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異世界探報期 治癒魔法の間違った使い方

ヒールって…あの…?不穏な響きに不安を隠せない。そうでなくてもバトル漫画にありがちな能力の拡大解釈で主人公がめちゃくちゃやるんでしょ?

あらすじ

平凡な高校生・兎里 健(ウサト)は、帰宅の途中、
生徒会長の犬上鈴音(スズネ)、
クラスメイトの龍泉一樹(カズキ)とともに

突如現れた魔法陣に飲み込まれてしまう――。

気づくと、そこは異世界。
3人は王国に攻め込んでくる魔王軍に対抗できる『勇者』として召喚された……はずが、
勇者の適性を持っていたのはスズネとカズキのみ。

ウサトは巻き込まれただけだった!

しかし、ウサトに“治癒魔法”の適性があることが判ると事態は一変。
救命団団長を名乗るローズが現れ、ウサトを力ずくで連れ去ってしまう。

そこでウサトを待っていたのは、

想像を超える地獄の訓練の日々だった――!

公式サイトより

現世で冴えなかった少年はひょんなことから鬼教官に拾われ、地獄の訓練を耐え抜き一人前に成長する!

終わり。

この作品の特徴は1クールのアニメとして起承転結に沿って主人公の成長を描写しつつ周囲の人間との関係の変化を描いていく。これを丁寧にやるだけで設定やキャラがどれだけありきたりでも作品になるのだなと再確認できた。個性の組み合わせまではありきたりにならないので、結果として最後まで見る誘引力はしっかりと生まれる。所謂「このキャラはどうなるんだろう?」ってやつ。

丁寧丁寧丁寧に刻むと 決めてたけど

では丁寧ポインツをネタバレにならない範囲で列挙していってみよう。

・勝手に呼んだ王様にキレるお友達…客観的な目線の担保、受かれるもの・受け入れるものなど三者三様の反応になっているのも好印象
・魅力的なキャラに話を牽引させる…突然現れたキャラが状況を大きく動かしつつも、周囲のキャラの反応からおおよその予想がつくようになっている
・既存の常識を反転させてコメディにする…これは王道
・細かい演出も丁寧…無茶な特訓にキレる軍団長を出すことで、過去に何があったかについて視聴者にそれとなく予想させる。主人公を認めて師匠が微笑する際に少しカメラを動かして窓枠に笑みを隠す。そのあと表立って主人公を認めて見せた際に、表情を隠した意図は不器用さの演出だけでなくそのためだったのかと思わされた。
・異世界転移時のメインキャラの反応について後で詳しく回収される…これはむしろ主人公以外をないがしろにしている他のイセカイ系が悪くねーか?

主人公の成長

主人公はつらい特訓を耐えつつ、回復魔法で自分を治癒することで超回復。2話の段階でかなりの筋肉量を身に着ける。しかし2話のラストでは自身は肉体的な強さに見合う精神的な強さが備わっているのか?と疑問に思う。続く3話以降の修行ではサバイバルを通して、主人公は自分の役割や便利な治癒魔法の欠点を知りつつ心身共に成長する…。

6話以降は戦争の影が迫りつつ、主人公の以前の師匠の弟子とあい、理不尽にたちむかおうとする主人公の精神力の強さが強調されつつも先輩たちもただ挫折したわけではなく人を治療する心意気は主人公に一切引けを取らないことが示される。

8話をかけて師匠の過去編をやりつつ、戦争パートでは治癒魔法を十二分に活かした主人公は大活躍を見せ、捕獲した敵の魔族とも打ち解け相互理解を進めていく…

1クールの使い方としてはお手本のような感じ。脚本の丁寧さを強調したいからあえて触れなかったが師匠キャラはcv田中敦子なので多少の無茶なムーブをされても「まあいいか…」という気分で見ていられる。

テンポは悪い?

修行パートに半分も使ってたり、主人公が一気に無双しないのでこれをテンポの悪さと考える見方もあるだろう。しかし、ポンと与えられた力をひょいひょいと乗りこなして何の責任も感じてないようなやつが成長しているとは一切考えない。最後の3話で思い出したように責任の話をして1クールを終えるよりは着実に一歩一歩進む方がマシ。

何も考えずに見れる作品として防振りみたいなガチ虚無与えられるよりはこういうおじやみたいな作品の方がいいと思った。コショウも効いててグー。

まとめ

キャラが結構好きなので、2期やってくださってもかまいませんよ。


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