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【Myノマド#10 @チェンマイ】コロナ後遺症(?)でタイ料理の味が分からない……

緩すぎる5日間の自主隔離生活が終わり、ようやく外出の権利を得た。"5日ぶり"の外出だが、あまり久しぶりという感じはしない。

きっと、毎日Grabフードのオーダーをロビーまで取りに行けていたからだろう。加えて、部屋からの眺めがよかったのも理由かもしれない。


ようやくチェンマイの街を巡れることに喜びを感じていたが、すぐに落ち込むことに。なぜかというと、臭いも味も分からなくなっていたからだ——。

まず衝撃を受けたのは、一口目のコーヒー。カップのフチを口につけても、コーヒーの香りはしない。変だなと思いつつ口に入れると、ただのお湯のようだった。

この1杯で、「あ、これがコロナの後遺症なんだ」と悟った。でも、このコーヒーがたまたま薄いだけかもしれない。だから、いろいろなご飯や飲み物を試してみることにした。

まず試したのは、抹茶ケーキ。できれば苦味のある本格的な抹茶ケーキを食べたいと思い、チェンマイにある人気店「Saruda Finest Pastry」を訪れることにした。

「Saruda Finest Pastry」の宇治抹茶ケーキ

物価が日本と比べて安い東南アジアだが、ここの抹茶ケーキは1,000円近くした。「きっと濃厚な味わいなんだろう」と、期待しながら口に運ぶ。しかし、ただのスポンジをかじっているような感覚だった。

「ならば辛いものだ」と思い、次に向かったのは「カオソーイ ニマン」。「カオソーイ」とはタイ北部の名物料理で、スパイシーなカレー風味の麺料理である。

「カオソーイ ニマン」のカオソーイ

若干緊張しつつ、麺をすすってみる。すると、ただ「辛い」という感覚だけが口の中に残った。

「辛味」は、味ではなく痛覚だ。だから、味覚で感じられるはずの「カレーの風味」だけが抜け落ちて、ただの「痛さ」だけが残ったのだ。

このカオソーイで、嗅覚と味覚がなくなっていることを理解した。ショックを抱えたまま、痛さしか感じない麺をすすり続けた。


香りも味も分からない状態になってしまったが、人間というのはすごいものだ。だって、嗅覚も味覚もないはずなのに、違和感なく食事ができちゃうんだから——。

このことに気がついたのは、朝食のバナナをホテルの部屋で食べているとき。なんと、鼻も舌も機能停止しているにもかかわらず、「おいしい」と感じるのだ。

なぜなのか明確な理由は分からないけれど、予想はこうだ。

視覚でバナナと認識していて、触覚でバナナの食感も分かる。そして、脳は「バナナの味」を記憶している。だから、「これはバナナだ」と理解した上で口に入れると、その行動を脳が「バナナを食べている」と処理し、「おいしい」と"錯覚"しているのではないか、と。

この"機能"のおかげで、味を知っている食事なら「多分おいしいんじゃないかな?」という感覚で食べられた。日本風カレーや親子丼、オレンジジュースなどは、「味が分かっている感じ」だった。

Grabフードでオーダーしたカレー
親子丼

だけど、疑問は残る。毎日欠かさず飲んでいるはずのコーヒーは、どうして匂いも味も分からないのか。そして、抹茶ケーキ自体の味は知っているはずなのに、どうしてチェンマイのケーキは味が分からなかったのか——。



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