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異世界探報期 神は遊戯に飢えている

あらすじ

人類 VS 神々  至高のファンタジー頭脳戦!

暇を持て余した神々が作った思考の頭脳ゲーム「神々の遊び」
神々から神呪(アライズ)を授かった人間は使徒と呼ばれ、「神々の遊び」に10勝した者は莫大な祝福を得られる。

しかし、完全攻略者は ─── 未だゼロ。

なぜなら神様は気まぐれで、理不尽で、たまに理解不能だから。
永き眠りから目を覚ましたばかりの元・神様の少女・レーシェは開口一番にこう宣言した。

「この時代で一番ゲームの上手い人間を連れてきて」

そして指名されたのは、ゲームをこよなく愛す少年・フェイ。
彼は無敗のまま3勝を積み上げ「近年最高のルーキー」と期待されていた。
フェイはレーシェと共に「神々の遊び」に挑むことに。

完全攻略を目指すフェイとレーシェの、神々との究極頭脳戦の幕が今、上がる———!

公式サイトより
またすか

かかってこいや!


ゲームって?

ゲーム: game)は、勝負、または勝敗を決めること。守るべきルールがあり、環境または他人との相互作用を元に行われる行為または活動である。競技性を高めることで「スポーツ」になる。

日本語へ取り入れられた際にプレイ: play)と混同され、国内では和製英語として、「遊び」や「遊戯」、近年では「競技」の意を包含して使用されることもある。そのため本項では「ゲーム(勝負)で遊ぶ」にも重点を置いた解説をするが、当然ながら日本以外では遊戯の意を含まないことには留意する必要がある。

Wikipediaより

ゲームの構成要素はルール・勝敗にまつわる条件、加えて賭け事が付随する場合はご褒美やペナルティも加わるだろう。あらすじに頭脳戦と銘打たれていることもあるので、頭脳戦で登場人物達が争い主人公が活躍する展開とはどのようなものかを一旦考えてみよう。

まずはゲームのルールが面白い必要がある。ジャンケンのようなシンプルすぎるゲームではどうあがいても映えないので様々な要素(ルール、ペナルティ、ご褒美)を足してゲームに十分な駆け引きを生む土壌が必要になる。ゲーム内にルールに則った駆け引きが十分にないと、キャラクターの格好いい台詞とかで時間を稼ぐ必要が出てくる。ジャンケットバンクとかな

ルールがちゃんとしている場合をさらに掘り下げると、まずはルールから生まれるセオリーを提示され(e.g.このゲームには必勝法がある!)、セオリーを踏まえて駆け引きをし、そのうえで主人公が心理戦でその裏をかいたり、トリックを使って勝ちに行ったり、ルールに隠された意味を推理するのがよくある展開。そのようにして、主人公の「頭脳」を見どころとして読者に提示していくことになる。

難しいところは読者に隠されたルール、トリックや決着への伏線をちゃんと提示しつつも初見の読者にはその裏にあるものをすべては悟らせず、読者が気づけたはずなのに気づけなかったことに主人公が気づくことで頭脳の演出をしなければならない点だろう。

兎にも角にも土台になるゲームはちゃんとしたものでなければならない。描写したい主人公の魅力に応じて多少形は変化するとはいえ、面白い作品のゲームは大体まともな作りをしている。この価値観に沿って視聴した時、このアニメにおけるゲームはどうなのか?

クソゲー

もうおわりで~す。

設定としては神々の用意したゲームに人間がチームを組んで挑む方式。人間は神に特殊能力のようなものを与えられている。(これが複数所持じゃないしゲームごとに入れ替えじゃない点はライアーライアーに比べてちょっとまとも。比較対象も極め付けのクソゲー揃いで五十歩百歩だが…。

勝敗の条件のみが最初に与えられて、ゲームが進むごとに追加で課されている裏ルールを解き明かし、最後には勝つという構図。隠しルールを探るというやり方そのものは悪くないんだけど、裏ルールを推理する過程が基本的にザルでしかもそのルールもかなり酷いのでひたすらやるせない。

クソゲーなことが悪いわけではない。恐らくは対等なゲームというより神(上位存在でdivineというよりはsplits的な存在)による人間への知恵比べ・試練というべき課題なので多少無茶があってもいい。問題はデスゲームのような緊張感がなかったり、主人公が試練を越える方法がご都合気味なせいで凄みを感じ難いところだ。答えを見ながらテキストを解いて「どうだ全問正解だぞ!」って言われた時みたいな…解き方の説明も自分の言葉で言ってないみたいな…。

そもそも至高の頭脳戦を謳っておいて、割とフィジカルを求められたり、主人公チームでの役割分担や能力の使い方がよくわからなかったり…全体的に頭脳戦ものの魅せ方に対して作りこみが浅い印象を強く受けた。あらゆる構成要素のクオリティがとにかく低い。

ネタばれ込みでいろいろ見ていってみよう。

第一ゲーム 神ごっこ

ルール:かくれんぼ、鬼ごっこが足された遊び。リバーシの要素も含まれており、最終的に全員自軍にすると勝ち。

評価:「二つの遊びを足すと見せかけてもう一つ足されていた」のアイデア一本勝負。どうやって相手を囲む?についてもうちょっと駆け引きをするべきだった。ルールを明かしたら即勝利だが、対戦相手はそもそも全てのルールを把握して動いてるんだから相手にルールを解かれた瞬間あっさり負けるのおかしいだろ。なんで相手が気づかない前提で隙を見せるんだよ。

第二ゲーム 禁断ワード

ルール:相手の神様に言ってはいけないワードを言わせる。

評価:ガチのクソ。そもそも相手とのコミュニケーションでやるゲームかと思いきや、相手はしゃべれない。痛いというキーワードにしてもヒントをルール解説マンに教えてもらうとかいうまさかの展開。加えてクソデカい龍に痛いといわせる工程でフィジカル勝負をする頭脳戦じゃねーのかよ。これも「クソ強い神に傷をつけられるのは自身」というワンアイデアで構成されている。推理の過程も逆算で作りすぎてて自然な流れではない。そもそもプレイヤーの特殊能力の組み合わせによってはゲームの攻略が不可能な展開なのもクソ。主人公チームの能力はやたら強いせいで、司令塔の主人公がそれらをうまく使った感がない。物体固定能力しかない主人公だって世の中にはいるんですよ。

第三ゲーム Mind Arena

ルール:すごろくとカードゲームを足している。先にゴールするか相手のライフを0にすると勝てる。

評価:ルールが特にめちゃくちゃ。72種類のスキルカードがすべて事前に教えられているのに、登場人物全員が「○○のカードを相手にもたれていたら…」という考慮をしない。加えて、1ターンのカード使用枚数の制限がないせいですごろくは3ターンくらいしかやらない。スキル連打ゲーなのに用語の説明がなく速攻魔法や永続魔法に相当するものが後出しでポンポン出てくる。

これこそおおよそのルールが開示された段階でセオリーに考察が出そうなものだが、そういう駆け引きもほぼなく主人公の判断の根拠も不明瞭。後出しジャンケン以上の感想がない。カードゲームものは「〜で有利を取れるぜ!」の前振りがしっかりしてないと「それはどうかな!?」が意味なくなっちゃうんだが?スキルカードの補給手段については駆け引きを生みそうだし、5~6ターンはかけてじっくりやれるところを雑に消化している。

ここはもう少し文句を言いたいので補足しておくと、time twister

お互いが強制的に7枚ドロー

のようなカードとn枚以上ドローしたら大量バーンのカードを組み合わせて、ヒロインBのHPを削り切ろうとするシーンがある。ヒロインはそれに対して手札を吐き出してライフを守り切ろうとする。ライバルは「予想外の健闘だ!すごい!」と褒めてくる。…そりゃそうだろ。手札1枚のところから3枚も追加で引かせたんだから。ライフ攻撃のカード枚数的なコスパがかなり悪く、アドバンテージの概念をあまりご存じでないのかもしれない。mtgやってた頃のデュエルマスターズとか読み返してどうすればカードゲームを面白い作劇にできるか研究してこい。

第四ゲーム 太陽争奪リレー

ルール:お互いのチームのメンバーがそれぞれ3種類の花(太陽、毒、その他)のうちどれか一つを持ち、太陽の花についての勝利条件を満たすと勝ち。相手の毒の花を奪うとペナルティ。

評価:ルールが簡単すぎて、花にまつわるに駆け引きもあまりにもシンプルすぎる。ゲーム開始前に「相手はゲームに手慣れてるから、まずはセオリーの裏をかく常識外の一手を出さなきゃ!」とのたまった割にはあまりにも順当な手しか出されず、何を面白いと思えばいいのかさっぱりわからなかった。本当につまらない上にルール解説でまさか1話も使うとはね。

第五ゲーム 三つの奇術

ルール:一つのイカサマによって、3つのゲームすべてに確実に勝つ。その相手のイカサマを見破れば勝利。

評価:イカサマわかんなかったからもう一回見せて、だったり、推理が手がかりを得て検証、次のヒントにたどり着くという感じではなく断定でぶつ切りの情報を推理に当て込んでいくのでけっこう無理やり感が強い。オチは悪くないと思った。

第六ゲーム 迷宮脱出ゲーム

ルール:無限コンティニューできる迷宮を突破しろ!

評価:ガチのクソその2。リアルのゲームでアイテムを組み合わせてボスを突破して楽しいのはプレイヤーが取捨選択をしたり、自分の予想をいろんな方法で確かめて正解を探るからであって、映像作品でゲームプレイの部分省くと出来の悪いクソゲーのつまんねー実況を見せられるだけでシンプルに面白くない。グリードアイランド編ってすごいね。これに最終話近辺の3話を使いつつも、登場人物の関係性の変化やそれまでの登場人物の総決算など1クールの締めをほぼ行わない投げやりな様子には恐怖さえ感じる。オリジナルボスを出された方が嬉しい展開ってどうよ。

キャラクターの魅力

ゲームがいくらクソでもキャラが可愛けりゃまあまあ見る気にはなる。ライアーライアーとかそんな感じだった。

なんかゴツイね?

このアニメでは全体的にかわいくない作画が画面の大部分を埋め尽くすのがずっと続いている。背景描きたくないのかな?6話だけは作画監督が気合入った人なのか妙に動いていたが、他はすべて微妙。じゃあキャラクターとしてかわいいかというと…掛け合いもつまらない。一生「しょうもないギャグ」「~って○○やないかーい!」を繰り返している。ツッコミまでに妙に間があるので、テンポの悪さは二重に感じられる。

加えて胸がどーだの、下女がどーだの…微妙な下ネタが多い。女性キャラを彩る方法としては下の下だし、作者が乗り気じゃないから下ネタがキャラの魅力に一切貢献できておらず悲惨の一言に尽きる。

主人公とヒロインAはとにかくゲームを楽しもうとし(あんなクソゲーでも笑顔で遊ぶんだから接待としては非常に良くやっている)、その価値観を元に他者を諭したりする。メッセージとしては分かるが視聴者がこのアニメからそれを飲み込めることはまずない。出てくるゲームが楽しいとは視聴者には微塵も思えないし、そのエンジョイ的な価値観を否定しついでに非道も働くようなライバルもいないし、クリアの仕方も微妙とくれば主人公たちの理念には理解も共感も感情移入も一切できない。

クソアニメ愛好家が文句言いながら視聴してるのを客観的に見るとこんなのなの?意味わかんないね。

まとめ

ゲーム部分、女性キャラクター部分、作画、アニメのテンポ

全てが超低クオリティ!劇的に魅力に欠ける。

もう頭脳戦やめない?

ほとんど誰も褒めてないのがよく分かる。アンチに劇的な嫌われ方をする作品は、その嫌われ要素が好きな人には星5をもらえるので平均が2.5を超える。キッショいハーレムや陳腐な無双でも行けちゃうところにこの作品はいけない。別に可哀想とは思わない。残念でもないし当然。

頭脳戦もの()の粗製濫造を二度とアニメ化しないでほしい。ライアーと合わせて強い反省を求める。原作者も同罪だからな。


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