野暮なのでこれぐらいにしておきますが、ダンスミュージックとしてのテクノの魅力をまとめるとこんな感じです。(非ダンスミュージックのテクノの方の魅力もこれに近しいところはあります。)
そしてKraftwerkから現在のテクノDJまで全員が全員そうではないのですがテクノを愛する彼ら、彼女らの服装のスタイルからもテクノを感じられるところがあります。
ミニマルでこだわりのあるスタイル。
ただそこには効率化され量産される製品のような空虚さや冷たさはなく、音楽という人としては必要な物ですが、効率化を求める社会にとってはもっとも無駄な物に熱い情熱を持っているのですからそれがスタイリングをする際の服のチョイス、こだわりにも表れているわけです。
「僕がSALON 02の会場に選ばれたBerghainについて知っていること。」
バウンサーがいること、中は撮影禁止なこと、公式サイトと思われしきサイトに載っているスケジュールに載っているその日まわすDJのリスト。
知っている情報はそれだけです。
それだけでも思いが伝わってきます。
僕も普段よく行くクラブは、撮影禁止を謳っているところです。
なのでBerghainにはシンパシーを感じるのです。
「実際の服から感じること。」
コレクションレビューでは、フェザーを取り付けたセットアップやスパンコールを使ったドレスなどのルックの感想しか書かれていませんが、僕はルック1から始まるワークウェアからの影響それもセキュリティ、警備服からの影響を感じるルックに今回のコレクションが伝えたいメッセージを感じたわけです。
今回はルック23で登場したその影響を受けたと思われるジャケットから紐解いていきます。
ぱっと見端正にみえるのですが、作り手からするとこのジャケットかなりめちゃくちゃなのです。
まずいわゆるテーラードジャケット(ここも掘り下げると細かい要素で構成されている服なので、いろいろと話すことができるのですが、ここでは語りません。)から引用したであろうダーツと胸ポケット。
Martinの影響を感じるむき出しの金属の襟芯とVのボタン。
背面の3rdからサンプリングしたであろう背中の剥ぎ。
ヴィンテージの服で見かけ、個人的に大好きだし、ブランドのイニシャルであるVを表現したヘリンボーンの生地。
このブランドをあらわす新しいアイコンである逆三角形。
と丁寧な縫製。
まぁかなりテクノなわけです。
テクノも好きじゃない人から聴いたらただの冷たい電子音が繰り返し鳴る単調な音楽。
ただ好きな人やハマった人がわかるグルーヴと熱さ。
この服も、ぱっと見ただの黒いシャツジャケットですが、好きな人からしたらどれだけ熱量が注がれてるかがわかるわけです。
どちらも非ポップスでありながらも、もっとも人間臭いのです。
パブリックイメージの影響のせいか、テクノやこのような服は人間性をもっとも排除したものにみえますが、音に身を任せ踊ること、実際に服を身につけて着るわけですからとても人間らしい行為だと僕は思うのです。
服の詳細。
Bottega Veneta SALON 02 Look23 シャツジャケット