問われるヴィランの魅力『アイアンマン2』レビュー

【概要】

2010年公開。MCU(マーヴェル・シネマティック・ユニバース)としては3作目。
監督 ジョン・ファヴロー
脚本 ジャスティン・セロウ
製作 ケヴィン・ファイギ

【あらすじ】

ヒーローになった男、トニー・スターク。次なる試練。
自らアイアンマンであることを告白した大企業スターク・インダストリーのCEO、トニー・スターク。そんな彼に新たな危機が迫っていた。まず、米国政府がパワードスーツの没収を命令。そして、彼に恨みを抱く謎の男“ウィップラッシュ”が一撃で車を真っ二つにする電流ムチを携えて現れ、ライバルの武器商人ハマーも独自のパワードスーツを開発する。そんな中、胸に埋め込んだエネルギー源“リアクター”の影響でトニーの体は蝕まれていき…。
公式HPより引用)

【登場人物】

トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr/藤原啓治)
 アイアンマン。大富豪で天才。本作では体調不良もあってさらにアンバランス。
ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロー/岡寛恵)
 トニーの秘書。イチゴアレルギー持ち。
ローディ(ドン・チードル/目黒光祐)
 トニーの親友でアメリカ空軍中佐。本作から演者が変更。念願叶ってウォーマシンに。
フィル・コールソン(クラーク・グレッグ/村治学)
 S.H.I.E.L.D.のエージェント。途中でメキシコへ出張。
J.A.R.V.I.S.(ポール・ベタニー/加瀬康之)
 トニーをサポートするAI執事。
ハッピー・ホーガン(ジョン・ファヴロー/大西健晴)
 トニーの運転手兼ボディガード。コメディ・リリーフ担当。好き。
ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン/手塚秀彰)
 S.H.I.E.L.D.長官。
ナタリー・ラッシュマン(スカーレット・ヨハンソン/佐古真弓)
 スターク・インダストリー法務部の社員。
ジャスティン・ハマー(サム・ロックウェル/森川智之)
 ハマー・インダストリーズCEO。小物感すごい。
イワン・バンコ/ウィップラッシュ(ミッキー・ローク/菅生隆之)
 本作のヴィラン。トニーに近いレベルの天才。

<注意>
ネタバレはしないようにしますが…。
個人の感想です。

【良かった点】

① スカーレット・ヨハンソンの美しさ
 なんかもう、すごいとしか言えない。
スーツの進化
 スーツケースがそのままアイアンマンスーツになるのは結構好き。デザイン的には本作くらいがゴツゴツ感があって好き。

【悪かった点】

ウィップラッシュが微妙
 せっかくアーク・リアクターを小型化できたのに、電磁ムチにしか使っていない。トニーは空飛んでビーム撃ってるのに…。
② 「ハワードの遺産」が微妙
 父からの秘められたメッセージに息子が気付くというのはとても好きな展開なんだけど、冷静に考えると回りくどすぎて…。
ウォーマシンをもうちょっと活躍させてあげてもいいじゃない
④ 最終決戦が微妙
 満を持して登場したウィップラッシュがあっという間に…。

【まとめ】

 個人的には前作『アイアンマン』を超えていないと思う。もちろんアクションなんかはいいし、面白いのは確かだが…。ブラック・ウィドゥの初登場を除けば、MCU全体のストーリーにはそこまで絡まないしね。
 1作目は主人公を見せればいいが、シリーズ続編になってくるとヴィランの魅力こそが大事だと思う。ヴィランなので当然悪事を働くのだが、そこに共感できるヴィランなりの正義や信念がある、もしくは逆にぶっちぎりでイかれているか。例えば前者は「シビルウォー/キャプテン・アメリカ」のジモ大佐、後者は「ダークナイト」のジョーカー。見終わった後に友人と語り合いたくなるような魅力的なヴィランが必要だ。本作のウィップラッシュの行動原理は逆恨み…とぶった切るのはちょっと乱暴かもしれないが、長年の恨みの感情だけでは感情移入しづらい。もう少しウィップラッシュの心情を掘り下げることができていれば違ったかもしれない。あと天才だとは思うけど、ムチ振り回しているだけだと・・・弱くない?
 自棄になりつつ、自分の死んだ後のことを考えているトニーには結構感情移入してしまう。愛するペッパーには会社を残し、アイアンマンの後継としてスーツをローディに託す。ついでに死んだ時に悲しまないように嫌われておこう…としているようにも見える荒れっぷり。未来へレガシーを残そうとしている気配も感じられるし、この点はよく描けていると思う。

評価 ☆3(ちゃんと面白い

【今後のために本作で覚えておくべきこと】

① トニーとペッパーの関係が少し進んだ
② トニーの父ハワードへの思い
ローディがウォーマシンになった
ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドゥの存在

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