ゆめにっき④
好きだった人が浜辺にいる。
どうやらバーベキューのようだ。
相変わらず人に囲まれて、如才なく会話を交わしながら、アレコレと動いている。
手にはコカ・コーラの紙コップとトング。紙皿を持った人たちに手際よく焼けた肉を分配しているのが見える。
私は浜辺を見下ろす鄙びた宿の窓辺にいた。好きだった人の笑い声が耳に届く。
あそこには行けない、と私は思う。あそこに行けば、あの楽しげな雰囲気は消えてしまうだろう。好きだった人の顔が曇るだろう。
私は浜辺を見ている。
好きだった人は白いシャツを着ている。
白いシャツを着たところなど見たこともないのに。