心が彷徨っていた二日間を越えて見つけた「そのまんま」
先週の今頃は色々と余裕が無くて、「どうなるかなあ」と思っていた週末が無事に終わり、今日はちょっと時間に余裕があるので、ここ二日間の日記を書いてみようと思う。
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9月15日(日)
前日にある程度の仕事を終わらせることができていたので、起床後は結構ゆっくり時間を過ごしていた。
この日はお昼に京都に行く予定があり、9時頃には目を覚まして、朝食を済ませた後、「案外時間に余裕があるな」と思いながら仕事を進めたら、思いのほか時間が経つのが早くて準備をしなきゃいけない時間になった。
直前まで仕事ができるというのは、この働き方のいいところだけど、「キリのいいところで終わらせたい精神」が厄介で、いつも「あとちょっと、もうちょっと」と言いながらスマホのアラームを止めている気がする。
買ったものの出かけるタイミングがなくて使えていなかったアイシャドウを初めて自分で塗ってみると、偏光ラメの色が本当に可愛くて、それだけで心が満たされていく。
「目の上なんてギラギラさせられるだけさせたらいい」。そんなことを考えながら偏光ラメのシャドウを重ねて塗ると、思っている以上にギラッとなって、「…塗り過ぎたか?」と我に返った。
準備を終えて電車に乗り京都へ向かう。
そういえばここ3ヶ月ほどはJR京都駅に向かうことが多かったので、チート技を使ってビュンと京都まで向かいがちだったけど、今回の目的地は烏丸だったので、在来線でのんびりと向かう。世間は三連休の中日だからか、電車の乗車率が高くて「おお…」と思ってしまったが、なんとか烏丸に到着し友人と合流。
6月ぶりに会う友人が待ち合わせ場所の出口の近くに見えたので、手を振ると、一瞬こっちを見て、驚いた顔をしていたから私も驚いた。「誰か分からなかった」という彼女の言葉に、そういえば髪の毛を短くしてから会っていなかった…なんて世間話をしながらランチのお店へと向かう。
約3時間。色んな話をたっぷりして、「また12月に(3ヶ月に1回のペースで会うことがぼんやりと決まった)」と別れた後、祇園四条駅まで歩きだした。
マップに誘導されたのが錦市場を通るルートだったので、提案された道をただひたすら歩いていたけれど、観光客の人がとても多くて、うまくすり抜けられなくて、大分と時間をロスした気がする。
そんなこんなで祇園四条駅に到着。THEATRE E9KYOTOに幻灯劇場の『フィストダイバー』を観に行くために東福寺へと向かった。
京都に演劇を観に行くことはあまりなく、あったとしても泊まれる演劇ぐらい。だけど今年は7月に劇団CLOUD9の「ただいまのあと」をTHEATRE E9KYOTOに観に行っていたので、なんだか不思議な感じ。
そういえば、公演で配られたパンフレットを見たときに「この公演気になるな」と思うものがあったなあ。映画館の予告もそうだけど、一度行けば観に行く機会が続くことってあるよね。
開演15分ぐらい前に劇場に到着したので、後ろの方にある好みの席に座って開演を待った。
ここまで文字を打ってみて、「せっかくなら公演について…」と書くことも考えてみたけど、観劇後3日が経った今も、何をどう感じたのかがボヤけている。
だけど、心のなかにはきちんと留めた言葉があるし、目にした忘れたくない光景はちゃんと記憶の中に丁寧にしまってある。だからこれは言葉にしなくていい体験なのかもしれないと自分に言い聞かせて、深く追いかけるはしないことにした。
帰り道、同じ公演にいた方がラーメン屋さんに入っていくのが見えた。「あ、ラーメン。ビール…いいな」と思ったと同時に、なぜか「いや、違う。タピオカが飲みたい」なんて、普段は絶対に感じないようなことを思ってしまったので本当にびっくりした。
タピオカなんて言葉がそもそも自分の脳みそに浮かんでくること自体に驚きながらも、駅のホームで「京都駅 タピオカ」で検索したらポルタの中にゴンチャがあると出てきたので、向かうことにした。
タピオカが大流行したときから今の今まで、ほぼタピオカを飲まずに生きてきたけれど、あるときタピオカに詳しい友人が「なんだかんだでゴンチャ」「正直ゴンチャだけに行っておけばいい」と言っていたことを思い出し、買い物帰りに心斎橋で目に留まったゴンチャに入り、初めてタピオカを吸い込んだとき、「結構噛まないといけないんだな」とか、「この丸っこいやつには味がついているんだなと」か、いろんなことを思う前に「待って、美味しすぎる」と衝撃を受けた日が懐かしい。
だからポルタのなかにゴンチャの文字を見つけたとき、すごく嬉しかった。
京都駅について無心でポルタを目指し、ゴンチャに到着。あまりにも久しぶりに行くので頼み方を忘れていて、危うく甘すぎる黒糖烏龍茶だけを飲むハメになりそうだったけど、優しい店員の方が「この注文だとタピオカは入ってません」と教えてくれたおかげで、無事タピオカを注文できた。頼んだらタピオカが入ってると思う人多いんだろうな。次の時のために記憶しておきたい。
帰宅はJR京都駅からだったので、タピオカを片手に、それはもう当たり前のようにビュンと帰った。電車に揺られながら、何度も感じたことを頭の中に浮かべてみたけど、全くピンとこなくて、これまでに感じたことが無いほど良い経験ができた日になったんだと思う。
9月16日(祝・月)
目が覚めると、昨日感じたことが体の中から抜け落ちてるような感じがした。でもベッドから降りて、少し歩いたら「ああ、すごい体験をしたな」とジワジワ余韻が巡ってきて、それを見つめて言葉にしたい気持ちと、そっとしておきたい気持ちが葛藤のように渦巻いていたので、とりあえず”いつも通り過ごす”を選んで納豆を食べた。
楽しいことがあった日の翌日は、普段しないことを選びたくなるのはなぜだろう。作ったことがないのに、デリッシュキッチンで「オムレツ」の作り方を調べてみたり、思い切って朝からお酒を飲んでみたり。
「自分、まだ昨日の続きやれます!」みたいな感覚って何歳まで続くのだろうか。だけどこの日はいつもと違うふわふわとした余韻に包まれていたから、逆に冷静にいつも通りを選べたような気がする。
朝食を食べ終えたら、気合いを入れて仕事を開始。なんとか14時過ぎに終えることができたので、準備を始めた。
この日は大阪城ホールであるサンボマスターのワンマンに行く日。城ホでのライブは2月から始まった『ラブ&ピース!マスターピース!』というツアーの後半戦2公演目で、正直なことを言うと、当初は行くことを考えてなかった。
今回前半戦のツアーはライブハウスをメインに選んでいて、鹿児島やら沖縄に行ったところがあるので、「城ホで見るサンボってどんな感じなんだろう」…という気持ちがあったのだが、後半戦ツアーの1公演目が終わった後、エックスのタイムラインに流れてきたポストを見て、「これは絶対に行った方が良さそう」と感じずにはいられなかった。
ただ、前日に京都で観劇の予定があり、仕事の納期のことを考えると、ギリギリまでは行けるかどうかが分からない状態で、なんとか「行く」と決められたのは3日前。
そんなこんなで開演15分ぐらい前に大阪城ホールに到着し座席に座る。ホールツアーはギリギリに行っても座席が決まっているのが本当に有難い。
開演時刻を少し過ぎたとき、いつもならSEが流れるところで流れたお知らせ。その内容に阪神の左腕ファン(略して阪神ファン)の私の胸が高鳴りました。なんといっても、電車のなかでギリギリまで虎テレを見ていたものですから…。
お知らせが終わり、SEが流れてから、アンコール終了までの約3時間は本当に良い時間すぎて、あの場所にいたすべての人に「よかったですよね!」と声をかけて回りたくなるレベルだった。
「城ホでみるサンボってどうだろう?前半ツアーで遠くに行くから後半は武道館だけでも…」と思っていたあのときの私を、頭の中で思いっきり殴った後、「今日ここに来られて本当によかった」と思った。
福島の公演が終わった後、公式がセトリを発表していたのだが、それを見ずに当日を迎えて良かったなとも思う。
1曲目で「え?!どういうこと?!」と頭の中がこんがらがって、最後の最後まで、たくさんの驚きがあるセトリで、ある曲で嬉しくなりすぎてスタンドからアリーナに飛び降りたくなったり、もうどうしようもない気持ちで胸がいっぱいになって、口にタオルを詰めみたくなったりと、本当におかしくなる寸前だった。
これはサンボの公式がインスタの投稿に動画をアップしていたのでネタバレにならない…と、どうしても書いておきたいのだけど、新曲の「稲妻」の演奏が始まったとき、モニターに歌詞が映し出されて、それを目で追いかけながら曲を聴いていたら
というフレーズが文字で流れたとき、あまりにも美しすぎる言葉に茫然としてしまった。歌詞を目でなぞった後、それが心にストンと落ちてきたとき、「なんて言葉なんだ」とゾワゾワして、やっぱり山さん…すごいなって心の底から思った。
サンボの曲で好きなフレーズは数えきれないほどたくさんあるけど、このフレーズはかなり上位に入るレベルで好き。(”寝ないであの子を警備するんだ”というフレーズがかなり好きな話もいつかさせてほしい)
終演後、最高な時間を共にした人たちの後ろについていくと、人の流れが各駅の方向へと動き出した。すると、会場前の噴水の近くに黄色いTシャツを着ている人たちが数名集まっているのが見えて、「あ、いた!」と思った。
「TAKASHI IS BACK」と書かれた黄色いTシャツを着ている人が数名集まっていればきっとそれは知り合い。これは、ここ2年ぐらいのライブで学んだこと。
その方向に足を進めると「あ!」と目が合った方がいて、その瞬間にわーっとハグをした。会うのがとても久しぶりのだったというのもあるけど、ライブでずっと溜め込んでた衝動みたいなのが表に出たような感じがして、3時間の幸せがギューッと凝縮されたみたいなハグだった。
そしたら噴水の向こう側にたくさんの黄色いTシャツの人たちが見えて、みなさんがこっちに来て、またハグをして、喜んで。会うのがかなり久しぶりの方もたくさんいたから、「会えた」という嬉しさと「今日のセトリが最高だった」という喜びと、なんかもう、心の中をぐわんぐわんと色んな感情が巡っていて、体が熱くてたまらなかった。
打ち上げの場所に向かう際中、少し秋の匂いを感じる涼しい気温のなかで、体だけがポカポカというよりは、ジワジワ熱を感じていたとき、北海道で初めて私の人生を変えてくれた曲を聴いた日のことがふわっと頭の中に浮かんできて、「あのときと似てる気がする」と思った。
あの日も終演後、いろんな人とハグをして、「よかった」と言葉にして。ジワジワ熱い身体で、みなさんが歩く後ろ姿を追いかけながら、ジンギスカンとラーメンを食べに行った。
11月の北海道は結構寒かったけど、それでも「聴けた」という喜びで心も体も熱かったけど、それを共有できる人が近くにいて、それがすごく幸せだったなと思う。
そんな感覚に近しいものを感じられているような気がして、すこしジーンとなっていた。
久しぶりに参加させてもらった大人数の打ち上げは、これまた楽しくて。鹿児島の公演のnoteにも書いたけど、「こんなに喋ることあるんだな」と毎回楽しくなる。
たっぷり打ち上げを楽しんで、各駅の方に向かうとき「また武道館で」と言って手を振る人がたくさんいて、それもまた嬉しかった。
私も「来月武道館で!」と言って手を振って、まさかのご近所さんがいたのでギリギリまでサンボの話をたくさんして帰宅。
本当に良い日だった。帰宅後、いろんなことが起きてバタバタとしていて、なかなか振り返りの時間が持てなかった。
やっと自分の時間を持てたのが17日の夜のこと。部屋でセトリ通りに曲を流すなかで、「ああ、この曲をサンボマスターの三人がやりたいと思ってくれたんだ」という事実があることが本当に愛おしくてたまらなかった。
そしたら大量の涙がボロボロ流れてきて、二日間、いろんなものに触れて、たくさんのことを感じて、どこに行けばいいのか…と彷徨っていた心が、ドカンと爆発したんだと思う。
前日に『フィストダイバー』という公演を通して、これまでに感じたことの無いものに触れ、その感情の行き場がないまま、翌日は真正面からロックンロールを浴びて、そこには明確に受け止れる言葉があった。
「今自分は何を感じてる?膨大すぎて分からない」と見つめると深いところまで落ちてしまいそうな感じがあったけど、運よく、翌日の17日はバタバタと動くしかなかったから、1日時間を空けられた今、素直に「幸せだったな」と思えている。
どうしても私は見つめたものや触れたものを自分の言葉に落とし込みたくなる癖があるけれど、ちゃんと心の奥に届いていれば見つめる必要もないのかなと思った。そんなことを体と心で感じられた二日間。
『感じたそのまんま』
稲妻の歌詞にもあるように、そのまんまを受け止めて、また今日から日常に戻った。