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【読書の秋】レビュー祭り 3.なぜロジカルな人はメンタルが強いのか?
※注意
完全に主観で書いている。
総評
厳しく言えば、ただのファンブック。
試みとしては面白い部分もあり、今後に期待。
レビュー本題
私(氷室谷)が見た限りでは、麻雀関係の本は大きく3種類に分類できる。
1:戦術、データ本
2:何切る本
3:競技プロの自慰出版
1と2は厳密な境界線というものが少々曖昧だが、
何切る中心の本が多数あるように感じたので分けることにした。
私の中では、基本的に1>2>3の順位付けとなる。
1にはさらに段階、ゲーム風に言えばレベルがある。
いわゆる教科書的なもの(例:麻雀技術 守備の教科書)や、
データを集計した書籍(例:新・科学する麻雀)などが該当する。
「何か読んでみたいけれど迷う」という方には、
1に分類される本の中から探すことを強く薦める。
2は点数や順目、ドラなどの場況と手牌がひたすら示されている。
何を切るのが正解か? という、いわば問題集である。
かなりたくさんの本が出ていると思う。
通称ウザク本と呼ばれるシリーズが特に有名であろう。
正解を選べるようになると、もちろん麻雀の技術は向上する。
偉そうに言っているが、私も↑本の正答率は低い。
……のだが、麻雀にはもっと大事にするべき基礎や押し引きの部分も多い。
したがって1に該当する本に比べると、優先度はやや低いように思う。
本のタイトルに堂々とプロの名前が含まれる様なものは、ほぼすべて3に当てはまる。
無礼を承知でいうと、正直一冊も読まなくてもなんとかなる。
そしてここでようやく、今回選んだ本が該当する。
そもそも、なぜ私が自費出版をもじった寒い駄洒落なんかを使ってまで
このように嫌悪感を抱くか、というところから説明しよう。
私は麻雀の競技プロが嫌いな訳ではない。むしろ好きだ。
観戦しては、ヤジを飛ばしたり一喜一憂するタイプだ。
ただし、プロの名義をタイトルにするような本は苦手だ。
ひとつは、戦術本としてはしばしば内容がマニアックすぎること。
麻雀の魅力を『伝える』という点に難しさを感じてしまう。
もうひとつは、麻雀に限らず様々な競技プロが活躍した翌年に、
出版社がこういう本を出すのを嫌というほど見てきたからである。
プロ野球の優勝チームの監督が、翌年
「選手を信頼し起用した、○○流の人心掌握術」といった感じの、
しょうもなさそうな本を出しているのを見かけたことはないだろうか?
そういった書籍は、正直本人が書いたのかどうかも疑わしいと感じてしまう。
今回の本もタイミングとしては、パイレーツが優勝した後に出てきたものだ。
それでもやはり、売れるから出すのだろう。
パイレーツや小林剛プロを応援する私がまんまと買ったように。
良かった点:牌姿が出てこないという、新しい(と思う)試み
悪かった点:書店では結局、本棚の隅っこにしか陳列されない
長所と短所についてもう少しだけ語ろう。
この本の最大の特徴は、
麻雀牌や卓の図が全く出てこないことである。
もともとそういう宣伝文句を伺ってはいたが、
実際に読んでみるとやはり驚いた。
あのトッププロの小林剛著作に、麻雀牌が存在しない。
プロ野球をつかったチープなたとえ話(※1)と、
チームメート朝倉康心プロへの愛のムチぐらいしか出てこない。
※1:氷室谷によく刺さるブーメランのこと。
麻雀界隈は身内ネタがあまりにも多いため、こうした試みは素直に面白いと思う。
今後もこうした本が出てくると、非常に楽しみである。
一方で、あの小林剛プロの著書だ。
どんな読者層を想定しようが、書店では結局は麻雀(テーブルゲーム)関連の、隅っこの小さな棚に並ぶ運命だろう。
どうせやるのなら、いろんな分野の競技プロをかき集めて、
似たようなテーマで何冊かの本をババンと出す!
くらいの大型企画でなければ、厳しいのではないだろうか。
採算がとれるかは置いておいて、ぜひともそんな光景を見てみたい。
ただ現実はそうもいかないのだろう。
私もいつか、書籍を出版したいものだ。
そうした暁にはこのレビューとは180°に向きを変えた、
まさに手のひら返しな宣伝記事を書いて見せよう。
などと、調子の良いことを言って〆ておこう。
ではまた。