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移住して住み始めた城。地域のHUBとなる城主の挑戦 【前編】

福井県おおい町は、若狭湾に面した海や豊かな山林など、多様な自然に囲まれたまち。まちの南に位置する名田庄地区を車で走っていると、道沿いに突如大きな城が現れます。城の名前は「名田庄城」。まちのランドマークタワー的な存在であるその城に住んでいるのが、渡邊敢太(わたなべ かんた)さんです。

渡邊敢太さん
大阪府堺市出身、福井県おおい町在住。大学の時からおおい町に通い、卒業後は地域おこし協力隊に就任。2022年3月に任期を終えたあとは、リライトおおい株式会社に入社。おおい町に2022年7月に誕生した「SEE SEA PARK(シーシーパーク)」の運営に携わる。

このまちにもっと深くかかわりたい

渡邊さんがおおい町に初めてやってきたのは大学時代。
所属していた農業サークルの活動がきっかけでした。
小学生の時に、とある理由から農業にかかわり、
作物を育てる面白さを感じたそうです。

渡邊さん:
小学生の頃、毎朝時間通りに起きることができなくて、どうやったら早く起きれるか考えていたんです。そこで思いついたのが、野菜を育てること。「早朝に水をあげないといけないから早起きできるはず」と、家で畑を始めることにしました。あまり長続きはしなかったのですが(笑)、早起きはできるようになったし、野菜が育っていく過程を見るのが面白くて、大学では農業のサークルに入りました。                            

サークルでは月1回おおい町を訪れ、農作業を手伝いながら地域の方と交流を深めていく活動をしていました。田舎暮らしは昔から憧れを持っていたので、毎月おおい町に行くのはとても楽しみでしたね。都会とは違う時間が流れているし、食べ物も美味しい。通う度にこのまちが好きになっていったんです。

大学ではまちづくりを学んでいた渡邊さん。
在学中には「おおい町学生まちづくり政策コンテスト」にも参加し、
さらにおおい町の人たちとの交流を深めていきます。

渡邊さん:
正直、その時発表したプランの出来はまだまだでしたが、地元の人といろんな話ができたことがとても有意義でした。田舎は場所によっては閉鎖的なところもあると聞きますが、おおい町の人たちはすごく熱い!僕たちみたいな県外の大学生でもまちの将来について真剣に語ってくれるし、みなさんの姿を見ていたら、僕もこのまちをもっと盛り上げたいなと思うようになりました。

おおい町にもっと深くかかわりたい。
しかし、大学4回生になり、人生の岐路が訪れます。

渡邊さん:
私の実家がある大阪府堺市では、毎年夏から秋にかけて「だんじり」という山車を曳く祭りがあるんです。地元ではこの祭りに命をかけている人も多く、私も子どもの時から祭りにかかわっていたこともあり、自分のアイデンティティになっています。

おおい町で暮らしてみたいけど、大切にしている祭りのために地元で就職するという道もある。さんざん迷いましたが、最後は親から言われた「自分の人生、好きに生きろ」という言葉に背中を押されました。おおい町から地元までは車で3時間もあれば通うこともできる。このまちで自分にどんなことができるのか、若いうちに挑戦してみようと決意し、2019年に地域おこし協力隊としておおい町に移住しました。

城に住んでみないか?

移住に伴い、早速住む場所を探し始めた渡邊さん。
最初は一人暮らし用のアパートに住んでいましたが、
せっかくならこの地域の空き家問題に貢献できないだろうか…。
そう思っていた時に舞い込んできたのが、
地域の方からの思わぬ申し出でした。

渡邊さん:
「城に住まないか?」って言われたんです。突然のことで、最初は「え?」って思いました(笑)。聞いてみると、おおい町の名田庄(なたしょう)地区に地元住民が姫路城を模して立てた“城”があるんです。道路沿いにある目立つ建物で、このエリアでは「名田庄城」と言われていました。20年ほど空き家になっていたのですが、城といっても中はちゃんとした民家の造り。これなら問題なく住むことができるし、何よりも城に住めば目立つ(笑)。きっと地域の人にも覚えてもらえるはずだと思い、名田庄城の新しい城主(家主)になることを決めました。名刺にも「城主」の肩書きを加えました。

「城主」の文字が目立つ渡邊さんの名刺

引っ越して以来、名田庄城には地元の人や
町外の友人が遊びに来るようになり、
BBQやボードゲームを楽しむなど新たな交流が生まれているそう。
太陽の光が差し込む縁側には、バーカウンターも設置されています。

渡邊さん:
私自身お酒は飲めないのですが、お手製のカクテルをふるまうこともあるんですよ。おおい町は意外と若者も多く、初対面でも遊びに来てくれるのが嬉しいですね。私が大切にしているのは、自分から心を開くこと。はじめましての人もそうでない人も気兼ねすることなく、この城がフラットにつながれる場所になればと思っています。

おおい町で「城主」として新たなスタートを切った渡邊さん。さらにおおい町のビッグプロジェクトに携わることになり、活躍の場を広げていきます。

後編に続く


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