203X年 日本連邦の設計図(1)日本がとるべき国際的リーダーシップ
はじめに
昨今の世界情勢は混沌としている。
長期化するウクライナ戦争に加え、2024年はガザ紛争が勃発、ついにはイランがイスラエルに攻撃を始めた。
戦争を継続しているロシアはついに経済的に疲弊し始めたように見える。高齢になったプーチンから後任への後継はスムーズに行われるのだろうか。ソ連崩壊の二の舞になる可能性すらあると思う。
アジアに目を向けると、中国と台湾の小競り合い、朝鮮半島の緊張が日に日に危機感を高めている。
爆発的な成長を見せていた中国はここに来て経済危機に陥っている。一党独裁は継続できるのだろうか。繁栄と分裂を繰り返してきた中国大陸の歴史のサイクルが、近い将来また繰り返されるような雰囲気すら感じられる。
そしてアメリカ。米国一強の世界は今後も継続するというのが、大半の味方である。人口と経済は今後も拡張を続けると予想される一方で、極端な貧富の差、地域格差によって内戦が引き起こされる可能性を主張する意見がちらほら現れるようになった。
こうした「大国」と呼ばれてきた国々が、もしかしたら崩壊や分裂してしまうかもしれない。そんな大袈裟なことにはならなくても、これまでのような世界的なリーダーシップを発揮し続けることができるのか。我々は不安定な時代を生きていると私は感じている。
問題は紛争だけでない。世界は気候変動、砂漠化、貧困、水不足、食糧危機など世界は多くの課題に直面している。限りある資源は非情なほど不平等に分配されている。
そんな混沌とする世界において、私は日本の今後に期待している。私の母国であるというバイアスはもちろんあるだろうう。なので可能な限り客観的に私の考えを説明したい。
まず日本は欧州や北米などの先進国グループに位置付けられる国であると同時に、アジア諸国でもあり、非白人国家である。つまり、これまで世界を牽引してきた欧米からも先進国の「仲間」として認識され、同時に世界人口の大半を占める欧米以外の国々(アジア・アフリカ・中東諸国)からも非欧米・非白人国家としてのの立ち位置を取り「仲間」として振る舞うことができる。
これまで極東の異様な文化と見なされがちであった日本の文化。しかし近年では、日本の文化、日本人の価値観や人生観は世界的に広く浸透し、理解され共感されるようになっている。平和、共存、安定、支え合いなどといった日本的な(仏教的、道徳的な)意識が世界に広まっている。持続可能な開発、ESG投資、マインドフルネスなどの普及は本質的に日本的な価値観が世界に浸透している証拠である。こうした考えは、世界の平和や安定に不可欠にマインドセットである。
これまでの覇権国は圧倒的な技術力、軍事力、経済力で世界のリーダーとして君臨した。
しかし、多極化しつつある世界では、そうした国の台頭は新たな亀裂と不安定さを増すだけである。
これからの時代に求められる「新しい覇権国」とは正しい道徳観、倫理といった本質的な正義、そして異なる意見や文化の違いを調整し、調和させることができるコーディネーター役としての機能、そして諦めない(忍耐強い)メンタルや継続性である。(地球規模課題はそんなすぐに解決できるようなものではないから)。
これらの特性を兼ね備えている国が世界の調整係、模範として存在感を示すべきである。そして、これらの素質を兼ね備えている国はどこだろうか。私は日本が最適であると考えている。
残念ながら、今日の日本を眺めてみると理想とは程遠い。安倍政権時代、外交力が功を制し国際社会における日本の重要性は飛躍的に向上した。しかしながら、まだまだ世界問題の解決を先導するような立ち回りはできていない。
それはなぜか。その理由の一つに、政治家や官僚はドメスティックな課題の解決に精一杯であるから、と考えている。世界や国際問題にに目を向け、解決の役割を担う余裕がない。そんなふうに見える。しかしこれは世界にとって、日本にとって、もったいないことである。
もちろん、国内の問題を解決しなければいけない。だからといって、地球規模課題の解決に貢献できない、という理由はない。要するに、リソースが的確に配置されていないことに問題があると思う。
日本がより魅力的な国になるために、人々の日々の生活がより明るいものになるように、世界の諸問題が解消する方向へ向かうために、私は日本のガバナンスの仕組みを「中央集権・省庁主導型」から「地域分権・州主導型」に改めるべきであると考えている。
それを実現するために、日本は「連邦制」を採用すべきである。
過去に議論されていた「道州制」という表現をあえて使わないのには、理由がある。
「道州制」は主に都道府県の合併という側面が強い。「連邦制」の本質は都道府県合併ではない。
連邦制は「機能別」で分けられた中央省庁を「地域別」に再編成する作業である。日本をいくつかの州に再編する(個人的には8州が理想であると考えている)。州内では都市や市町村が経済や社会の発展のために様々な独自の取り組みを実施し、切磋琢磨する。
「御上」に依存する政治・行政を改め、「自治」の精神を取り戻す。「政治家批判」、「政党批判」、「行政批判」「政治無関心」という現状を改め、人々が参加し、地域社会から行動を起こせる仕組みを構築する。全国各地から数多くの政策やプロジェクト事例が生まれ、相互比較・学習を繰り返すことで、課題解決へ向けた効果がスピードアップする。連邦制のもう一つの狙いは地方自治体を中央政府の手足から、地域社会規模で課題を解決するプレイヤーに変貌させることである。
中央省庁の州への再編、自治体の変貌。それと同時にコンパクトに国家(外交、安全保障)機能を統合した「連邦政府」を設置する。この連邦政府が日本の国際的な業務を担い、世界の発展と安定の為にリーダーシップを発揮する。
こんな未来をイメージするとワクワクしないだろうか。このブログでは、なぜ日本は連邦制を採用すべきか、具体手にどのような手順を踏んで移行すべきか、どのような再編の結末が理想的か、私なりの考えをまとめお伝えしたい。
このブログがより良い未来の構築に役立てば幸いです。