間抜けに見える大問題『ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密』レビュー
【概要】
2022年4月公開。『ハリー・ポッター』シリーズの前日譚である『ファンタスティックビースト』シリーズの第3作。
監督 デビッド・イェーツ
脚本 J・K・ローリング スティーブ・クローブス
【あらすじ】
前作で大暴れした邪悪な魔法使いグリンデルバルトの陰謀を阻止するために、ダンブルドア先生の指示を受けた特別チームが過酷なミッションに挑む…的な話。
【見る前の気持ち】
『ファンタビ』は主人公ニュートののほほん感が結構好きで、過去2作も劇場でみました。前作の描写が結構エグかったのは覚えています。グリンデルバルトとクリーデンスが合流して、話がどう展開するのか楽しみでした。
<注意>
ネタバレが無いように気を付けます。
あくまでも個人の感想です。
【登場人物】
ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン/宮野真守)
主人公。コミュ力低いが、心優しい魔法動物学者。
ジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー/間宮康弘)
ニュートの友人。一般人のパン屋。いい人。クイニーの元恋人。
テセウス・スキャマンダー(カラム・ターナー/江口拓也)
ニュートの兄。イギリス魔法省で出世している。前作で婚約者が殺されている。
ラリー・ヒックス(ジェシカ・ウィリアムズ/きそひろこ)
先生。鉄壁らしい。
ユスフ(ウィリアム・ナディラム/田村真)
レストレンジ家関係の魔法使い。
バンティ(ヴィクトリア・イェーツ/新谷真弓)
ニュートの助手を務める魔女。松野明美っぽい。
アルバス・ダンブルドア(ジュード・ロウ/森川智之)
かの有名なホグワーツの先生。ニュートの恩師。ゲイ(バイかも)。
ティナ・ゴールドスタイン(キャサリン・ウォーターストン/伊藤静)
ニュートの彼女。アメリカ人魔女。出世して忙しいので本作ではほぼ出番なし。
クイニー・ゴールドスタイン(アリソン・スドル/遠藤綾)
ティナの妹。読心術の達人。恋愛脳。前作でグリンデルバルト陣営へ。
クリーデンス・ベアボーン(エズラ・ミラー/武藤正史)
前作でダンブルドア家の人間であることがグリンデルバルトから伝えられた。根暗。
ゲラート・グリンデルバルド(マッツ・ミケルセン/井上和彦)
「あのお方」が登場するまでは最悪の魔法使いと呼ばれていたらしい。
アバーフォース(リチャード・コイル/中井和哉)
ダンブルドアの弟の魔法使い。兄弟の仲はあまり良くない。
【よかった点】
① 魔法生物がかわいい
おなじみの「ボウトラックル」と「ニフラー」の可愛らしさは相変わらずやばい。出てくるだけで笑みがこぼれてしまう。
② グリンデルバルトはいいキャラしてる
前作までのジョニー・デップから変更になったが、こちらのグリンデルバルトの方が人間味があって好き。前作までは、なんか狂人感がありすぎてしんどかった。
【悪かった点】
① 刑務所のシーンは絶対いらない
一体何のためのシーンなのか。ストーリー上全く不要であり、魔法生物の活躍どころがないので無理やり挿入した感がひどい。もう少しうまくやってもらえないだろうか。
② 魔法社会の描写が酷い
魔法世界の大統領選挙的なものにグリンデルバルトが立候補してくる。それは、まあ良しとする。政策に関する演説をするのも分かる。だが、結局「麒麟」に選んでもらうというのがよく分からない。「麒麟」が選んだのであれば政策はなんでもいいというのが輪にかけて酷い。「麒麟」には真に善良なものを見分ける力があるからというが、「真に善良な者」に政治家をやれるとは思わない。政治を絡めるのであれば、もう少しマシな描写をしてほしい。『ファンタビ』シリーズは決して子供向けの作品ではないと思うしね。
③ グリンデルバルトの能力
未来を垣間見る能力を持っているとされるグリンデルバルト。JOJO5部っぽいが、それをいかに出し抜くか、というのが本作の見どころ。のはずが、この作戦だととても出し抜けるとは思えない。能力に制限があるなら、それを描いてもらわないとグリンデルバルトがただの間抜けに見えてしまう。④ クリーデンスの扱いが酷い
過去2作を使ってクリーデンスを深堀りしてきたのに、この扱いは酷い。もう少ししっかり描いてあげないと。スターウォーズEp.9でカイロ・レンが大した描写もなく死んでたら、さらなる大炎上していただろうけど、そんな感じ。
【まとめ】
映像は綺麗だし、本作の主役ともいえる魔法生物たちは(迫力には欠けるものの)可愛いらしさは健在。だが、それだけ。脚本には気になる点が多いし、クリーデンスはあの有様。ダンブルドア家の秘密も別に「そうですか」程度のインパクト。全然盛り上がらなかった。
駄作とは言わないが、凡作。結局1作目が一番面白かったというシリーズになってしまいそうな予感がする。次回作、結構ハードル上がってるよ?大丈夫か?
評価 ☆2(演者・シリーズファンにはおすすめ)
【改善案】
刑務所のシーンは丸々カットして、その分クリーデンスの葛藤や悩みに焦点を当ててみましょう。ユスフにも特に役割があるわけでもないし、出さなくてもいいのでは?それなら、「事件の裏で実はティナも作戦に参加していました」とかでもいいんじゃないかな。
魔法生物の活躍をしっかりと本筋の事件で描いて、1頭くらいデカブツも出して大暴れさせてもいいんじゃないでしょうか。前作まではできてたじゃん。