サクラなる器
あれは2年前の桜の頃、漣(sasanami)という写真集の出版記念イベントで、その写真家山本さんのことも内田さんのことももちろんクラヴィコードについても知らず、共演される坂本美雨さんの声が聴いてみたいと思って伺った場でのことだった。
壁に投影される写真も山本さんのお話も森岡さんのチャーミングさも素晴らしく、いよいよというとき、
「この楽器はできるだけ音を小さく奏でるためにつくられた楽器なので、聞こえないかもしれないです。」
という内田さんの言葉でライヴは始まった。
頭に浮かんだ?は瞬く間に天空に吸い込まれたまたま会場に居合わせた数十名の参加者全員が星となって宇宙を構成しそれぞれが瞬き響き合っている感覚に襲われた。
殊、内田さんは楽器との境目がわからないほど振動体として暗闇の中に光の粒として昇華していくように観えた。
ぽつりぽつりと言葉少なに語られる内田さんの真実がまたその体感を促し、聴く観る感じるの概念がスルスル外され自分という境界が消えていく。
この日観たもの聴いたもの感じたことは私の中で響き続けていて、その限り私は大丈夫、世界は大丈夫と信頼できるのだ。
この感覚は私にとってお茶の時に感じる宇宙観と似ている。
それぞれがただ今ここに在ること、在り合うことで、震え震え合い、照らし引き出され合うことで大いなるものの一部として生かし生かされているという揺らぎないenpowerment, enlightenmentの感覚。
内田さんがご自身、そして楽器を形容される器という存在を思う時、ちょうどその頃に読んでいた柳宗悦の「工藝の道」の器について書かれた一節が思い出され謙虚な全能感をもって諸々を手放せる気がしてくる。
「自然の愛を受ける器を美しき器と云う。-中略-
私たちは自らを救おうととすべきではなく、どうしても救おうと誓う仏に一身を任さねばならぬ。-中略-
どうにかして自身で美を生もうとするより、どうしても美を贈ると誓うあの自然に一切を委ぬべきではないか。」
あの日以来、いつかと思ってた場を信じられないほどの巡り合わせで3/21、春分の日に実現できることになった。
日本の伝統、精神を現代の解釈で伝えるHIGASHI-YAMA Studioさん、higashiyaさん、茶方薈さんにご縁ご協力頂き一つのお茶事と見立てしつらえて。
決まってから毎日吐きそうなほどドキドキしてる。笑
よろしければぜひこの体験をご一緒に。
2023年3月21日(春分の日)
内田輝 live -器- @HIGASHI-YAMA Studio
昼の部
open13:20 start 13:40 -15:40
夜の部
open17:10 start 17:30 -19:30
料金 9,000円(税込)
季節の和菓子 higashiya
茶 saboe_tea
HIGASHI-YAMA Studio
https://higashiyama-tokyo.jp
春分の日
季節の和菓子と茶、
2台のクラヴィコードを響かせて
皆様をお迎えします。
なるべく少人数で生音を聴いて頂きたいので、昼夜を分けて演奏致します。
一旦立ちどまり、深呼吸をしてクラヴィコードの小さな声を感じて頂ける時間になればと思っております。
何卒宜しくお願い致します。
内田輝
【ご予約/問合せ】
miki.hibana★gmail.com ★→@
企画担当 : Miki
https://www.hibana-to-bloom.com
https://m.facebook.com/events/1125261751478414
or
https://www.instagram.com/p/CowuWgwvx-r/?igshid=YmMyMTA2M2Y=
【内田輝(うちだあきら)】
音楽家、クラヴィコード製作者、調律師。サックス奏者として活動後、ピアノ調律を吉田哲氏に師事。音の調律から観る様々な音との対話方法を伝える『音のワークショップ』を開催。楽器製作家、安達正浩氏の教えのもと、14世紀に考案されたクラヴィーコード (鍵盤楽器) を製作。
自ら楽器を作り、音を調律し、音楽家であること。この流れを大事に世界を観る。
2021年夏、清水寺舞台板から内田氏自ら製作したクラヴィコードでの奉納演奏の記録 「silk road – a path of prayers」https://youtu.be/S_7CcJNZ3-8
akira-uchida.jp
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