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24カラットの言葉


静かに風景を眺めていたら、知らぬまに頭のなかのざわめきがすーっと消えて、視界のなかで動くもの、たとえば、流れる雲や、鳥の飛翔、風にそよぐ葉や、水面のゆらめき、きらきら跳ねる光を、ただぼんやりと目だけが追っている。


そんなとき、ふと、奥底からあがってきたあぶくがはじけるように、言葉が声となって出てくることがあります。


それがすばらしいアイデアなら喜ばしいのですが、残念ながらたいてい、気に入ってよく口にしていたフレーズのうちのどちらかです。


ひとつは、


 弥生やよいついたち、はつつばめ


上田敏の訳詩集『海潮音』から、ガブリエレ・ダンヌンチオ「燕の歌」の冒頭です。


もうひとつは、


 かっぱかっぱらった とってちってた


谷川俊太郎さんの『ことばあそびうた』から、「かっぱ」の前半部分を縮めたもので、本来ならあいだに「かっぱらっぱかっぱらった」が入ります。
これは子どものころに、瀬川康男さんの絵もすきで、くり返し読んでいた本でした。


92歳になられたいまも変わらず創作活動をされている谷川俊太郎さんの言葉は、いつも不思議です。
なにも纏わず濁りも混じりけもなくてまっさらなようなのに、深みがある。
純度が高い言葉のように感じます。



   『すきのあいうえお』
     文:谷川俊太郎
     写真:田附勝
     説明文:草刈大介
     出版社:ブルーシープ


これは 「美しいより、おもしろく。意味があるより、おもしろく」をキャッチフレーズに、全国を巡回中の「谷川俊太郎 絵本★百貨展」のためにつくられた絵本です。
谷川俊太郎さんが選んだ 「あ」 から 「ん」までの 「すきなもの、すきな言葉」 にあわせて、田附勝さんの日本全国を旅して撮った写真が載せてあります。


「あ」 の 「あられ」 からはじまって、ひと文字のもの、オノマトペのものなどがあり、『ピーナッツ』のスヌーピー初登場のセリフ 「ん?」 でおわります。


出版社のサイトには、こうありました。

「すきのあいうえお」をみんながやったらいいね、と谷川はいう。自分の「すき」を言葉にしてみると、ああそうか、と、忘れていた自分を発見する。そして嬉しくなって、自分のことがすきになる。『すきのあいうえお』はそんなことを提案する、おもしろい本だ。

Blue Sheep


ということで、やってみます。



青空
糸とんぼ


オムレツ
貝殻
気球
栗きんとん
ケーキの本『素材より素材らしく』
小鳥とその啼き声
山野草
刺繍
スノードロップ
せせらぎ
蕎麦
炭酸水
地球えいとビーナスベルト

てんとう虫
図書館
ナッツ

布かばん

海苔
羽二重もち
日なた
フェルメール
ヘンデル


みかん
蒸しパン
メタセコイア

山がある風景
湯ぶね
夜明け
ラムネ (お菓子)
リネン (麻)
ルチルクォーツ (※持っていません。)
蓮根
ロープワーク
わが家
ンゴロンゴロ保全地域と野生動物
   (※行ったことはありません。)



ラムネが一緒でしたが、谷川俊太郎さんは飲みもののほうでした。
どちらにしようか迷ったもの、しぼりだしたもの、濁点・半濁点はじまりでやめたものと、いろいろあります。
これには、個性がでそうですね。

やってみませんか?


ちなみにですが、
わが家の食欲王が 「すきなあいうえお」 は、
アジ、イクラ、ウニ、エビ、お肉、です!



世界が、
あなたとあなたの大切なひとの
すきなものであふれていますように


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