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plugout5[PHASE:SEVENTH]お手伝い覚書き

bmsパッケージ『plugout5』のPHASE:SEVENTHにて3曲bms化から譜面まで担当させていただきましたので、どういう事を考えながら制作をしたのか書いていこうと思います。

パッケージリンク(PHASE:SEVENTHは無料ダウンロードの一番下のパッケージです)
https://atmspr.booth.pm/items/5388476


bms化にあたって

基本的に全てwoslicer3で切断してます。(正気か?)
手作業で切断位置を指定してwavデータを出力出来るツールです。

2024年とは思えない光景

多分もっと人体に優しい制作方法があると思いますので、ありましたら教えて下さい。(bmsの制作ノウハウ、みんな環境が違いすぎて共有されながち)
ちなみにbmsonというフォーマットを使うと容量はバカでかくなりますが、音切りは一切不要になります。早く全世界のストレージとマシンパワーが最強になって欲しいですね。

・音切りの前にやること
最初に音源の再生チェックをします。
空のbmsファイルを制作し、トラックを全部#wavのタブにドロップ、順番に配置して再生しトラックデータが正しく再生されるかを確認します。再生する前に一度必ず保存。
トラック数が多すぎたりファイル名が長すぎたりファイルがデカすぎると正しく再生されない時がありますが、気合でなんとかします。

曲によってどこまで細かく切るかは変わりますが、基本的には定義数が足りる限り細かく粉砕します。

・音切り
ほとんどの場合はファイル名順から切ります、ドラムだけ分けたりシンセだけ分けたりした時もありましたが結局順番に切ったほうがミスが少ない気がします。
wavファイルの出力ですが、woslicerで切断位置を決めたらすぐに出力するのではなく、一度切断位置を決めたあと、全てのトラックデータでwosファイルを作っておきます。

これは最終的なファイル数の予想が立てやすく、途中で定義が足りなくなるのを回避出来るからです。どうしても定義が足りなさそうな場合は、BGMとして一つにまとめることもあります。(せっかく出していただいたのに申し訳ないのもありますが・・・)

☆3[FOLKTRONICA]The theme of Highten - 微熱 & トラチカ


音切り

先程は可能な限り粉砕すると書いていた手前申し訳ないんですが、こちらの楽曲はあえて細かく音を切らない手法を用いています。
plugoutというパッケージは先に難易度の指定がある為、その難易度に合わせた音の細かさでノーツを配置したい場合、細かすぎない方が指定の難易度にリーチし易い為です。

0:44付近の音は、実際には「テテテテテテテテ テー」と16分で鳴っていますが、実際には8分で切断しています。これは☆3という事前の難易度指定があること、そしてbeatmaniaを意識したキーサウンドの制作ということで、サンプラーらしさと難易度の調整両方を兼ねる事が出来て都合が良いからです。
細かく切って8分の箇所だけ抜き出しても良いのですが(いわゆる歯抜け配置)、押すタイミングのズレによって演奏感を損なったり、再生本体や設定によってはキー音とBGMのバランスが変わってしまうため、今回は行っていません。

SP

エレクトロニカ系統の楽曲ジャンルであるため、多彩な音色を演奏させたい!でもどこで何が鳴っているのかは分かりやすくしたい!というコンセプトのもと制作をしました。

・#009~

開幕のミニマルな音の取り方から変わって、パーカッションの音は広めの配置を使用しています。また白鍵盤の3レーンが綺麗にハマるのでこの配置になりました。ちなみに初稿はこれより全然難しかったです・・・

・#025~
音切りの項目で説明しましたが、ここは歯抜けの使用を控えたかったので、wavの切断箇所を特殊にしてあります。
また、配置の形状により楽器の区別をさせやすくするため、交互ではなく連打にしてあります。音的にも正しいのでかなり都合が良いです。

・#041~

大サビからの配置は同時押しから始まり、音階のある音をスクラッチで取るなど特殊な配置を行っています。これはbeatmaniaシリーズでもあんまり使わない配置です。
個人的にここ直近で作っている5鍵盤の譜面はbeatmaniaの後期作品、6th~FINAL辺りを意識している配置が多いです。この譜面も「LAUGHIN」や「GENOM SCREAMS(SPIRITUAL MIX)」等の配置を少し意識しています。

・アウトロ~

これは結構他の譜面でも使っている手法ですが、前半部で使用した配置を後半でも使用することにより、色々な音が鳴っている箇所でも配置による記憶で何の音を鳴らしているかを分かりやすくしています。#058~は中盤で出てきた縦連打の配置、#061~はイントロで出てきたリフの配置を引用しています。

DP

10鍵盤は基本的に「2人分を1人でプレイする」というコンセプトの元生まれたフォーマットですので、それぞれの譜面を片側だけプレイしても演奏感があること、また両サイドが平等な難易度であることに注意しながら制作をしています。ただ、完全に左右が同じフレーズをただ入れ替えただけ、というのも味気が無く、それではDPである意味が無くなってしまうため、ある程度の非対称性さを入れながらバランス調整を行っています。

・#021~

難易度の兼ね合いにもよりますが、左右完全に別フレーズを叩かせるとなると難易度が逸脱してしまう場合もあります。ここでは1P側のレーン自体は足りていますが、1~5番まで広くレーンを使うと難易度が上がりすぎてしまうので意図的に絞っています、この手法は後半でもいくらか使用しています。

・#025~

結構謎めな形の分割ですが、中期のbeatmania(4th~club)の分割はこういう謎の分割が多いです。結構好きなので当時のそれっぽさを出したい時は使ってます。

・#041~

キメは流石に大きい動きをさせたい!けど難易度が上がりすぎてしまうのでここも直前でレーン圧縮、更に直後のフレーズのノーツを減らして対処をしています。#044もギターは鳴っていますがここでは省略しています。

☆6[POPS]僕ら探してる - カナイリョウタ

音切り

フル尺での収録との事でしたので、1300音に収まるか少しヒヤヒヤしましたが、割と猶予がありました。
MVを視聴させていただいた段階でやりたい事が決まったので、それを考えつつ音切りを進めてます。

SP

ロック系の楽曲はギターを連打にしたい!をまず念頭に譜面を制作しました。これは「CRYMSON」や「JET WORLD」などの影響が大きいです。
(これはplugout主宰の軍人さんにも「めっちゃ分かる!」と賛同されました)

・#017~

リードギターが入った箇所からはギターを縦連打に配置し、形状で楽器の区別を付けています、ジャッジャッジャッは白鍵盤同時で固いイメージに。1+3を片手で取れるように配慮してあるのは現代的な感じがします。

・#033~

パンが振ってある箇所(音が左右から鳴る箇所)は鳴る方向に鍵盤を配置しています、ここで言うと1番と5番です。SPは8分で鳴る音を取ってきていますがDPはもっと極端にしています。(DPの見出しにて後述)

・#068~

この配置は、BGA合わせです。これをやりたいが為にボーカルをキー音に当てる用に切っています。(BGA合わせだけをやると他の配置がスカスカになってしまうので良い感じの音が欲しかった)
動画で言うと1:40~の足の動きと手の動きに合わせ、ノーツを配置してあります。
ここのこだわりですが、演奏ゲーム部分が楽曲や映像に直接干渉してくるのが音楽ゲームとしての体験の真髄と自分は捉えていますので、ここぞという時に「そっ」と譜面が楽曲に触れてくるのがグッと来る演出になるのではないでしょうかと思っています。あまり過干渉すぎるとそれはそれで萎えるので、本当に大事な場面で使うことが重要。

・#104~

元々はシンセのwavを1本で貰っていたのですが、アウトロのシンセが融合してしまっていたため追加でwavをいただき配置しました。ありがとうございます。どうしても混フレがやりたかったので・・・

DP

・#033~

左右から音が鳴っている箇所を更に誇張して置いています。DPだと軽率に1+3+5が置けていいですね。

・#060~

SPでは16分交互でギターを取っていますが、DPではベース+シンセのLNを配置しています。こういう事をplugoutに限らず他の譜面でも結構やっていますので、DPはやってないよ!って人も是非オートでもいいので見ていただけると嬉しいです。DPのオートプレイ動画全然上がらない問題。本当に。
ちなみにこれも、初期beatmaniaのSPとDPで取ってる音が全然違うどころか増えてるみたいなのをリスペクトしています。

・#068~

すみません、ここもこれをやりたくてギターを切っています。
他で制作させて頂いている譜面でも、ながーーーーい音などは長物を伸ばせるだけ伸ばして配置していることが多いです。なぜならそう鳴っているので・・・

☆8[ELECTRONICA]廃棄対象_アヲ・キナ - sasakure.UK × TJ.hangneil

音切り

まずこの楽曲ですが、bpmの推移が70→60→120→122→128→70→120です。またwoslicer3はbpm変更に対応していません。どうやって切ったでしょうか。

A. bpmが変わる箇所で全て切断し、出力されたwavのbpmをそれぞれ合わせ直して再び全部切る。
パワープレイがすぎる。今までの中でもトップクラスに難易度が高かったです・・・、もっといいやり方がありましたら本当教えて下さい。あとwoslicerでbpmの途中変更が出来るようにしてください。(2024年にもなってwoslicerのアップデート要望を???)

SP

・#005など

ピアノの和音のフレーズですが、左手は鳴っている音が全然違うのに1と2にしか置いていません。5鍵盤の狭さで緩くなっているのもありますが、基本的に和音で鳴っていれば、同時押しの箇所は音の高低差がかなり曖昧になります。これは自分が発見したわけではなくてwoslicer作った人が昔提唱した話を今もそのままパクって使っています。かなり便利なので7鍵盤でも有効な手法だと思います。

・#014~

ここも先程の応用で、右手さえ動いていれば左手は同じ配置であっても音階が動いている感じが出せます。レーンが余っているといえば余っているので動かせはしますが、☆8で出来るのはこれぐらいが限界かな・・・

・#030~

バスドラ+リフの箇所はあまり押しやすさを忖度せず、同系統の音を同レーンであることを重視しつつ、32終わりから33頭の辺りで完全交互に押せる配置を混ぜています。

・#038~

スネア連打の入る箇所はバスドラを抜いて調整してます。同時押し+連打はとても難しいので、☆8でも余程のことがない限りは置けないかな・・・と思います。実際、抜いても演奏感はそれほど損なわなかったので抜いた方を採用しました。

・#054~

最初はLNを右寄せ・左寄せにするパターンだったのですが、白鍵統一にした方が分かりやすいし面白いし映えるな、となって変更しました。残りのドラムを置いてある箇所がかなり犠牲になってますが、差し引いてもLNの面白さを優先しています。3番LNの扱いはかなり困りました・・・隣接禁止という制約がある以上、一緒に置けるのが1と5しか無いので音的に違和感が無いかを繰り返し確認しました。

・#069~

最後は全部縦連打にしようかと思いましたが、人間が押せる範囲と尖った配置を考慮した結果この配置に落ち着きました。誘導もありますから最後の5番連打は交互で押せますよね?
本当は最後の音も切ろうか悩んだんですが、全部LNの1本wavになるのもな・・・と思いゲーム性を考え切っています。

DP

・#010~

LNの離しが難しいかな・・・とも思ったのですが、LN末端に判定が無い本体でプレイすることが前提ではあるので、LNを採用しています。

・#046~

ここからDPでしか出来ないことをやって盛大にふざけています。
5+5レーンではなく10レーンとみなして音の高低差を持たせた配置をしています。
この辺りはSPと全く違うので本当に見て欲しいです。頼む

・#054~

ダブルバトルミラー地帯です。THE EARTH LIGHTがやってるから大丈夫でしょ・・・って判断で置いています。DPが☆9になってもよかったのかなと若干思いつつ、ピークの位置が一番最後ではないので☆8に収まってるかな・・・?

おわりに

plugoutのPHASE:SEVENTHが公開されてから1ヶ月経ち、ようやく記事を書き上げるところまでに至りました。遅すぎるぞ自分。
譜面制作のノウハウってあまりにも共有されながちだと思い、自分も書ける時に書きたいですね~と散々オフラインイベントで言い回ってるにも関わらず全然そういうのを書いてこなかったので、ようやく一つ残せるものが書けたかなと思います。plugoutという企画に感謝しています。

今回は5鍵盤10鍵盤の譜面がメインでしたが、7鍵盤14鍵盤9鍵盤の譜面も機会がありましたら書きたいですね。機会がありましたらって言うとマジで書かないので強制的に機会を作って行くしかないのか。

現在はお仕事でも譜面制作をさせていただいていますが、bmsの譜面制作自体もまだ続けていくつもりですので、BOF・BOF以外でも譜面制作のお誘いをいただければお手伝いさせていただきたいと思います、この記事公開の地点ではまだ全然タスクに余裕があるので何卒よろしくお願いします。
hi-low


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