異世界探報期:転生貴族

あのーまた俺、何かやっちゃいました?
やりすぎだ!

あのーまた俺、何かやっちゃいました?
やりすぎだ!

あのーまた俺、何かやっちゃいました?
やりすぎだ!

三拍子で構成されるワルツですらない、ドラムの序奏だけが延々とループする様相はn時間耐久系の動画のそれに匹敵する。

主人公が何をしたかは割とどうでもいい。お手本のようなどうでもよさは久々に心が落ち着くアニメ流し見体験をさせてくれた。最近のが酷すぎただけともいう。

異世界技巧:子供にマジになってどうすんの

誤解を恐れず言い切ってしまうが、「また俺何かやっちゃいました?」はバカである。自分の能力の範囲内の事象が起きたとして、その結果を予想できないのはバカとしか言いようがない。周りの人間のレベルが低すぎることを一回自覚すれば以後修正すれば良いわけなので、懲りもせず同じようなミスを繰り返し続けるのは完全にバカ以外の何者でもない。

同じことをぐるぐると繰り返すのが様式美にする手法の一つは愛嬌を感じさせることだと思う。愛嬌を感じられるのは少なくとも主人公のミスが誰かの迷惑とかは無縁だからで、自分の力の大きさをよく理解せずしょっちゅう暴発させる人間には愛嬌が感じられない。

小学生が時速300kmでる車を公道で乗り回し何回も何回も事故未遂を起こすところを想像してほしい。言いたいことは「勘弁してくれ」だろう。

また俺何かやっちゃいました?は通常それくらいのリスクを孕むのだ。そこをこの作品は主人公を子供に(といっても前世の記憶は普通に青年になった経験を有しているが)してやらかしもイタズラレベルのものを一定の割合で混ぜることで多少は緩和している。

似たような主人公が子供の作品に神達に拾われた男がある。あれはしょっちゅうヨイショが入っていてしかもそのヨイショをなんかいい話風に仕立てているからかなり現代人の夏休みに帰りたい願望を押し出していて悲しくなるが、この作品はオーディエンスが「〜を〜しただって〜!?(完璧にハモる」と大袈裟に驚いて見せるなどコメディに振ってこれまた緩和を測っている。主人公が活躍するためだけに不必要に貶められる人もいないバカの一人芝居なのも「底」と比べれば好感触だ。

まあ、その、なんだ。緩和しても元がクソつまらんから結局クソつまんないままだし、だからWikipediaにほとんど記述がないままアニメ化されたと思う。


主人公がショタだと下品な媚び方をするアバズレの痴態狂態を見ることがないのでどこまで行ってもチープ止まりなのは個人的には評価したい。0点を割ることはまずないわけだ。ひたすらウンザリさせて食傷気味にはなるが胃に穴が開くようなストレスには襲われないくらいの塩梅。

忙しい人向けの修行回

8話まで一生同じ形式でバカのPDCAサイクル(パニック発生→Do(解決)→チェック→呆れられる)を回していたところ9話で急に風向きが変わる。

過ぎた力を振るうための敵(目標)が設定され、現世の段階から敵との因縁が主人公にあり、足りない力を補うための修行が始まる…!


http://www.taikaisyu.com/00roc/roc-010/10.html

お前まさか…面白く、なるのか?

主人公は精神と時の部屋に飛ばされる。最初の修行はスタート地点までに戻ること。

…そして1年が経過した。


色々あるでしょ、主人公のモチベーション確認とか、新たな能力/魔法を会得するとか、見てるだけでワクワクする修行方とか、そういう面白い要素をテンポよく流すんだよ。

一応主人公の原点(人助け)の確認だけはして、

…そしてさらに四年が経過

ナレ死さえ超越した何か、なにこの…なに?間違えて30秒スキップ押した時みたいになってんスけど。

修行の第一段階を終えた風な体で主人公の身長は伸びてしまった。そして元の異世界では5日しか経っていないが心配する人々、いや主人公と一緒に5年が経過した視聴者はこいつらと気持ち噛み合わねえだろ。主人公とも噛み合ったことないけどさ。

そしてあと1年くらい修行した。修行の間に時系列が一度5年目に戻って主人公の両親の転生譚が明かされる。唐突すぎるし伏線も何もあったもんじゃないので( ´_ゝ`)フーンアッソって感じである。なんなんだ、もう。

そしてペット2匹と共に修行を完了し、肉体を幼少期に戻される主人公。まるでまたシリアスからコメディに戻りますよと言われているような気分である。

最終回

ラスボスが部分的に復活し今まで出たキャラの見どころを作りつつ大激闘!

主人公とラスボスでビームの撃ち合いして「人助けがしたいんだ!それの何が悪い!」と叫ぶ。気づいたらラスボスが消し飛んでた。押し返す的な演出せずに「主人公さんやりすぎっすよ」と諌められる展開は割とどうかしている。初めて全力を出して事態の収集にあたるべき相手が出てきた直後にそれは流石に萎える。その様式美は真っ当なカタルシスを押し除けるほどのものなのか?

そしてモノローグ、これまたハイライト風に新しい領地での主人公のやりすぎ列伝が列挙される。荒れた領地を改革するという真っ当な目的の元、主人公が剛腕でスピード解決し、バックコーラスの驚き讃美歌が控えめだと正直ちょっと面白い。味がうっすい果実でも凍結濃縮すれば多少は味がする。

まとめ

コメディに振り切ったり細かい工夫で決して不快にはならないのは直近のエッジが効きすぎた作品と比較して明確に偉い点。加えて9話と12話は振り切っててちょっと見所を感じた。15点くらいかな。

でも2期はやんなくていいから。やるなよ。

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