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「ロマンス詐欺だ!」と思ったら

XでもInstagramでもFacebookでも、妙に輝いている海外の男性からのメッセージがひっきりなしに届く。

多くは「こんにちはあなたは美しいですね」と初手で私を賞賛する内容だ。アカウントをチェックすると、生活を謳歌した写真に、いびつな日本語が添えられていることが多い。おそらく写真は拾い物かAIを利用したもので、キャプションも機械翻訳しているか、自動生成しているのだろう。

あまりにも多く届くので嫌気がさし、DM機能を封じていた。しかしなんか妙に……私の投稿に対してリアクションをマメに送ってくるヨーロッパ在住の金髪男性のアカウントの存在が、妙に気になっていた。

私に興味を持つ海外のアカウントの多くはいわゆるハロヲタ(ハロー!プロジェクトのヲタク)、もしくは国民プロデューサー(PRODUCE 101シリーズの視聴者)だ。中には私の投稿を英語や中国語に翻訳して「日本のライターさんがこういう風に紹介しているよ」なんて翻訳転載されることもある。だからフォロワーが増えても気になることはあまりなかった。

しかしそのアカウントはハロヲタっぽくも国プっぽくもない。DMも送ってこない。投稿は数件しかなく、フォローもフォロワーもあまりに少ない。これもきっとSPAMだろう、と思っていると、Instagramのストーリーズが更新されていた。

「玉出でグラノーラぜんぜんみつからなくて30分探した!!!」

大阪の激安スーパー・玉出の店内を数人の友達とうろつく写真に添えられていた文章がこれだ。日本旅行中なのか。妙にリアルな光景で笑ってしまう。

たしかに玉出とかドンキの陳列って、ごちゃっとしててわかりにくい。海外の人ならなおさら困惑するだろう。あと、玉出にグラノーラなんておしゃれなものは確かになさそうだ。

それにしても、海外に来てまで「グラノーラが食べたい」という朝ごはんのルーティーンを崩さないタイプ? ちょっと頑固そうだし、おもしろいじゃん。っていうか実在する人間のアカウントだったんだ。AIかと思ってたよ。

最近は日本人女性に話しかけるとき「TOKYOに行ったことがある」と語るより「FUKUOKAに行ったことがある」とかちょっとズラして語るパターンが増えているらしい。TOKYOはあまりにも有名な都市である。より狭いワードを出すことで、リアル感が増すらしいのだ。

もしかして玉出もそのテクニックか? いやいや、狭すぎるけど。面白すぎるけど。うん、やっぱ人間だね。そこからも特にフォローを返すことはなかったけれど、そのアカウントからのリアクションを見つけるたびに「人間……」とぼんやりつぶやいて笑ってしまうようになった。

そんな感じでぼんやりと認知してから1年以上経った頃か。ついにそのアカウントから初めてコンタクトが届いたのである。

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