タイパク12話 崩壊

理論の流れに所々粗があるのではなく、粗の流れの中に所々理論の痕跡だけがある。そんな回。

弄ぶ

《五他》
1.
手に持って遊ぶ。いじくる。
2.
まじめに扱うべきものをおもちゃにする。
性的な慰み物にする。
 「娘を―」
好き勝手に扱う。
 「政治を―」

3.
タイムパラドクスゴーストライター12話
 「人の命を───」

生命至上主義

今回のお話は哲平がフューチャーサンダーに拉致され事情を説明される。大まかに見て行こう。

1、過労で死ぬならそう説明しろよ!→「監禁」まで含めてあらゆる手段を検討したが無理だったし、哲平は教えた所でどうすればいいか悩むので余計なことは教えたくなかった
2、何をやっても死ぬ原因は彼女の夢にあるのでそれを破壊するのが今回の計画1
3、計画1は失敗したのでホワイトナイトを書かせ続けて越えられない壁で挫折させる計画2
4、今回哲平を選んだ理由は哲平が社会人になっても漫画を描き続け8年後に読切を掲載しアイノのスランプを脱出させたから
5、もう何やってもダメそうなので時間を戻して凍結し生存世界を世界を一つ用意したいロボ野郎
6、哲平には今後の道筋を決める権利をあげるよ!
7、哲平は第3の選択肢を選び、ロボットと共感し合う。

フューチャーサンダーは人の命を救うことを至上命題にしている生命至上主義者だから多少直線的なのは差し置いても、人の命を救うという大義名分でも流石に限度があるレベルで他人の人生を盤外からいじくり回していると言える。哲平も似たようなもんなので外道二体の邂逅である。決勝戦?

救うべきヒロインがいるとして、大抵はヒロインの死因が理不尽でさらにタイムループものにありがちなトライアンドエラーの連続の結果として手段を選ばなくなっていくわけだが、この場合死の原因はアイノの境遇や価値観の問題なのにそこをスルーして本人の頭の上で話が進むのは人の人生を玩具にしているきらいがある。

加えて大義名分があっても倫理的にまずい手段を取ることが即座に許されるわけではなくそれだけではスタートラインに立てるだけなので、そこに対するその作品なりのアンサーは必要である。タイパクにはそんなものないが、相手の心情を勝手に推察し登場人物同士の間に変化が起こることはなく自分で明後日の方向に敷いたレールをひた走る。こればっかである。

また盗作をすることが当然のように計画に盛り込まれているのも凄い。未来ジャンプを送り込んだだけじゃそうならんやろ!加えて哲平が努力でそこそこの星を掴みアイノのスランプを脱させたから盗作役に任命するというのも、理屈がめちゃくちゃである。さらにさらにここでも託すという表現を使う、ただの盗作だっつーの。普通は夢で見た話を冷静な起きてる頭で検分しそうだしそのまま写しはしないのでは?作り手の目線を哲平が持っていない

これの見方は二つある。一つはそんな背景があろうとなかろうと哲平にはほとんどの状況で意思決定権があり、そうせざるを得ない状況に追い込まれたわけではないので哲平のクズさを誤魔化し切れていないいつものパターン。もう一つはフューチャーサンダーに人の意志をねじ曲げさせる力まであるとする見方である。

後者は文字通りのデウスエクスマキナである。登場人物なんて言ってしまえば作者という神の奴隷であるのだが、それがここまで露骨でしかもそれがクオリティに貢献するどころか作品を陳腐にしていて、さらにそれを実際にやらかす分身のようなキャラがいるというのはもはや笑うしかない。

最後には哲平とロボがお互いアイノを助けたかったんだよね…という意志を共有するのだが、いつもの謎理論で勝手にお互いに許しを与え合うだけだ。加害者二人が被害者のいないところで勝手にお互いをいい奴認定する恐ろしい光景に見えるのは私だけでしょうか?

今回は超存在すら頭タイパクの杜撰計画マンだった。そして哲平の第3の道をいく願いにより次回か次々回で最終回になりそうな勢いである。終わるよね…?

この漫画は主人公の実力のなさはごまかさないものの周りの見る目をいじったり上から道具がポンと恵まれるのだがそんな主人公が精神と時の部屋に入ってもしょうがないと思う。それにクリエイターとしてインプットできないんじゃ成長しないよ。







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