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育児の狭間で家系ラーメン
父親からの育児代行連絡
私の父から妻にLINEがあった。
「2人でラーメンとか食べたかったら、父さんが見るから2人で行ってきていいぞ」新生児を育てる我々夫婦に救いのLINEが入った。救いというほど疲労困憊はしていない。ただ、経験がある方なら分かると思うのだが、新生児期間が終わるまで(1ヶ月検診が終わるまで)は赤ちゃんは外に出れないのだ。そのため、我々夫婦が2人揃って外に出ることは破水をしたあの日から今までない。
「明日お願いします!」
私から父にLINEをした。妻に届いていたのだが、妻が変に気を遣って連絡を取り合うのも大変なので、私からLINEをした。父の、いや今となっては"おじいちゃん"なのだが、そういう思いやりのある姿勢に尊敬する。もちろん赤ちゃんを見れるというチャンスなのは間違いないのだが、私は非常に愛をもって育ててもらったと心から思う。私の弟もそう思っているに違いない。そんな父親に私もなれるだろうか?
「おはよう〜」
「おはよう〜」
父は土曜日の朝10:00に山岡家で朝ごはんを食べてから登場した。パワフルである。
泣いた場合の対策(肌が荒れ気味だからオムツチェックの確認や、ミルクが欲しくなったらここ!など)をして、我々は家を出た。
育児の狭間で久しぶりの外出
束の間の夫婦時間。妻はテンション高めで、私はローテンション。妻はこういう時に正直にテンションを上げる。そんな明るい妻が大好きだ。妻とは裏腹に私は嬉しい時も基本的にローテンション。小学校のときから盛り上がるタイミングで盛り上がっていないマセた子だった記憶がある。マセたガキだと思う人もいただろうし、陰であいつなんだよって言われていただろうなと妄想しつつも、そんな芯のある自分は嫌いではない。
家系ラーメンで育児エネルギーチャージ
滅多にない2人時間のスタートは家系ラーメンだった。盛岡という東北の田舎にも家系ラーメンは進出しており、何店舗かある。
学生のときに池袋の家系ラーメンに行っていたことを思い出す。減量をして、1週間のご褒美に唸りながら麺を啜り、海苔とほうれん草でライスを頬張り、おかわり無料をいいことにライスを2杯食べる。そんな学生生活は遠い昔のようだ。(まだ20代で遠かったら今後どうなるんだ)
今回は盛岡の北側にある家系ラーメン「木村家」に来た。
木村家は二店舗あり、タンメンの店舗も一店舗ある。今回お邪魔したのは本店と言われているのだが、別店舗の方が先に出店していた気がする。
我々はここの家系ラーメンが好きだ。下手したら、私よりも妻の方がこのラーメンが好きかもしれない。妻も私もラーメン好きの範疇を超えていて、外食は必ずラーメン。絶対に啜らなくては気が済まない。妻に関しては悪阻の期間もラーメンを食べていたから本物だろうと思っている。
10:55に駐車場についた。普段なら11:00に開店してから車から出るのだが、久しぶりの外出でテンションが上がっていたのか、10:58に出た。コートに両手を突っ込み、前開きになったコートをヒラヒラさせながら、風の強さで前髪が壊れないように下を向きながら歩く。下を向くことでかけているメガネが少し下にズレる。パーマをかけている髪の毛は、風で揺れてちょうどよくなるようなパーマ具合になっている。
お店は案の定まだやっていないかったが、妻を扉の前のベンチに座らせて写真を撮った。誰も並んでいない店舗で開店前から並んでいる光景が可笑しい。破水前の日常に戻ったようで不思議な雰囲気がある。
久しぶりに来た木村家ではアプリが導入されていて、券売機の横にアプリのスタンプ画面が表示されていた。今まで紙でスタンプを集めていたので紙を出す。ちょうど良く一枚のスタンプが溜まり、次回のラーメン一杯無料券をGET。これがまた嬉しい。丁寧に対応してくれる店員さんにはすごく丁寧に接するようになったのだが、ここの店員さんは丁寧だ。おそらく、池袋にあった家系ラーメンの系風を受け継いでいるはずなのだが、それにしても池袋のお店の接客は凄かったなと思い出す。
至福の時間
ラーメンMAX(味玉、ほうれん草、チャーシュー、海苔が乗っている)とライスがテーブル中央に届いた。家系ラーメンでライスを食べないなんて邪道極まりない。もちろん妻もライス付き。
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まずはレンゲでコテコテに光ったスープをすくい、水分を含まないチャーシューやほうれん草にかける。これを2回繰り返す。息を吹き返したかのように輝きをましたチャーシューとほうれん草はライスに乗りたい雰囲気を醸し出す。その前に海苔をスープに浸し、スープの水滴がテーブルに溢れないようにライスの上に乗せる。箸で海苔の両端を抑え、ライスの方面に押し込む。海苔でライスを包み込み、朝から何も食べていない乾いた口の中に放り込む。自分の内臓が急な濃いお客様に動揺をしていることを感じながらも、遠慮なく流し込む。「うまい。」2回くらい妻に言った。妻も興奮気味に呼応してくれるから、たまらない。趣味が合うというのは心地よい瞬間であり、妻と合うというのは奇跡である。
長距離マラソンはペース配分が肝
妻は美味しくいただいたが、久しぶりだったのでキャパオーバーで少し残したので私がいただいた。身体も気にして普通盛りを頼んだが、残りを食べたから中盛りくらいになってしまっただろうか。
「いや〜うまかったねぇ」
「いや〜最高だった」
育児を代行してくれた父に感謝である。
育児はバランスとストレスとの向き合い方が非常に重要である。なぜなら、少なくとも20年ほどはこれが続くのだから。長距離マラソンはペースが配分が肝なのだ。
ラーメンを食べた我々はニトリでカーテンを買い、西松屋で子の服を見て、家に帰った。
また2人で家系ラーメンを食べることが楽しみだ。