鬼がわらう

1人読み台本です。 


私:鬼が…嗤(わら)う…
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私:心の奥底に巣食う鬼が、表面化した時…
私:それは私が誰かの魂を狩る時…。
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私:そんな言い方をすると大それたことに聞こえるが…
私:その場面はそれなりの頻度でやってくる。
私:自分の嫌なことをされた時。悲しくて仕方ない時。自分だけでは気持ちを消化しきれない時…。
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私:それは必ず出てくる。
私:黒いモヤが心を覆い尽くすと…
私:鬼がケラケラと嗤いながら姿を現す。
私:そして、……鬼は私の頭の中で人の魂を狩る。
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私:言葉にストッパーをかけず言いたいことを言う。
私:本来の私ではできない「冷静に、只々、静かに」鋭い言葉で刺し…時には大声で思いを吐き出しながら
私:そして……魂を狩る。
私:魂を狩るのは…私。
私:鬼は嘲(あざけ)ながら嗤(わら)いながら、私の心を逆撫でるだけ……
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私:ふと気づく、鬼は私であることに。
私:何度狩っただろう…
私:何人狩っただろう…
私:もう数えられないくらい狩った…
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私:そしてしばらくすると、鬼は心の奥底に帰ってゆく。狩った魂と共に、とても満足気な笑顔で…
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私:私はスッと目を開ける。
私:目の前にはたった今狩ったばかりの魂のなくなった〝人間のようなもの〟
私:それが目の前に立ち、私に雑音を聞かせてくる。
私:貼り付けた笑顔と作った声で対応する。
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私:私が狩った…〝人間だったもの〟…
私:何度狩っても雑音は消えない……
私:ピーチクパーチク子鳥のさえずりならまだしも聞くに絶えない雑音ばかり!!!!何故!!!!!!!何故消えない!!!!!!!なぜっ!!!!!
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私:(深呼吸)
私:私が願うのは……ただひとつだけ。
私:「現実には…なりませんように…」
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私:そんな願いと裏腹に…鬼が目覚め始めている…
私:それは今までの鬼ではなく
私:より現実的な何か…
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私:〝私〟が爆発しない事を日々、願うばかり…
私:〝私〟が呵(わら)える事を目指すばかり…

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