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しゃあっ ディミーア・コントロール(ミシック)
「コンボ要素で能動的に勝ちに行けるコントロールは強い」by八十岡翔太
MOリーグ5-0のよさげなリストを見つけたので、いじって使っていくぞ
概要
≪終末の加虐者≫のEtB効果が誘発するとお互いのデッキは6枚になる。加虐者にはアップキープ時のドロー加速効果もついているのでこれで殴る場合は3ターンがリミット。踏み倒し防止用の効果はリアニするとドローだけを享受できるメリットでもある。
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既に場にある≪完成化した精神、ジェイス≫や、≪不穏な浅瀬≫により相手のデッキを4枚以上削れば、相手が自分よりも先にLOで敗北するのでライフを削るよりも主にこちらを狙っていくことになる。出す順番がどちらからでもよく、フィニッシュに土地を用いることもできる2枚コンボはカードが揃えば非常に強く、多少相性が悪い相手でもトップ加虐者でだいたい全部が終わる。ボルバルザークをディスティニードローされたライバルキャラの気持ちってこんなのか?漫画版では秒で敵に奪われたから知らんけど
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加虐者は≪魂の洞窟≫で打ち消されなくなるし、後詰のLO要素も土地やPWなので咎めづらい。環境に青が少ないので相手が有効な妨害手段(ジェイスを打ち消すか、潮縛りでジェイスと浅瀬を同時に対処)が取りづらいのも追い風。最短6ターンで相手の都合を完全に無視して突然倒せるのはコントロールとしては破格の速度である。「ううん、ミッドレンジよりずっとはやーい!」
追記:世界大会が青黒まみれだったのでそうも言ってられなくなった。勘弁しちくり〜
青黒のコントロールと言えば除去に打ち消しとハンデス、オマケでデッキ破壊を絡めた陰湿な太いコントロールができる。徹底した除去と打消しで相手の息切れを待ち、自分は適宜リソースを補給することで差をつけていく。クリーチャーカードを一定以上採用したデッキには大分強い。相手の除去がほぼ腐る点もメイン戦での強さだ。
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青黒でコントロールする場合の主な弱点は、そのカラーリングでは触れないアーティファクトやエンチャント(後者は最近割れる)などの置物でアドを稼ぐタイプのデッキや、除去を全除去に寄せている結果メインで腐るカードがこちらより少ない青白コンなどが該当する。だが現環境のそういうデッキ(版図、世話人系)はドローの形でアドを得るものがほとんどなのでコンボしない場合でも単純に打消しを構えつつ完成化ジェイスを連打するだけで勝ったりする。通常LOプランの目安としては相手が地力でデッキ枚数を30枚になるくらいまでドローできる場合で、これならジェイス2枚で倒せる。
またコンボ側の視点でも、成立までの時間稼ぎとして、除去+打消し(+サイド後のハンデス前方確認)の構造はバックアップとして心強い。このようにお互いの欠点をうまく補い合うことでなかなか強いデッキに仕上がっている。
リスト
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単体除去枠(9)…≪喉首狙い≫を中心に、PW、眼ンター、果敢デッキに対してそれぞれにらみを利かせるカードで構成している。元の入賞リストでは切り崩しが4枚入っているのだが、勝てば果敢との遭遇率が上がるならまだしも、割となんでも均等に出てくるランクマで≪切り崩し≫なんて刺さりどころが少ないカードを4枚も入れたくないので全て入れ替えている。ジェイスの+1能力を使うと基本的にはパワー+タフネス≦8までなら切り崩しでも除去できるようになり、そこを意図しての採用だと思われる(分派の説教者、グリッサ、都市の歩哨あたりがねらい目)。しかし単体で腐るリスクは無視しづらく、肝心の果敢に高確率でかわされるとあっては別になくても良いかなと思わされる。最初は≪逃げ場なし≫も入っていたのだが魁渡対策へのガードを上げた結果サイド送りになった。以下、喉首以外の細かい採用理由↓
≪苦痛ある選定≫…眼魔と果敢に対して非常に有効。ほとんどが4マナ以上のクリーチャーのみで構成される大主などのランプデッキに対しては打ち消し+コンボの構成から元々相性がいい。よってメインから2枚採用は無問題。
≪一巻の終わり≫…追放除去・PW(魁斗、ヴェリアナが仮想的)も対象・相手デッキのめんどくさいカードを根こそぎ消せるという特徴からこのデッキにはあっている。全除去があるデッキに対するプレイとして対戦相手はそれで2体ほどでクロックを稼ぎ被害を最小限に抑えつつ打たせたら二の矢で刺すものがあり、そこに対して死人に口無しの証拠収集と手札の残クリーチャー把握などができるこのカードは有用。1マッチ目で相手デッキのおおよその構造が把握できる情報アドも嬉しい。
≪シェオルドレッドの勅令≫…≪悪夢滅ぼし、魁渡≫がマジで無理すぎるのと、これなら緑1マナ残しの果敢を嘲笑うことができるため採用。呑気な物漁り+呪禁エンチャントの組み合わせもたまにいるのでそこにも刺さる。ミッドレンジが使う除去としては弱いがそこからさらに単体・全体除去を増やしたこの手のデッキは喉首のように使えて、オプションも活きやすい(はず)。
打消し枠…切り崩しと同様に腐るのが嫌なので元リストから≪幻影の干渉≫を1枚、≪長川の引き込み≫に変えている。2マナの確定打消しとしても使える柔軟性は長期戦で輝くし、Etbや起動型能力を使わせない除去にもなりうる。多少のアド差はコンボで無理やりひっくり返すこともできる。非クリーチャー呪文を消す場合は1枚引かせるので≪不穏な浅瀬≫と組み合わせ、浅瀬への除去に贈呈で発動して返しで即LO死させたりもできる。また元リストにはリソース確保専用のカードとして≪思考への侵入≫があるが、これは≪死人に口無し≫などとの相性や飛行によるビートを考慮して入っていると思われる。5マナだしキーカードは結局手札に入らない選択取られやすいのでここは≪呪文渦≫と入れ替えてみた。確定打消しモードが3マナ相当で諜報2ドロー2のモードが4マナ相当と考えると他の打消しと相互互換になりつつ枠を圧縮できると考えた。アンタップインの土地を引いたらそのままほぼ勝つという局面でカウンターを構えつつそれらを探しに行ける点が特に優秀。証拠収集のコストの観点からも能動的に打てる4コスト呪文は便利である。
ハンドアド枠…推理は言わずと知れたハンド補充カード、除去と打消しをひたすら繰り返すので、わずかな隙間を見つけてドローできるこのカードは有効である。≪キャンディーの道標≫は、1マナという軽さで設置出来て、黒緑に対してもまず除去されず、占術でデッキ底に今は要らないが加虐者着地後には欲しいカードを送り込めるケースが存在し、3点とドローもついてくる。土地を伸ばしつつスペルを常に一定数確保しておきたいこのデッキに占術2は頼りになる。≪完成化した精神、ジェイス≫はフィニッシュ手段であると同時に、道中でライフを守ったり、斬鬼やグリッサなどのめんどくさいカードを無力化し、カードも引けるのでインスタントで除去る相手以外には積極的に用いたい。自分のライフを守る使い捨ての運用をした後に死人に口無しのコストにして凌ぐなどもできる。総じてやり込みポイントが多いカードだ。どうせ4人いるんだから気軽に使い捨てる選択は十分にある。
他…≪死人に口無し≫は言わずと知れた害悪カード。眼魔などは最悪これを2回(ジン、眼魔を追放)使えば機能停止に追い込める。ハンデスなどと合わせて厄介なサイドカードをまとめて引っこ抜くこともできる。≪終末の加虐者≫は特にいうことがない。相手をする観点から言うと、実は除去は可能な限り遅らせた方がいい。コントロールに寄せ過ぎた構成どうせライフを削りきれないからその除去は浅瀬にぶつけた方がいい。
採用検討枠… 実際にデッキに入れたことがあるか採用を検討したカード。
≪侵略樹、次元壊し≫…このデッキは4マナ以上でるか出ないかでアドバンテージを稼ぐ手段の数がまるで違う。そこで次元壊しを用いて土地を引かずとも毎ターン増やすのはどうかと考えた。加えてこのデッキはバリューランドを複数並べられると一切妨害できずそのままやられてしまう。そういう土地を先にこちらで回収してしまい、あわよくば相手の爆破解体場も利用できるという点でも次元壊しは優れていた。加虐者を1枚増やすよりは軽くて何度も起動できるこちらに軍配が上がる。ピン刺しで運用し、可能なら相手のデッキ構造への情報をメイン戦で多く拾うのもいい…のだが環境にはこれを置く暇をくれないデッキが多い。
≪不浄な別室+祭儀室≫…フィニッシュを加虐者に強く依存したこのデッキで自爆のリスクを上げるのは難しいし、そもそもライフコストがキツすぎるのでデーモンがいるとはいえ相性が微妙なこのデッキでピン刺しはあまり向いていないと思われる。協約持ちのカードで能動的にどかすのが好ましいがその協約カードにロクなやつがないので難しい(強いて言うなら≪鏡に願いを≫か)。
≪遠見の儀式≫…協約としては≪鏡に願いを≫の次にまともで、欲しいカードが3枚以上ある場合でも手札に加えない残りを山札下に送り込む性質から加虐者発動後の山札をコントロールできる。呪文渦の方が便利。
≪蒐集家の保管庫≫…ルーティングと宝物トークンを毎ターン出せる置物はけっこう破格なので一時期採用していた。が、抜ける理由も次元壊しと同じで早いデッキに対して置く暇がない。キャンディーは初手に置けて裏目がないのでかろうじて採用できる。
≪執念の徳目≫…ライフ回復が便利だし、徳目が設置出来ればいくらでも時間が稼げるのだが、そもそもこのデッキは6マナで勝つ。
≪悪魔的助言≫…デフォで加虐者を、昂揚達成時にはジェイスも取りに行ける。じゃあ何が問題って、昂揚の条件を達成できないと序盤に引いたらクソ弱いところ。そしてまず昂揚は達成できない。デッキ構成をもう少しいじったら加虐者を1枚にこれに変えて加虐者が2枚だぶる弱いパターンを減らすこともできるか?追記:これを採用したタイプが1度だけMOリーグで5-0していて使ってみたが、手札が増えないのがけっこうつらい。2アクションするために喉首をサーチした瞬間に虚しくなった。
≪限りない強欲≫…取れるリソースの量とサーチ効果は申し分ない。ソーサリーなのが厳しい。結局≪呪文渦≫じゃいかんのかとなってそこで検討をやめた。
≪アモンケットへの侵攻≫…サイド後にアクロゾズとコンボしたり浅瀬でどついて1ターン早くコンボが決まったりするパターンがあるが、そもそも対策したいのは自分より早いデッキなので難しい。加虐者を能動的に墓地に送る手段がないと十全に効果を発揮しないのもつらい。
土地…元のリストは全ての土地から黒マナがでるが、カウント26まで徹底する必要はないと考えて沼と闇滑りの岸を1枚ずつ爆破解体場にした。このデッキはミシュランやバリューランドをたたき割れた方が強いと思う。6ターン目に土地を6枚おけた時の黒カウントが6枚にならないケースが裏目になるのだが、5ターン目までに解体場を起動すれば最悪間に合わせられる。つまり困るのは爆破解体場を早い段階で2枚引くパターンと6枚目がちょうど解体場のパターンだがランクマならこのリスクは噴水港やミシュランをけん制できるリターンに対して無視できる程度だ。
サイドボード
≪強迫≫2…4枚もいらねーだろと思ったので2枚に、最終的にハンデス自体は4枚になるのは加虐者後のカウンターパンチで己の首を絞める可能性を考慮するとどうしても前方確認が必要なため。
≪鋼と油の夢≫2…果敢、眼ンター、大主に有効。各デッキごとの対策の話になるので、そこで改めて解説する。
≪除霊用掃除機≫2…6マナのモードも全然使える。死亡時に墓地から誘発する効果を妨害しつつ、ブロッカーを大量供給できる。単体除去と切削が多いこのデッキには墓地対策を抜きにしてもけっこう向いている。相手の証拠収集を妨害することも可。
≪軽蔑的な一撃≫1…便利っちゃ便利、兆候で唱えられる大主やゴルガリあたりの骨太クリーチャー群の対処などに用いる。しかし2枚はいらね。
≪洪水の大口へ≫2…赤系のサイドでよくある溶鉱炉対策がメイン。その後にハンデスや死人に口なしと合わせることもできる。果敢に特に有効でパンプしようとしたときにバウンスしたり、速攻クリーチャーを1ターン遅らせて2マナ除去を間に合わせることもできる。≪切り崩し≫も≪見栄え損ない≫もそれを囮にして果敢のスペルをつり出すと大きなアドが取れるが、その使い方に+αの役割を持てる点で最も優秀だと考えた。
≪否認≫2…除去が腐るマッチや版図などのランプ系ではガン積みする。豆の木を消すかどうかは判断が分かれるポイント。軽蔑的な一撃と合わせてサイドで単体除去を抜いて使うカードだが両者には明確な役割がある。大主(オマエ)を倒すためのな。
≪ティシャーナの潮縛り≫…青のサイドと言えばこれ、相手の潮縛りを更に消したりPWをそのまましばこう。どうしても必要というシチュがあまりない。爆破解体場やミシュランに対する使用でテンポが取れるので流石に入れ得なんだ。≪悪意ある覆い隠し≫…追放が刺さるところが多い←全然使えないゴミ、全部抜いた。
≪最深の裏切り、アクロゾズ≫2…相手のリソースを締め上げ、自分のリソースは伸ばすという青黒のイズムに限りなく合致しており、何回でも蘇るので追放されない限り安心!青黒と果敢に有効なサイドになりうる。
追記:果敢への怒りから≪金線の酒杯≫を用いている。青黒の普通のミッドレンジにはちゃんと刺さるので悪意ある覆い隠しも採用している。
デッキの使い方
基本的方針はひたすら1:1交換を繰り返しつつ、余ったマナを使ってドローを行う。この余剰のカードがさらなるドローや除去を供給する。これらを駆使して相手の場と手札が枯れるまで全ての攻め手をさばきつつ、どこかでコンボパーツ2枚(1種3枚+2種8枚)が揃ったタイミングで相手を敗北させる。
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守るわきゃねーだろテメ―らアグロとの約束なんてよォ
加虐者は解除じゃなく起爆の合図さ!ハハハハハハアハアハアハ
ゲームの序盤では、ひたすら除去を打つことを基本に、継続的にリソースを稼ぐ手段を着地させない立ち回りを意識する。エンチャントやPWなどは着地後の対処が厳しいかほぼ無理なのでそれらは適切に打ち消していく。こうやって泥沼に持ち込めばこちらはドローソースを連鎖させて次第に有利になっていく。
土地の置き方は基本的に手札にあるインスタントがなるべく機能するような順番に置いていく。三歩先の打消し(+ドローモード)や死人に口無しがゲームをうまく進めるための要素なので、3、5ターン目はなるべくアンタップインをしたい。諜報ランドと浅瀬の1ターン目タップイン処理でどちらを優先するかについては、初手でスペルと土地がそれぞれ3~4枚なら大体のカードは有効牌なので浅瀬のタップイン処理を優先した方が良い。逆にどちらかに偏っているなら諜報で調整した方が良い。タダで出来る諜報はゲームを動かしうるので、タイミングを吟味したい。ドローするカードが手札にあれば3,5ターン目に諜報を持ってきて、2、4マナのドローを含むアクションと組み合わせてドローの質を高めようとするのもいいだろう。地味だがやりこみが出るポイント。
打消し呪文のドローモードのみの使用についても同様に”遅らせ”が嬉しいシーンがある。構成上、打消しが2枚以上ダブることもままあるのでこちらはあまり気にしなくても良いが…。手札に除去を握っている限りはお互いにドローゴーを繰り返すシチュエーションではこちらが得をすることの方が大きいので、ハンド差をつけることを焦る必要はない。
土地はただ勝ちに行くなら7マナほどあればよい(加虐者→浅瀬+打消し)。相手のアクションをケアして確実に勝つなら9マナ(加虐者+ジェイスが1ターンで出来る)。浅瀬でビートするならもっと大量にあった方が良い。勝ち筋をどう通すかから逆算して必要な土地の枚数を割り出し、諜報やルーティングでどれだけ土地を落とすかを判断しよう。三歩先のルーティングは使用頻度がそれなりにあるので土地をあえておかずに手札枚数を確保することも必要だ。
コンボを成立させるうえで、打消し・除去・ピーピング・ドロー(サイド後はハンデスでも)には固有の役割があり、安定感を高めるにはそれらのバランスが重要であると考える。なるべく複数の役割を兼ねるカードを入れたり、メインにはシンプルで使い勝手のいいものを詰め込んでいるのはこういう背景がある。フィニッシャーしか役割のない枠が3枚でクリーチャーが他にないので基本的にはミッドレンジやボードコンに対して1:1交換やアドを取るカードを相手より少し多めに入れることが出来る。この余剰部分はサイドボードで内訳を適宜調整しなおせば対応力を最適化してコンボを通しやすくできるはずだ。この観点で見るとサイドボードはハンデス4打消し2フィニッシャー別枠2除去2メタカード5という構成になっており、割合を任意に調整する役割を果たせていると考えている。
役割バランスの話を更に深掘りしてみよう。ジェイスがボードコントロール兼アド稼ぎ要因としての役割を担えるかどうかで、デッキ内の有効牌の枚数は変化すると言える。PWにもあたる除去や火力を相手に使わせること自体が後で効いてくることも多いし、死人に口なしが横展開の裏目になるので、上でも述べたがなるべくジェイスを腐らせないプレイは重要度が高い。どうせ最終的に手札はこっちだけ潤沢になるしコンボ要素の兼ね合いでトップ勝負にも強いのだから、大胆に手札を使い切る判断も十分できる。
サイド後の挙動としてコンボを狙わない選択肢もある。基本的にはコンボをする前に殺されてしまい対策もしづらい赤緑とこちらのコンボを逆用したりいくらでも妨害できる青黒への対抗手段としてアクロゾズを使って普通の青黒コンとして立ち回るケースがそれに相当する。たまくつが2枚入っているのがサイドプランとしてアクロゾズの活用をバックアップする。
追記:この2デッキの割合が大きく増えてこの通常青黒コンへの以降を大真面目に検討せねばならなくなるとは…
環境での立ち位置
プレイヤーズコンベンション静岡でのメタゲーム・ブレイクダウンによると
果敢(15%)青黒(10%)版図=ゴルガリ=眼魔=赤単=白単(6%)といった感じで全体の半分を占めている。我らが加虐者は4/242だ。知ってる人はちゃんとマークしているくらいの割合。
環境を定義しているのはやはり果敢だろう。力線の有無にかかわらず、ここをしばけないデッキは生きづらい。対処方法は結構限られていて、打消しやバウンス、単体除去による徹底的なクリーチャーの根絶やしが求められる。結果として黒交じりのミッドレンジ、頭数を用意できる上に対処不可能な強クリーチャーを逆に押し付ける眼魔、ぶん回れば勝てない版図などが台頭する結果となっている。(版図は果敢には怪しいが、サイド後は白の対策カードをガンガンとれるし、それ以外はほぼどうにかなるのだろうか?)
以下では各デッキに対してマッチアップのポイントを解説していく
果敢
勝ち筋、コンボ成立、場を制圧した上で浅瀬+死人に口無しによるビート
負け筋、残響の力線+キャントリップor≪熾火心の挑戦者≫によるリソース負け、ウラブラスクの溶鉱炉、亭主の才能
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単体除去が非常に多いので即座に負けることはないが、弱者の力のキャントリップが力線で2枚に化けたりするし、≪熾火心の挑戦者≫なども継続的にリソースを稼いでくる。火力スペルが赤単に比べてだいぶ少ないのにも関わらずこれらの生み出す継戦性と爆発力の両立が中長期的には負ける確率を高めてしまう。メイン戦では最短6ターンで勝てるコンボの強みは可能な限り活かしたい。サイド後はガン積みした1マナスペルを用いてひたすら妨害し、コンボかアクロゾズで〆よう。ウラブラスクの溶鉱炉を妨害し、場にクリーチャーを残さないように維持すればドローゴー勝負にできる。アクロゾズならこの状態をほぼ勝ち確で固定できる。果敢はその構成上2枚以上のカードを同時に使えないと一気に貧弱になるからだ。マナカーブがガラッと変わるので爆破解体場を2枚減らしても問題なく回るが、5ターン目にそのまま5マナ出る確率は10%も下がるので要検討。怒りのマッチ対策が効いたのか6-3とかなり勝ち越している。
OUT:推理2 爆破解体場2 呪文渦1 幻影の干渉2 ジェイス1 加虐者1 喉首1
IN:洪水の大口へ2 脅迫2(後手なら1枚は否認に) 潮縛り1 アクロゾズ2 逃げ場なし1
幻影の干渉は終盤ほとんどのカードを素通しするリスクがある。あとはひたすら前に寄せたら完成だ!
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追記:まさか残響の力線が抜けるなんて…≪亭主の才能≫と≪多様な鼠≫は継戦力をかなり高くする。アグロが下手なミッドレンジより長く粘ってんじゃねえよ。≪金線の酒杯≫はまさにこれを咎めるためにある。
青黒ミッドレンジ
勝ち筋 リソース差をつけてからコンボ始動
負け筋 ≪悪夢滅ぼし、魁斗≫によるビート 相手のクロパ戦術の成功
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かなりキツイ、特に≪悪夢滅ぼし、魁斗≫が処理できないと簡単に詰む。相手にも不穏な浅瀬、打ち消し、メイン潮縛りがあるので雑なコンボ成立もキツいものがある。加えて相手は≪永劫の好奇心≫でガンガン手札を補充する。青黒同士違いなんてありゃしねえじゃねえか!違うのだ! そのための一巻の終わり、あとそのための勅令。放浪皇とイチャイチャしてんじゃねーぞこのハゲ!
単体除去と打ち消しがうまく機能しつつ、どこかでリソース勝ちする必要がある。相手はクリーチャーを起点にしないとアドが取れないので、丁寧な除去が方法の一つ。そのうえで瞬速持ちが関門になるので軽めの除去やハンデスを駆使して、こちらも軽く手数を多くして動くことになる。サイド後の掃除機は意外と有効…というかそういうのでリソースを稼がないと厳しい。とにかく軽く動く必要があるので後手では干渉を強迫にするのも良いだろう。
OUT:幻影の干渉2 加虐者1 呪文渦2 三歩先1 キャンディーの道標1
IN:掃除機1 強迫2 鋼と油の夢1 潮縛り1 アクロゾズ2
追記:世界大会ではカラーリングの面ではトップシェア。ディミーア・デーモンはこのデッキのコントロール部分をミッドレンジに置き換えたような構成をしている。こちらへの対処は次元壊しや≪極悪非道な窃盗犯≫が有効になるのではないかと考えている。
追記2:デーモン全然流行らんかったワ。乗り手がクソ強いから優勝したってことか。
版図(最近は大主+豆の木も)
勝ち筋、コンボ成立またはジェイス2回使用
負け筋、魂の洞窟でアバターを指定し大主をガンガン出される 加虐者の返しにジェイス
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大主を的確に打ち消すことができればほぼ勝ち。メインからジェイス4なので勝手に相手が自爆したりもする。豆の木置けば勝つと思ってんじゃねーぞ!たまくつは適宜割りつつ、次元壊しで取り上げてしまおう打消しを機能させよう。
サイド後は否認3と潮縛り1あたりが襲ってくるがそもそもこっちはそもそも打消し10枚耐性にサイドからハンデスも入るのでコンボ成立自体は物量差でどうにかなるだろう。単体除去は意外と大事なので腐らないものは抜かず5枚ほど持っておくのが良い、6枚くらいをめどに残しておこう。唯一まずい展開は相手もジェイスをサイドインして加虐者へのカウンターとして後出しされる展開があり得るのでフィニッシュまでの展開には注意を払おう。ハンデスで前方確認すると確実だ。
ダイヤでの遭遇数は多いがだいたいボコれるので所謂カモ。7戦して全部勝てるくらいの相性差。大主と豆の木に注目したナヤコントロールやそこに青とドッペルギャングを足したパターンもあるがやることは変わらない。鋼と油の夢もよく刺さる。
OUT:キャンディー1 幻影の干渉2 悪意ある選定2 三歩先1 喉首2
IN:否認2 軽蔑的な一撃1 脅迫2 鋼と油の夢1 潮縛り1
鋼と油の夢を使うとたまくつで出すはずだった緑大主が抜けるので、マナ基盤の弱点をつける。打消しを使われたらそれはそれでコンボが通りやすいのでヨシ!
追記:加虐者がじわじわと存在感を増した結果かはたまたミラー対策か、メインからもジェイスを突っ込んでくるパターンがある。
メンター
勝ち筋、コンボ ジェイス2回 眼魔とジンを口無しで全追放
負け筋、眼魔やジンを打ち漏らしてボコボコにされる
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悪意ある選定、死人に口無しを駆使してデッキから2種8枚のキーカードを引っこ抜いている間にコンボやジェイス2枚で勝負を決めよう。ジェイスを使う場合はジンを処理したりタップアウトに対して一気に使うのが理想。
サイド後も掃除機を投入して攻めを継続したい。マリガン基準は3ターン目の蘇生に何か妨害できるか否か、諜報ランドはこういう時便利だ。
OUT:干渉2 ジェイス1 長川の引き込み1 勅令2 呪文渦1 キャンディー1
IN:否認2 掃除機2 鋼と油の夢2 脅迫2
鋼と油の夢は蘇生待ちのキーカードを除外したり、錠前破りを発動前に落として妨害できる。スタックで使われても効果解決自体はされるので途中でクリーチャーが墓地に落ちればそいつを消せるので裏目を恐れず使っていこう。
追記:サイドを調整してたら枠空いたから苦痛なき選定を1枚増やした。刺さらないデッキ(ランプ)にはそもそも有利だからこれも裏目がない。
黒緑ミッドレンジ
勝ち筋 コンボォ
負け筋 3点以上のクロック、ヴェリアナ、残虐爪の強奪によるジェイスパクられ、祭儀室でのリソース負け
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基本はヴェリアナ、苔森、眠らずの小屋の対処ができるかがカギ。加えて最近は≪不浄な別室+祭儀室≫と≪アクロゾズの放血者≫を組み込んだやつが流行っており非常に鬱陶しい。こちらもハンデスで攻め手札内容を把握しながら攻めるのが吉。3マナ帯をハンデスを潜り抜けつつ如何に処理するか、残虐爪の強盗を如何にケアするかにかかっている。
OUT:干渉2 呪文渦1 キャンディー1
IN:掃除機1 強迫2(先手なら否認1) 潮縛り1
サイド後のカードを増やすカード(荒馬とか)は相手の首を絞める結果になりやすく、LO手段のバックアップがないヤケクソ加虐者で相手が自爆したりする。(デッキ底6枚にジェイスが入っている確率は初期段階で42%もある。ゲーム中1枚もジェイスをみないならその場合の条件付き確率は更に上がる。)その結果7戦全勝なのだが実際の相性は5-2くらいだろう。
追記:37戦の内で28勝で、勝率は76% 思ったより脅威じゃないな
白単トークン
勝ち筋、コンボ成立
負け筋、トークンによる3/3ビート
一応前評判が高いデッキではあったので紹介。便宜上ボロスもここに入れる。ジェイスが手札にある場合は加虐者→ジェイスと繋げば妨害されることなく勝利する。妨害が失せろくらいしかないせいだ。世話人をレベル3にして殴りかかられると負ける恐れがあるのでメイン戦では山ほどある単体除去を適宜トークンに当てて邪魔していく。この行為をアド損と侮る相手のデッキをスカスカにしてやろう。
サイド後はより簡単で除去を減らして打ち消しやハンデスに寄せきってしまえる。覆い隠しは3マナの吸血鬼を安全に処理できたりトークンを一気に流せるので便利。ボロスの場合も対策は変わらない。…正直かなりのカモ。ダイヤに上がってこれないのか途中からぱったり見なくなった。ダイヤにこそ仮想敵の果敢がいるのにね。
OUT:干渉2 選定2 死人に口無し1
IN:脅迫2 否認2 洪水の大口へ1
追記:ミラー対策でジェイスを入れ出した地獄のデッキ。世界大会で見ないのは引き分けを避けるという大会特有の事情もあるのでランクマには普通にいる。大量のハンデスと口無しで相手のジェイスだえを消し飛ばすだけの簡単なお仕事なのでこちらとしてはあまり困らない。
その他
残りは大体勝つ。ミラーはかなりの運ゲー、ゴミ。土地が伸びてそれでカードいっぱい引いた方が勝つよ。そりだけ。
世界大会後の世界
追記で概ね触れているので重複もあるがご容赦いただきたい。
青黒と赤緑が大きなシェアを獲得し、暗雲が立ちこめる。この二つはサイドでコンボを捨てて中途半端なコントロールとして立ち回ることを強要してくるのでかなり厄介。しかし合わせて全体の3割程度であり、残りにはオラオラできるのでそう悲観することもない。
とにかくこの二つのデッキに如何に対策するか?が課題になるだろう。そのために必要なカードにサイドの枠を一定数割くのは悪くない選択に思える。
ジェイスと加虐者を全部抜いて空いた枠にアクロゾズとシェオルドレッドを使いつつ除去や妨害を積み増しし、純正除去コンへのアグレッシブサイドボードをするのが現状の対策である。雑多なデッキへの対策はもともと積極的に行う必要がないので枠としてはあまり問題ではないだろう。
ファッ!?ウンデーションズ
弁えろよベレレン。ラヴニカでは淫夢のネタは恥ずかしいんだぞ。←多元宇宙どこでも恥ずかしい定期。
主に恩恵があったのは赤白緑のデッキだろう。ショックの純粋上位互換≪噴出する稲妻≫、遂に≪ウラブラスクの溶鉱炉≫を完全沈黙させられる激アツサイドボード≪領事の権限≫、効果を詰め込み過ぎてる≪ボロスの魔除け≫にお馴染み≪ラノワールのエルフ≫と≪漁る軟泥≫。
既存のデッキはもう安定した基盤を持っているのでメインからそこを押し除けるほどのカードはあまりないというのが全体の印象。新パックのカードを軸にした新しいデッキを作る時に必要なカードを十分に供給するという意味でファウンデーションズの存在感は今後も発揮されるだろうとは予想している。
さて、我らがディミーア・コントロールの新規追加カードはと言いますと…
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え、これで終わり?≪危難の道≫とか≪食肉鉤虐殺人事件≫とか…再録してないの?クリーチャーばっか再録してなんで除去がよえーんだよ!3年ローテの甲斐あってもう十分除去過剰だからじゃねーのカードパワーで言えば≪戦慄衆の将軍、リリアナ≫なんかは良いかもしれない。問題は6マナ出せるならこのデッキはほぼ勝ちに行けるってことだが。
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赤系のアグロの増加と≪叫ぶ宿敵≫の流行によるサイドでシェオル・アクロゾズを用いるプランに対する明確な否定、青黒ミッドと赤系アグロで使用率トップを占めている現状は大分厳しいものがある。
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デーモンコントロール愛好家は死に絶えてはいないようで、たまにMO大会の入賞が見られる。可能性を感じつつも、過度なマークは受けない絶妙な立ち位置。
主な変更点は次の通りだ。
軽量除去の増加…切り崩しと選定が3枚ずつ。ラノエルやセイレーンなどにも除去を投げる都合上この変化は受け入れるしかあるまい。
メインのドロー増加…≪速足の学び≫と≪精神迷わせの秘本≫が追加されている。素直に押し付けを強化している構図。アグロには悪手だが果たして?
サイドにシェオル2枚…誰にもコンボは狙えないのでサイドは優良クリーチャーを魂の洞窟で押し出すスタイルにシフトしている。ドロー増加はこことセットの対策というわけだ。
筆者としても、この戦略の大部分は肯定している。≪呪文渦≫の互換で微妙に見えた≪速足の学び≫も1マナ軽いことでかなり効果的に用いることができる点は想像以上だった。1マナアクションの増加は3ターン目の2アクションを肯定する点も好印象。
シェオルドレッドの増加も軽いデッキに睨みをきかす上で有効と言える。
以下、カード採用についての検討・所見
≪シェオルドレッドの勅令≫…変わらずの2枚採用。兎にも角にも魁渡は妨害せねばならん。どうせ並んだ側から除去していくので勅令じゃなかったら〜とうなることはあまりない。
≪覆い隠し≫…魁渡と好奇心の両方を始末できる。≪一巻の終わり≫が似た役割を果たせるが、速さとゲーム安定のどちらを取るべきはいまだに決めかねる。赤緑に有効な点を考えると≪一巻の終わり≫で良い気もする。どちらにせよ昨今のトレンド的にサイド送りだ。メインは軽く。
≪精神迷わせの秘本≫≪速足の学び≫…2枚ずつでの採用。秘本を基本的な動きを阻害しない範囲で最大数採用しようとした結果のバランス。秘本は手札で2枚以上ダブつくと非常に弱い。置けば置くほどロングゲームには強いが、自他共にそんな悠長な戦いはしない。よって2枚。口無しのコストも欲しいし、速足はその点で有利。1マナが増えたので1+2+3での証拠収集6はたまにやる。
≪完成化された精神、ジェイス≫…3枚で良い。浅瀬込みでLOするプランや版図をどつくプランでも実際に使うのは2枚だから4枚目のリターンは大きくないと考えた。赤緑や青黒に対しては1枚だってうまく使えないしな。黒緑との相性の良さは相手の序盤の火力をジェイスで捌けることも影響している。
≪金属徒党の種子鮫≫…こいつで苦手なデッキに勝てるのか?使い方を教えて欲しい。最近の赤はタフ4とか飛行がメリットにならないぞ。
≪分派の説経者≫…赤を見るならだいぶ嬉しいが、1/1絆魂トークンを上手く使う材料がないので不採用。白徳目とかの強化手段があればまた話も変わってくるのだが。
≪悪意ある覆い隠し≫…果敢に使えないゴミだが、黒緑と青黒のビートはけっこう止められる。アグレッシブサイド時に自分クリーチャーを巻き込まないメリットも加味。
≪長川の引き込み≫…嫌いではないが、青2が意外とキツイので泣く泣く幻影の干渉にした。早いデッキが…早いデッキが多い!
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初月は一応ギリギリミシックだった。今後の展望としてはなんとか白をねじ込めないかと考えているが、黒6つの条件と3色の同居はかなり厳しい。宝物トークンが出る手段があると嬉しいだろうか?