爽(詩/シロクマ文芸部)
【爽】
コンビニの爽やかなサイダーにも飽きた
CMで知った爽やかな柔軟剤の香りにも飽きた
ファッション誌の爽やかなトップスにも飽きた
なんだか急にぜんぶがぜんぶ
仕組まれたもののように
都合よくつくられたもののように
嘘っぽく思えてきて
私が今生きていることさえ
嘘っぽく思えてきてしまう
このもどかしさ
彷徨うように
街を散歩した青空の秋
お行儀よく並ぶハコモノの凹凸
第三者目線で見上げた
揺れる並木の色
風がゆっくり雲を撫でる午後
今一瞬でも
あの凹凸から
抜け出せたと思うだけで
もどかしい私の曇り空は
風の匂いも色も
たちまち爽やかな
秋のいでたちに変わってゆける
なるようにしかないものにも
高く突き抜ける空は
光と風をそそぎ続けてくれるのだ
胸の奥底に張り詰めた霧を
ゆっくりと剥がしてくれる水色の和
飽きることのない
この世の秋の風と空の豊穣の爽
ここにある青きいのちと
共に生きることのできる親愛の爽
私という
小さな箱の中にも今
意気揚々
霞むことなく奏で続けてくれる
※「シロクマ文芸部 お遊び企画/爽やかな」
に参加させていただきます。どうぞよろしく
お願いいたします。