「おつかれさま」詩/シロクマ文芸部
【おつかれさま】
働いても働いても
満たされなかったあの頃
飼いならされた会社員のような
ただ大人しいだけの羊でした
仕事の評価が全部だと
思ってしまう大失態でした
小さな空間の中での
上下に派閥
息をする場所が狭すぎました
会社のために働くのではなく
自分のために働きたいのです
働いて
働いて
今度は何をしようか
今度は何処へ行こうか
深呼吸
深呼吸
もっと単純になってよかったのです
働けることのよろこびに
通勤電車の吊り革にすがって
自由にいねむり瞑想タイム
ときおり
街空で出会える夕焼けは
ためいきやつらさではなく
今日も一日を終えることのできた
生きるものたちへの
空からのおくりものだと思いたい
もうよわむし羊なんて思いたくない
僕は正真正銘の「ひと」なのだから
あなたはなにさま?
あなたは今日もおつかれさま
働いて
働いて
疲れた冬は
一本でもはやい電車に乗って
住み慣れた家に帰りたい
あついお風呂に入りたい
あついスープをすすりたい
あったかいお布団に
一気に飛び込んで眠りたい
今はとっても冬だけど
今日もあなたはどこまでも
けなげでまじめな
おつかれサマー
※シロクマ文芸部 お遊び企画 「働いて」に
参加させていただきます。よろしくお願いいたします。