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成功したのは成功したから、生存バイアスについて

書店のビジネス書コーナーには成功者の本が大量に並んでいる。そもそも何をもって成功とするのかという議論はあるのだけど。成功者はこういう風に考えてこういう風に行動したのだという軌跡をなぞることができる。以前はこういった本を好んでい読んでいた。しかし、ある時期からは書棚に近寄ることもなくなった。

生存バイアス(生存者バイアス)というものがある。ある方法で成功した人がいたとする。その裏では同じ方法で成功しなかった人が大量にいる。しかしメディアは成功者しか取り上げないから、その方法を使えば成功すると認識してしまう。成功した起業家が「会社や学校を辞めて起業しろ」と言ったとしても、それで失敗する人も当然いるだろう。けれども失敗した人に光が当たることはないから、誰もが成功者の言葉を信じてしまう。

努力は報われるのだろうか。努力してうまくいった人は努力することの大切さを説く。一方で同じだけ努力してもうまくいかなかった人の言葉を聞く機会はない。それを努力すれば報われる、うまくいかないのは努力が足りないからだと言ってしまうのは乱暴ではないだろうか。

人生に「こうすればこうなる」という法則はないように思う。時期が違うし、環境も違う。人の能力や性格もそれぞれだ。一部を参考にするとか、モチベーションを上げるために成功者の本を読むのは悪くない。けれども盲信するのは危険だろう。

同じ理由で育児書も基本的には読まないようにしている。同じ環境で同じように育てても兄弟で差が出るのだから、まったく違う環境で育児書に倣って育児をしてもうまくいくようには思えない。まったく逆のことを書いた本が並んでいたりするのだから、正解などないことがわかる。

ただ、書籍というメディアの性質上「道筋を示す」ことはできている。それが正解かどうかはともかく。多くの人は自力で道筋を考え出すことが得意ではないと思うので、他の人の示す道筋に乗ってしまうというのも悪くはないんじゃないかと思ったりもする。もちろん、用量用法を守った上で。


「シングルパパ起業家はがんばらない」が本になりました。

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宮崎ひび
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