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16年ぶりに親知らずを抜いた話。

人によっては抜く必要がなかったり、綺麗に生えたりする親知らず。

私の親知らず、上の2本はちゃんと下向きに生えようとしながらも手前の歯の根にのしかかり生えきっていない。下の2本はといえば、これが両方とも水平埋伏智歯というやつであった。難しい言い方をしているが、ようは歯茎の中で水平に横たわって生えた親知らずが隣の歯の根に頭突きをかましている状態である。
 
痛みも何もなかったので、レントゲンを撮るまで自分の親知らずがそんな状態で眠っているなんて思いもしなかった。かかりつけ歯科医も、大人しくしている分には無理に抜くこともないですよと言っていた。
 
のに。

16年前の夏。

疲労が溜まっていたせいか、右奥の歯茎が急に疼き出した。どうにも痛んで仕方がないので歯科を受診したところ、歯茎が一部めくれて炎症を起こし、親知らずが顔を覗かせているという。どうにも耐え難い痛みだったので口腔外科を紹介してもらい、歯茎を切開して抜いてもらった。

その時は予想以上に根が深かったせいで担当歯科医が大層難儀し、麻酔を追加して歯を分割して抜くこととなった(当時麻酔が効いてたから定かではないが、やたらと口の中でガッツンガッツンやってたのはノミか何かだったのだろうか。歯が硬すぎるのも考えものである)。

暑かったせいか、切開箇所が大きかったのか。血の味が好きな私でなければ吐き気を催しただろうレベルで、抜歯後1週間くらいずっと口の中が血の味がした。そんな状態だったので、かかりつけ歯科医からは、もう一つの歯は炎症が起こらない限り無理して抜くことはないと言われた。 

のに。

16年の時を経て、ついにその日が来てしまった。
 
昨年の暮れに、左下奥歯の後ろの歯茎が炎症を起こした。
病院が休みに入る年越しのタイミングで親知らずを抜くわけにもいかず、薬で炎症を抑え込んで年末年始をやり過ごし、落ち着いてはぶり返すのを繰り返した1月末。
下顎の左側半分にじわじわとした違和感を覚え、それが前歯のあたりまで広がったところでとうとう我慢の限界を超えた私は紹介状をもらい、再び口腔外科の門を叩いた。
 
手術前にレントゲン撮影があり、たまたま残っていた16年前のレントゲン画像と見比べることができた。
水平に寝ていたはずの親知らずは、なんと5ミリくらい頭をもたげていた。どうもそのせいで歯が全体的に前に押し出されて、下顎全体の歯の根が疼くような感覚がしていたらしい。何してくれてんだお前。
 
今回は以前の歯ほど根が長くなかったようで、追加の麻酔もノミで歯を割るような激しい音もないまま手術が終わった。
割って取り出した歯を見せてもらったが、今回の歯は歯茎が捲れていた期間が長かったせいか、一部虫歯になりかけていた。悪化する前に抜けて本当によかった。
 
冬の寒い時期に手術をできたからか、切開箇所が短く済んだからか、以前ほどの出血はなく翌日にはもう血の味はしなかった。術後の経過が順調であってほしい限りだ。
 
1週間後には抜歯が控えている。
傷口が塞がったら祝杯をあげたいな。

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