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偶然が呼んだ移住、「やりたい」が叶うものづくりを求めて【後編】

高校・短大時代に絵や木工を学び、卒業後は家具制作の仕事をしていた東千尋さん。偶然テレビで見た鯖江の木工メーカー「Hacoa」のものづくりに惹かれ、2022年2月に埼玉県から福井県鯖江市に移住しました。木工職人として自分の思い描くものづくりを仕事にした東さんは、どのような暮らしをしているのでしょうか。

どれくらい雪が降るの!? 移住前の不安

Hacoaに入社した東さん。
実は求人に応募する際、
福井へ移り住むことに一瞬迷いがあったといいます。

東さん:それまで福井のことをよくわかっていなくて、北陸=すごく雪が降るイメージがあったんです。短大の時に暮らした秋田県は海沿いだったので、そんなに雪は降らなくて…。でもよくよく調べてみると、よく降っても1シーズンに数回程度と知りました。

引越し前には福井暮らしや気候についても県内の地域おこし協力隊から話を聞くことができました。そのおかげで、「これなら生活できそうだ」と福井暮らしの心構えができたような気がします(笑)。

「環境ががらりと変わる時は、気温や住環境など通年通しての情報を知っておくことが大事ですね」と東さん

東さん:また、Hacoaの会社がある鯖江市河和田エリアは、1500年以上の歴史がある越前漆器の産地なのですが、来てみるまで、こんなにものづくりが盛んな地域だとは知りませんでした。鯖江のめがねはなんとなく知っていましたが、越前漆器だけでなく越前和紙や越前打刃物、越前箪笥、越前焼など半径10km圏内に5つもの伝統工芸があることも驚きでした。

東さんが働くHacoa福井本社。事務所や工房のほか、直営店が併設されている

木の性質を見極める、精度の高いものづくり

念願のHacoaでのものづくり。
まずはどんな仕事から始めていったのでしょうか。

東さん:Hacoaの商品はどれも手触りがよくて木のツヤが美しいんです。その鍵となるのが「磨き」の作業。入社して約半年くらいはさまざまな商品を磨き、そのクオリティを身につけました。紙やすりのついた板を持って角を取ったり、傷がないかチェックをしたり…。完成間際の工程だったので、気が引き締まりましたね。

東さん:磨きをマスターしたあとは、実際にペンスタンドのようなシンプルな形状の商品から製作するようになりました。倉庫から木材を出して加工しやすいサイズにカットし、NCルーターでかたちを削り出し、磨き塗装する…。商品の数だけ作り方も異なるので、覚えるのも大変です(笑)。

前職の家具製作は合板を使うことが多かったので傷を見つけやすかったのですが、無垢材は木目や柔らかさが一つひとつ異なります。木の性質を観察しながら、木に傷がついたり反ったりしないように丁寧に扱いながら作業をしていくんです。一つひとつは同じ作業の反復なのですが、できなかったことができるようになっていくのが嬉しいですね。

「精度の高さがクオリティにつながるので、作業場ではいつもみんな集中しています」

ユーザーとの会話がものづくりのモチベーションに

普段は職人として黙々と木と向き合う日常ですが、
毎年秋頃に行われるものづくりイベント「RENEW」では
東さんのような職人たちもお客さんとふれあうのだとか。

東さん:Hacoaがある周辺エリアにはさまざまなものづくりの工房があります。「RENEW」では普段一般の方が入れない工房をひらき、ものづくりの様子を見学できたり、買い物を楽しんだり、ワークショップを体験していただくことができます。私もRENEWの期間中はフォトスタンドを作るワークショップを担当し、来場いただいた方といろんなお話をしました。

その時に最初に話したお客様がHacoaのファンで、わざわざ東京から来てくださったそうなんです。普段の仕事ではなかなか対面でお客様とお話できる機会がないのですごく嬉しかったですし、励みになりました。

スーパーに並ぶ食材を見て福井の文化を実感

東さんが福井で暮らしてもうすぐ2年。
今では雪道の運転もだいぶ慣れたといいます。
最後にこちらの暮らしの感想と
今後の抱負を聞いてみました。

東さん:会社周辺は山に囲まれている自然豊かな場所なのですが、通り抜ける風がとても気持ちいいんです。あとは米どころというだけあってごはんが絶品! スーパーに行くと鯖がまるごと一匹焼き魚で売られていたり、お餅が丸かったりなど、福井ならではの文化を感じます。

名古屋や京都が意外と近いので、休日は電車で県外に出かけることも多いですね。福井県内でもまだまだ行ったことがない場所はたくさんあるのですが、それは県外の友人が遊びにきた時にとっておこうかなと思います(笑)。

「福井のお米”いちほまれ”は美味しいのでぜひ食べてほしいです!」

東さん:仕事はまだまだ学ぶことがたくさんあるので、少しでも先輩の職人に追いつきたいですね。作ってみたいものもたくさんありますが、前の職場で趣味で作っていた木製のアクセサリーを、いつか商品化できればと思っています。これからも木と丁寧に対話しながら、この場所でものづくりを続けていきたいです。

※記事の内容は取材当時のものです。

【取材協力】
Hacoa
https://hacoa.com/

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