物理的にお金のない週末
普段、お店に行くと、クレジットカードか電子マネーで支払いを済ませている。レジで小銭をかき混ぜるのは手間だし、列の後ろの人を待たせてしまう。それにひきかえ、電子決済の支払いは、ちょっとした優越感を感じることができる。こんなにスマートに支払いを済ませる自分、最高にクールだ。
バスや電車に乗る時、コンビニでシュークリームを買う時、交通系の電子マネーを一つだけ持っていれば良い。書店でカメラ雑誌を買う時、牛タン専門店で会計をする時、大抵はクレジットカードを利用することができる。気がつけば、財布に現金がいくら入っているのか、気にしない生活になっていた。千円札が数枚入っていれば良い。
ところが、である。財布の中の現金が明らかに少ない。いや、そもそもお札が一枚もない。小銭を数えてみると、327円。土曜日なのでコンビニのATMは手数料が平日よりも高い。327円で土日を過ごすことができるだろうか。
かくして、不安な週末が始まった。ランチを食べようにも、このお店は電子決済に対応しているのだろうか、と事前調査が必要になる。子どもたちに頼まれた買い物。文房具屋が現金のみ取り扱いだったらどうしよう。お金がないわけではない。銀行には、カメラを数台買えるくらいの預金はある。ただ、手元にお金がないのだ。
こんな時に限って、子どもたちに外食をせがまれる。回転寿司を食べに行きたいらしい。大丈夫。回転寿司なら、クレジットカードが使える。大人の余裕を醸し出しながら「仕方ないなあ。特別に連れて行ってあげよう」と、子どもたちに恩を着せる。意気揚々と出かけ、地下鉄の券売機の前ではたと気付く。子どもの切符は現金で買わなければならないのだ。やむを得ず、長女にお金を借りて切符を購入。大人の余裕はどこへ行ったのか。
なんでも電子化すれば良いというものではない。物理的なモノも必要なのだな、と感じた週末だった。と、締めようと思ったのだが、すべてのお店が電子決済に対応すれば、現金は必要ないじゃないか。早くそんな世の中が訪れることを望む。
今回のテーマ「電子マネー」
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