あなたの特別なポケモンはだれ?

TLに流れてくるポケモンfit

「ポケモンfit」という言葉がトレンド入りしていて初めてその存在を知ったのだが、どうやら近年ポケモン全種類がぬいぐるみ化して販売されているらしい。
 多分もう何百種類もいるポケモンを全種類ぬいぐるみにして販売するなんて、ポケモンってやっぱすごいや。
 今の時代を生きている人の大多数がどのシリーズにせよ一度はポケモンをやったことがあると思う。ゲームはやったことがなくてもアニメや映画でポケモンに触れたことが一度もないと言う人は珍しいだろう。
 Xで流れてくるポケモンfit関連のバズっているポストはどれも、自分にとってのお気に入りのポケモンを連れ歩いて写真におさめていたり、子供がちょっと変わったポケモンのぬいを欲しがっているのに母親が可愛いのにしろと言ったという話だったり。
 小さい頃からシルバニア大好きだったわたしとしては、自分もポケモンfit欲しい!となるわけで。ポケモンfitの画像を色々見ていて気付いた。
 一番好きなポケモン、自分が選ぶならこいつしかないというポケモン、それが誰だかわからないということに。

向日葵の鍵垢のポスト

 幼い頃からポケモンシリーズは何回もプレイしてきているし、カラオケで「めざせポケモンマスター」や「ポケモン言えるかな」を歌ってきた世代だと言うのに、自分に寄り添ってくれた特別なポケモンが一匹も思いつかないと言うことに絶望した。
 TLでもフォロワー達が「自分は〇〇が好き」「うちには△△がいる」とパートナーポケモンの話をしている中、必死に記憶を掘り起こすも誰のことも思い出せない。いつも御三家はほのおタイプを選ぶ、というくらいしかこだわりがない。
 ポケモンを身近なものだと思っていたはずなのに、とショックを受けながら風呂に入っていて、ふとある一匹のポケモンのことを思い出した。
 わたしの特別はトランセルだ。

ジムリーダータケシとの死闘

 わたしは昔からレベリングが苦手だった。友達は皆こつこつとレベル上げを何時間も繰り返して、確実に勝てるレベルに至ってからジム戦に挑んでいたが、わたしは面倒くさくていつも絶対に戦わないと話が進まないような奴とだけ戦って進めていた。案の定常にレベルが足りずギリギリの戦いを強いられることになる。
 ポケモン赤緑シリーズ(もしかしたらリメイク版だったかもしれない。なにせある程度大人になってからプレイしていた時のこと)、2番目のジムリーダータケシに挑んだ時もバトルは困難を極めた。
 手持ちは正確には覚えていないが初期メンのヒトカゲ、その辺で捕まえたコラッタ、ポッポ、バタフリーにしたくてレベル上げのためだけに連れてるトランセル、みたいな感じだったと思う。
 レベル上げしていない、唯一大切に育てているヒトカゲはいわタイプに対して相性が悪い。こんな状態で勝てるはずもなく。どんどんと手持ちはひんしになっていき、最後に残ったのは進化待ちのトランセルのみ。しかも覚えている技は「かたくなる」のみ。
 あ、終わった…リセットするか…?とももちろん考えたが、既にタケシの手持ちはイワークのみ。体力も前の奴らが結構頑張ってくれて残り3分の1以下。なんかもったいないなの精神が働き、なんとなくリセットする気になれずにとにかく毎ターンかたくなり続けた。
 その時わたしのトランセルは「かたくなる」を何度も繰り返したことによって何よりも硬くなっていた。イワークにどんな攻撃をされても1ミリもHPが減らない。
 え?なんか粘ってるな…?なんかもう早く終わってほしいけどどうしよう…と思いながら「かたくなる」を繰り返した。

ついに技ポイントが0になる瞬間

 詳しい人からしたら当たり前なことだと思うが、ゲーム音痴で適当にプレイしていたわたしは技ポイントがなくなったらどうなるのかを知らなかった。知らない人のために説明すると、ポケモン1匹につき覚えられる技が4種類、その1種類ごとに何回まで使えるという回数が決まっている。
 最後の「かたくなる」をした後、これ以降何もできなくなるから負けになっちゃうのかな、なんて半分思考停止しながら次のターンを迎えると案の定技ポイントがない。終わりか~と思った次の瞬間トランセルが「わるあがき」でイワークを攻撃しだした。
 え?そんな技うちの子は覚えてませんけど?と不思議に思っていたのだが、どうやら手持ちのポケモンが技を一つも発動できない状態で「たたかう」を選択すると「わるあがき」が勝手に発動するらしいのだ。
 いやもう絶対負けたやん、という手持ちがかたくなることしかできないトランセル一匹の状態から、かくしてわるあがきのみでタケシのイワークを倒してしまったのである。
 これはゲーム音痴のわたしにとっては結構衝撃的な思い出で、その後の人生で友達とポケモンの話になるたびに「わたしはトランセルでタケシのイワークに勝ったことがあるんだよね」と何度も武勇伝のように話してきた。
 皆にとって冒険の相棒、思い出の一匹がいるように、わたしにとってのそれがトランセルなのである。

 じゃあなんですぐにトランセルのことを思い出さなかったのかと言うと、その後バタフリーに進化させたら満足してパーティーから抜いたからだ。なんか本当にごめん。

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