プログラマーを殺す元号
ソフトウェア開発に「仕様」という用語がある。システムがどう動けばいいのかという取り決めのことだ。シンプルであることが、良い仕様のひとつの条件だと、個人的には思ってる。
さて、西暦と和暦を使い分けるというのは、シンプルだと言えるだろうか。西暦だけを使えば、すべてが丸く収まるように思える。ある時期、和暦を使うのが嫌になって、婚姻届にも西暦で記入して提出した。窓口の人に「西暦は外国人だけしか使えないのです」と突き返される。あれ?外国人が使えるということは、西暦で処理するシステムは存在しているということでは?
和暦の面倒なところは、元号が変わり、数値がリセットされるところ。ソフトウェア開発に話を戻すと、新元号とその開始日は、そのうちWindowsなどのOSが対応してくれる。しかし、業務ソフトとなると、その対応を待っていられない。ソフトウェア側で対応することになる。つまり、開発をして、テストをして、出荷という工程が必要だ。
新元号が「令和」と発表された。1年間の猶予があったのに、何故、1ヶ月前に発表するのか。プログラマーには準備期間が必要なのだ。もちろん、仮の元号で開発をしておき、発表されてから差し替えるという手順を踏む。ただ、元号というのはガイドラインはあるけれど、それに従うとは決められていない。
漢字3文字だったら…表示幅に収まらない!頭文字が再び「H」だったら、「H」キーで「平成」と入力されるシステムはどうなる?パソコンで表示されない漢字だったら…「たいと」は「雲雲雲龍龍龍」を組み合わせた漢字で、パソコンでは表示されない。
さすがに、そんな無茶はしないだろう。「元号はこうやって決めますよ」という「仕様」を信じて開発するしかない。ソフトウェア業界にはこんな言葉がある。
「プログラマー殺すに刃物はいらぬ、仕様を3回変えれば良い」
元号の場合は、3回と言わず、仕様が1回変わるだけで、多くのプログラマーの命が失われるのだろうなあ。
今回のテーマ「元号」
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