古い映画館を表したNIKE SB DUNKと失くしてはいけないスケートボードの価値。
NIKE SBから、映画館をモチーフに仕上げられたDUNK LOWが出る。
フランス パリのスポーツの祭典を記念して、2024年の年明けからリリースされてきたCityシリーズDUNKの最終モデル City of Cinema。映画の街パリで行われたスケートボード競技を祝うのにふさわしいコンセプトだと思う。
古い映画館のテクスチャがDUNKに散りばめられている。タンに使用されたベロアは椅子、ペイント加工を施したアッパーは経年劣化した壁、アウトソールのブラウンは床、そして、インソールには劇場の幕がプリントされている。
仮に、うちの娘に、このスニーカーは、映画館をモチーフにデザインされたものだと言っても、きっと伝わらないだろう。彼女が知っている映画館が、このDUNKが表現している映画館とは全然違うからだ。City of Cinemaが表現している映画館の椅子は、えんじ色のベロア生地が貼られた木製の椅子。彼女が映画館で座る椅子は樹脂製で、生地にはベロアのような表情はない。
ベロア貼りの木製の椅子が並んだ味のある映画館。もしも、今、残っていたら、若い人たちにとっては、ビンテージ感があって特別かもしれないし、テーマパーク的で集客できそうだ。でも、自分(47歳)が子どもの頃には、それが当たり前だったし、当時、木製のベロア貼りの椅子には、なにも特別な価値を感じなかった。
過ぎ去った時間や物には希少性があるから、価値を感じることは、誰にとっても簡単だ。逆に、今、この瞬間に価値を見抜くことは、とても難しい。未来を予測することに近いから。
スケートボードはどうだろう。失くしてはいけないスケートボードの価値は、どこにあるのだろう。木製のデッキ?ウレタンのウィール?ストリートスケート?オーリー?何かを失くした結果、スケートボードは、どうなっていくんだろう。
フランス パリ大会のスケートボードの勝者は、堀米雄斗だった。まだ、自分が憧れたスケートボードと今のスケートボードは、繋がっている。いつか、離ればなれになってしまわないように仕事をしよう。
NIKE SB DUNK LOW PRO "City of Cinema"は、10月18日発売。