喫茶みるく♯3 フラ子のやってみたいこと
小さなフラ子。やってみたいことあったかな?そうだ、小さなフラ子は、、日記を書くのが好きだったんだ。その日、フラフラと感情が揺れたこと、迷ったこと、文章にして書いていると、気持ちが落ち着いて、ああ、あたしは、こういう感情だったんだ、こういう考えだったんだ、だから迷っていたんだって、気づくことができていたんだった。友だちとの交換日記、書くの好きだった。フラ子の日記、面白いって言ってくれた友だちがいた。
大きくなるにつれて、周りに日記書いてる人なんかいなくなったし、文章書くって根暗なイメージだし、、自分の暗い部分と向き合うのがこわくなってすっかりやめてしまっていた。
だけど本当は、文章を書いているときの自分が、真っ直ぐに自分と向き合えていたように思う、、
そんなことを思っていると、
ウーロンが、「水晶玉、、じゃない、何だかカードを引きたい気がする」
と、カードの束をだして、カードをよく切って、円に並べた。
「ここから1枚選んで」
と言ったので、あたしはパッと目に入ったカードをひく。
「Book」というカードが出る。
書斎で、女性が何か文章を書いている絵柄だった。
「あの、ウーロン、あのね、あたし今、本当は文章を書くのが好きって思っていたの。そしたら、このカードが出て、偶然。びっくり」
「当然よ。あなたが真っ直ぐな気持ちになって選んだのだから」
「そしたら、文章をかきなさい。それがあなたの自信になるよ。書いた物はよかったら私にみせてよ」
と、ウーロンは言った。
女主人がその会話をきいて、出てきた。「書いてよ。あなたの本読んでみたい。私とウーロンのことも書いてほしいな」といった。
あたしは自信をもって「はい」とうなずくと、急激な眠気に襲われ、そのままテーブルにつっぷして眠ってしまった。
目が覚めると、マンホールのふたの上に倒れていた。ふたにつまづいて転んだような形で。「家に帰ったら文章を書こう、書きたいことが沢山あるんだ」とあたしは立ち上がり、確かな足取りで歩きはじめた。 おしまい
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