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いざ、広島県の頂点へ

これから歳を重ねていけば、「勝つ」か「負ける」かのどちらかしかない瞬間なんてもう来ないだろうなとふと思った。何も思想家になって急に思いついたわけじゃなくて、命燃やしてそういう場所で働いてるからこそ骨の髄まで染み渡る。

帰国してからの約2ヶ月間、人生の全てを注いできた広島観音高校サッカー部での仕事もいよいよクライマックスを迎えてまして。年末年始にこたつに入りながらみかん食べてぼーっとしてたら、テレビで高校サッカーやってるでしょ。あれの広島県大会が始まるんで。こちとらまだまだ半袖で毎日グラウンドで紫外線浴びまくってます。さらに日焼けを加速させながら、この2ヶ月間で感じたことを少しだけ整理してみる。

監督に全国行こうってもう一度誘ってもらえたときは素直に嬉しくて、間違いなく今の自分を形作ってくれた(ドイツに行くまでの2年間でボロカスにしばいてもらった)感謝してもしきれない人の一人だから、自分にできることが少しでもあるなら断る理由なんてない。余談なんだけど自分の中で、人生におけるボスは2人いると思ってて、一人はもちろん観音のボスで「自分にベクトルを向けろ」って言われ続けてきた。もう一人はサイレンサーのボス。時代に訴えかける”Face Yourself!”はまさにこれで、キャラクターは全く違えど信念がブレない二人のボスに出会えたことに運命を感じるけど、これは運命じゃなくて自分の周波数。最高。

試したいことは山ほどあったし、一緒に入学した選手の最後に関われるのは嬉しくて、そのときの自分に何ができるのか淡い期待も少なからず抱いてたと思う。それでも働くうちに心と体がズレてきちゃって、人生で一番の高熱を更新した5日間を忘れない。”Face Yourself!”一年目にして「無病俺災」を達成できるって確信してたけど、体調をぐずぐずに崩すには十分な生活だった。でも、そういうときは決まって自分以外のものに目が向いてる。期待通りにいかなかったことを環境のせいにしたかったんだろうし、忙しいのを時間のせいにしたかったんだろうし、身体の不調を生活スタイルのせいにしたかったんだと思う。でも、自分のことを見つめてやるべきことをやっていれば風邪はひかないし、体調も崩さない。自分にベクトルさえ向いていれば、そもそも不平不満なんてものは出てこない。今思えば、このときはまだ意識がドイツから帰って来てなくて、チームに乗っかりきれてなかったんだと思う。でも転機は2回訪れて、メンバー発表した時の入れなかった3年生の顔を見た時と、この選手権が終わればきっぱりやめるって決意したとき。覚悟が決まった瞬間だった。与えられた仕事にもっともっと命を吹き込んで、チームに必要だと感じたことは片っ端からやった。毎日のように、今日チームが終わっても後悔ないか?って自分に問い続けて、歯を食いしばってやり続けた。不思議なもので、そういう変化はすぐにチームに伝わる。自分の仕事がチームのサイクルに欠かせないものになってきて、試合を重ねてミーティングを重ねるごとにチームがどんどん良くなっていく。これは全くもって驕りではないんだけど、人生で初めて自分の仕事に誇りを持てたからことで、「いてもいい存在」から「いなくてはならない存在」に少しはなれたのかなと。

これは最近よく感じるんだけど、この世に”人生をオールベットできるもの”がある人ってどれくらいいるんだろうって、それってすごく幸せなことなんじゃないかと。人生の全てを捧げるなんて常人にはとても理解できないだろうし、時間も労力も全てを惜しみなく注ぎ込んだとしても負ける時は負ける。別に全国大会に出たからってお金がもらえるわけじゃないし、次の仕事を得られるほど甘い世界じゃないし、じゃあなんで人生を捧げるのかって聞かれても誰もが納得するような答えは見つからない。でもただ一つ自信を持って言えることがあるとすれば、勝ったときの喜びは、あの興奮は、あの味は何にも代えられないってこと。試合終了のホイッスルが鳴った時、全てを出し切って泣き崩れるチームとその横を通り過ぎて抱き合うチームが混在するピッチを見てると、なんて残酷でなんて素晴らしいんだと思う。たかがサッカー、たかが高校サッカー、大いに結構!!!!!それでもこれに賭けるよ。

というわけで、第102回全国高校サッカー選手権大会 広島県大会開幕です。彼らの戦う姿は必ず、あなたが明日を生きるための勇気を与えてくれるんで、時間が合えばぜひ見に来てください。あと4つ勝って全国に行きます。明日が初戦、13:30キックオフ at 国際学院。準々決勝11/5(日) 13:30キックオフ at Balcom BMW 広島総合グラウンド。準決勝11/12(日) 13:30キックオフ at 広域公園第一球技場。決勝は11/19(日) 11:30キックオフ at 広域公園第一球技場。怪我をして試合に出られない3年生も、メンバーに入れなかった選手たちも、ここまで止まることなく駆け抜けて来たスタッフも、チーム一丸となって戦います。高校3年間の集大成をぜひグラウンドで、お待ちしてます。

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