異世界探報期 いせレベ
異世界と現実世界を往復する作品。
身近な喜び
異世界に行って、めっちゃレベルアップして、そして現実世界でも無双する。あまり見ないタイプの作品である。えてしてこの手の作品は、苦悩とかストレスの原因であるところの現実世界/悪質ギルドの外に出て、好きなように生きる。現実に帰ってくる場合でも物語が終わった後に凄まじい力をそのまま持ち帰ってドヤ顔パーティ第二幕を開催したりする。
逃避として使う場合に、現実を振り返らないことは有利に働く。その一方で人間は現実からは逃げられないので、現実でこそ力をふるいたい…そういう欲望に寄り添っているのかもしれない。
作品のノリは異世界パートと現代パートでちょっと分かれているので分離して考えている。
現実パート
ジュブナイルで青春している。ハプニングのレベルは異世界に比べてたかがしれている(クマが出るとか、火事が起こるとか)ので、バカバカしくて派手なイベントを起こしてインパクトを重視することになる。結果としてツッコミどころが多々あるものの笑える魔空間が出来上がっている。こっちだけなら割と面白いかもしれない。
異世界パート
普通のイセカイファンタジー…吐くほどつまらない。オーディエンスがいないからリアクションも薄いし、イセカイメインヒロインもなんかキチゲ入ってるし、単純につまらない。
主人公が超品質のポーションでキグルになったヒロインの兄を助けるシーンがある。ヒロインの強大な魔力に当てられて怪我をした。怪我は治ったもののその後遺症で破壊衝動が抑えられなくなるだけでなく自傷行為せずにはいられなくなった。いよいよ人前に出せなくなったので軟禁、その怒りは元凶の妹へと向かってしまう。主人公は見た目の醜悪さで虐げられた過去を思い出し助ける───
この怪我にポーションぶっかけたら全部治って人格も治り、罪の精算もノリでなされる…
なにこれ?問題なのは破壊衝動の方だからヒロインの原因治療をしないとダメなんじゃ…ヒロインのせいじゃないなら精神がどっかおかしくてそれがそのままってことになるし…そういうメンタルの根っこの部分を主人公が救うから意味があるんじゃ…
ツッコミどころの多さが脚本の粗の部分に集中して出るから異世界パートはつまらないとご理解いただけるだろう。
チート=ずる
ズルという意味の言葉が転じてコンピューターゲームの数値弄りに転じている。ベリーとかヤバいとかド級の意味でチートを使うことも多く、こういうズルの意味はこの手の作品では吹っ飛んでいる。
作中ではチートとは言わないのだが、主人公の自己肯定感の低さから現実世界の知り合いに「自分はこの世界のレベルアップを現実に持ち帰って…ズルをしてるんだ…大したことないんだよ」的な告白をする。
11話で問題提起され13話でそれでも主人公さんは主人公さんです!と雑な全肯定を受ける。あまりにも全肯定が雑すぎてビックリした。例え説得力皆無のペラッペラだとしても主人公の長所をもうちょっと上げてあげられないのだろうか
本当にもう、なんなんだろう
まとめ
-40点くらい。不快な感じはしないが異世界の振るわなさのせいで最後の方つまんなかった。
作者は他にも進化の実も執筆しており(これもかなり酷い)現代読者のナイーブな欲望に上手く付き添うセンスがあるのかもしれない…
余談だが、小説版のあらすじが一番面白い
あらすじでも現実と異世界を往復している。温度差で風邪をひきそうだ。っていうか果てなきチート道ってなんなんだ。
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