【絵本原作】ちょうおんぱおんちのベルとザト



1
うみのなかでは イルカやクジラは
ちょうおんぱ をつかいます
かいわしたり うたをうたったり するのです

2
ところが イルカのなかまベルーガのベルは
ちょうおんぱおんち
うまくなかまと コミュニケーションとれません
うたをうたっても 
おんていが みんなとずれてしまいます

3
「ベル あまりきにしないで いいたいことはわかるよ なんとなくだけど」
「そうだよベル うたもこせいてきで あじがあるよ」
なかまは きをつかって はげましてくれますが
そのやさしさが かえってベルにはつらかったのです
「うたの れんしゅうしよう」

4
ベルは よるになると なかまのむれをはなれて
だれもいない はなれじまのどうくつで 
うたのれんしゅうを していました
「キュルルルルル」
どうくつを はねかえってきました
じぶんでは とってもじょうずだと おもっているのに
だれにも つたわらないのは なぜなんだ

5
ばしゃん
うみから ザトウクジラのザトが でてきました
「なかなか かっちょいい うたうたうじゃない」
ベルは おどろきました
「そ、そう? ベルーガのみんなには あまりつたわってなくてさ」
「きぐうだね おいらも クジラなかまには つたわってないんだよ
だから こっそりれんしゅうしようとおもってな」
「ぼくといっしょだ よろしく」
ザトは うたいだしました

6
「キュルルルる」
ベルは はくしゅしました
「とっても いいうまいじゃない」
「よくわかってるな さすがだぜ」
ベルとザトは きづいていないのです
おんちどうし たがいのうたが うまくきこえているだけなのです

7
ベルとザトは まいにち どうくつでれんしゅうしました
「ベル まえより うまくなったんじゃないか」
「ザトも はくりょくがすごいよ」
それから まいにち まいにち れんしゅうすると
ザトは いいました
「よし おいら クジラなかまのまえで うたってみる」
ベルもいいました
「そ、それなら ぼくも」

8
ベルは イルカなかまのまえで うたいました
すると イルカたちは ゆっくりうなづきました
「まぁ なんとなくわかる」
「まえより あじがある」
あたりさわりのないことをいわれて
ベルは がっかり 
「やっぱり おんちなのか」
ベルは うなだれたまま どうくつにいきました

9
ベルが どうくつにつくと 
おなじく うなだれている ザトがいました
「おかしいぜ なかまにつたわらなかった」
「ぼくもだよ やっぱりぼくらは おんちなのかな」
ベルとザトは ためいきをつきました
そのとき どうくつのなかから だれかがいいました
「まってたよー」

10
そこには コウモリじいさんが てんじょうで
さかさまになって ベルたちをみていました
「え、コウモリさん いつからいたの?」
「ずっとまえからいたよー きみたちのうたをきいてたんだー
すごく きいててハッピーになるうたごえだよねー」
「きをつかわないください ぼくたち おんちっていわれてるんです」
「おんちだなんて とんでもない われわれコウモリにとっては
きみらのちょうおんぱは うつくしいハーモニーさ」

11
ベルはザト かおをみあわせました
「コウモリには つたわるんだ」
「コウモリじいさん いいセンスしてるぜ」
ベルとザトは げんきになりました

12
コウモリじいさんの よびかけで
どうくつのなかで 
ベルとザトの コンサートがひらかれました
コウモリたちは おおもりあがり

13
ベルとザトは なかまには 
あいかわらず つたわらないこともありますが
もうおんちが いやだとは おもいませんでした。






































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