【絵本原作】ほたるとおつきさま



1
よる きれいなみずがながれるおかで
ほたるたちが かがやいていました
なかでも ひときわピカピカ 
ひかりをだしているのは こどもほたるのルリです
「いちばん かがやきたいの」

2
ルリは あるよる そらをみあげて おもいました
「おつきさまは きれいだなぁ」

3
ルリは いっしょうけんめい
おしりをふって ピカピカピカ
それでも おつきさまのようにはひかりません

「おつきさまに どうやったら きれいにひかれるのか きいてみよう」

4
ルリは おもいました
「どうやったら おつきさままでいけるのだろう」
ルリは とりあえず とんでみましたが
とちゅうで つかれてしまいました
「そらは たかいのね」

5
ほかのほたるにも きいてみました
「おつきさまと はなしがしたいんだけど
とちゅうで つかれちゃったの」
「それなら しゃぼんだわをつくったらどう そらをプカプカまう あわよ」
それをきいて ルリは しゃぼんだまをつくりました

6
ぷくー さっそくしゃぼんだまを つくったルリは
しゃぼんだまの なかにはいりました
ぷかぷか ちゅうをうきました
「やったー」

だけれど、すぐに

7
パン!
すぐにわれてしました
「もっと ぶあつくしないと」
ルリは おおきなしゃぼんだまのなかにはいり
そのあと ぷっぷーと ラッパをふくように
いきをはいて たくさんのしゃぼんだまをつくりました

8
なんじゅうにもなった しゃぼんだまといっしょに
ルリは そらをまいあがりました
ほたるのおかが どんどん とおくなっていきます

そして おつきさまの あかりがちかづいてきました そのときです
「ようこそ ほたるさん」

9
こえをかけてきたのは おつきさまでした
「むかえにきましたよ なにかごようかしら」
「おつきさま こんばんは わたしルリ 
おつきさま みたいにかがやきたいの」
それをきいた おつきさまは ふふふと ほほえみました

10
「あなたたちだって きれいじゃないの そらから みてたわ いつかおはなしできればとおもっていたの」

そのとき ルリのしゃぼんだまが
ぐらぐら ゆれはじめました
「たいへん しゃぼんだまがひとつだけになってるわ
はやく あわをださないと」
ところが たくさんあわをつくったので
しゃぼんだまのえきが なくなっていたのです
「うわぁ おちちゃう」

11
そのときです ルリはおおきな あわにつつまれました
「あれどうして…あ!」


12
ルリのまわりには たくさんのほたるたちが 
しゃぼんだまに はいって ぷかぷかういていました
「ルリがしんぱいで おいかけてきたのよ」
「みんな ありがとう」

13
おつきさまは またほほえみました
「あなたたち ほんとうにきれいね」
たくさんの ほたるが そらからかがやいて
おつきさまと おなじくらい かがやいています

14
こんやは そらにふたつの おつきさまが
やさしく あかりを てらしていました。




















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