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聖地の1勝【都立への勝手な期待】
今年2020年のドラフト会議にて巨人が4位指名で三菱パワーの伊藤優輔投手が指名された。
「都立小山台高校」を経て「中央大学」へ進学した後、社会人の「三菱パワー」へ入社、19年秋の日本選手権でも好投した。
もはや高校野球ファンでは名の通った「都立の星 小山台高校」の野球部出身で初めてのプロ野球選手である。
小山台高校は18、19年と2年連続の東東京大会準優勝であったり、今年の秋季大会では2回戦で名門「帝京高校」を相手にコールド勝利。
続く3回戦「日大三高」を相手に1点差の大接戦を繰り広げている。
※筆者が高校生だった6〜8年前の時点から小山台高校は関係者・ファンそして東京の球児達からも注目されていた。
【2012年夏東東京大会ベスト8 2013年秋季東京都大会ベスト8】
先に名を上げた「伊藤優輔」投手を筆頭にその年の「21世紀枠」に選出され、都立高校として2003年の雪谷高校以来の甲子園の土を踏んだ事は記憶に新しい。
昨年も東東京で言えば準優勝の小山台を始め
ベスト8の都立高島高校。ベスト16の都立紅葉川高校
西東京では都立豊多摩高校がベスト8。
ベスト16では都立総合工科高校。都立立川高校。都立保谷高校。都立府中西高校。都立練馬高校。(都立豊多摩高校)と上位進出の半数近くが都立高校なのである。
20年今年の東京都大会でも東東京ではベスト8に都立城東。ベスト16では都立足立西。
西東京はベスト16に都立日野高校。同じく16に都立武蔵村山高校。
同じく20年の秋季大会ではベスト4に都立城東が、そして2回戦では優勝した「国士舘」相手に都立富士森が2点差の接戦を繰り広げている。
また同大会では本大会には15校の都立が進出している。
19年にも18校が進出しており、近年では上位進出・本大会には多くの都立高が勝ち上がり見事な戦いぶりを繰り広げている。
都立が強豪と呼ばれる私立を破るジャイアントキリングはある種、東京高校野球において毎年のように起きていると感じている。
環境面を含めた「私立優勢」はもはや過去の話。
間違いなく都立高校でも甲子園に行ける
そしてプロ野球選手にもなれるのだ。
話を戻せば筆者が現役の頃、小山台高校とは年間かなりの練習試合をさせて頂いており、当時2年生だった伊藤優輔投手のブルペン投球を間近で見ていた。
その当時から球速は130前半は出ていたであろう。
綺麗なフォームで変化球のキレも良し。
そして何よりも印象に残っているのは
逐一キャッチャーに細かく状況を伝えながら1球1球丁寧に投げていた事だった。
登板機会を終えた後にも関わらず非常に考えながらピッチング練習を行なっていたのである。
そして小山台名物ともなっている「野球ノート」を離さず、ビッシリと反省点等を書き連ねる。
同じように野球ノートを書いていた筆者であるが、どこか義務的で悪く言えば「適当」に済ませていた自分が恥ずかしくなった。
そして伊藤投手はその翌年選抜で履正社相手に投げていた。
伊藤投手に限らず、小山台高校は非常に考えて練習に取り組んでいる。
定時制の為に夕方5時までと練習時間の限られる中、100人近くの部員が細かくローテーションを回しながら工夫された練習をしている。
【高校野球ドットコム YouTubeより】
だがそれ以上に選手達は「ハツラツ」と「楽しそうに」野球に取り組んでいる。
それは試合の時でも観戦していれば非常に感じられる小山台”野球班”の特徴だ。
例えば「勝つことを約束された」言うなれば「勝ちに飢えた」強豪私立は”いざ”という場面で非常に粘り強い野球を展開してくる。
設備は揃い、練習も夜までみっちりと取り組むことが出来る。
だが小山台は平日の練習時間が2時間も無い。
他の部活動とグラウンドを分け、かつ進学校である為に日々の勉強と”野球漬け”と言われれば決してそうではない。それは他の都立高校も例外では無い。
しかし過去では”珍しい”とされた都立の上位進出はここ数十年でみるみる増え始めている。
時代が変わったと言えば確かにそうかもしれない。
だが「甲子園へ行く」というその強い気持ちが少しずつ都立高校の野球部という心に花が咲き始めている。
約40年前に国立高校が甲子園の土を踏み、そして城東高校・雪谷高校・小山台高校と確かにだが紡いでいる。
4校が見せた背中は少しずつ時間をかけて都立で聖地を目指す球児達に届いている。
あと数年、もしかしたら来年かも知れない。
部員全員が同じ目標を向き、戦い抜けば必ずもう一度都立が甲子園に行く日は近いと感じている。
間違いなく「夢物語」ではない、確実に手が届く場所まで来ているからこそ都立優勝を期待してしまう。
そしてまだ成し遂げていない「聖地の1勝」を掴み取って欲しい。
その瞬間が訪れた時に、東京の高校野球の時代は変わったと言えるかもしれない。
1つ気付いたことといえば、過去に甲子園に出場した「国立」「城東」「雪谷」「小山台」その全てが”進学校”である。
限られた環境と時間の中、私立とはまた違った野球感の中、選手達が勉強と野球を両立させている。