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日常から離れて自己を見つめる。生命力あふれる「森のリトリート」体験
こんにちは。RELATIONS代表の長谷川です。
今回の記事は、森のリトリートでの体験についてです。RELATIONSのパーパスである「会社に生命力を」の解像度を高めるヒントをいただくことができたので、その点について書いてみようと思います。
森のリトリートとは?
森のリトリートについて、ホームページにはこのように記載されています。
森のリトリートは、森の中で心身ともにリラックスし、深く内省し、互いに対話することで、自分自身や事業の原点について本質的な気づきや洞察を得るための2泊3日の合宿型プログラムです。
リトリートは、英語のretreatがその語源になっています。歴史を辿ると、14世紀後半は「行動や運動から退くための軍事信号」を意味していたそうです。15世紀からは「隠遁の地」という意味も加わり、19世紀初頭には「精神患者のための施設」という意味も加わります。
昨今の文脈では、日常から少し距離を置いて心身を整え、リフレッシュするというような意味で使われることが多いですよね。「現在置かれている場所から離れる」という概念が通底していますね。
今回扱う森のリトリートは、慌ただしい日常から少し離れ、森という場所を存分に活用して心身を整えていくという感覚で捉えていただくとイメージ通りではないかと思います。
実際のプログラムは、「一人で森に入り、自分の好きな場所にいること」と「焚き火を囲んで、参加者と気づきを対話すること」を交互に繰り返していきます。これがすごく良い体験でした。
参加のきっかけは、山田 博さんとの出会い
きっかけは、たまたま参加した自然経営研究会で山田 博さんのお話を聞いたことです。その思想に共鳴し、『森のように生きる』という書籍を手に取り、拝読しました。そこからさらに興味が湧き、いつかは森のリトリートに参加したいなと思っていました。
新型コロナの影響で長らく開催が見送りになっていたのですが、今年に入りひょんなことから森のリトリートのHPへアクセスすると、和歌山県の天空の森での開催があるとの情報を発見し、すぐに申し込みました。
その後、RELATIONSがホワイト企業大賞の次世代パーパス経営賞の授賞式に参加した際、山田 博さんと偶然お会いすることに。天空の森の話をしたところ、博さんから「実は千葉の鴨川で俺がリードする場があるんだよ。たまたま、和歌山での開催と同じ日なんだけど。」と言われ、自然な流れで鴨川に場を変えて参加することになりました。
この流れだけでも、不思議なご縁がつながっている感覚があります。
千葉の鴨川にある「小さな地球」と呼ばれる素敵な場所
森のリトリートが開催されたのは、千葉の鴨川にある「小さな地球プロジェクト」という1,000年大切に守られてきた棚田や古民家、里山をコモンズとして、人と人、人と自然、都会と田舎をつながげる活動をしている場でした。
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天水棚田と呼ばれる雨水のみで米作りをしている田んぼです。自然の美しい風景がそのまま今に継承されている素敵な場所です。森のリトリートでは田んぼの裏手にある里山にある森へ入りました。
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宿泊したのは、「したさん」と呼ばれる古民家で、東京工業大学の塚本 由晴教授がデザインなどを手掛けられています。里山や庭のランドスケープが本当に素敵で、人と自然が共生しているのが伝わってくる場所でした。
小さな地球の代表の林良樹さんからも直接お話をお伺いすることができ、どのようにこの場が育まれてきたのかを知り、ますますこの場所への共鳴度が高まりました。
いざ、森へ入る
森へ入る前に、呼吸法をまず学びました。
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都会で普段過ごすモードから移行するために、ゆったりとした呼吸法や、ソフトフォーカスの目線を意識し、全体を見ていくことを教えていただきました。
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一列になって、森へ皆で入ります。自分が気になる場所を見つけることを意識しながら奥へと徐々に入っていきます。
森の中で私が選んだ場所
私はいくつか気になった場所がありましたが、最終的には里山にある2本のマザーツリーを選びました。
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里山の中でも一際大きなマザーツリーが2本並んで立っている場所で、壮観な風景が広がっていました。数百年は経過しているであろう樹齢の木を見つめながら、その長い年月に思いを馳せるだけで、さまざまなことを感じました。
3日間の合宿中、この2つの木の近くに交互に座り、ときには俯瞰して見れる場所に移動して、というのを繰り返しました。
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左側のマザーツリーの近くに座ると、不思議と祖母との思い出が蘇ってきました。
その思い出を深く内省していくと、私が20代前半のとき、祖母が要介護の状態の時期にしっかりと向き合えなかった自分自身への後悔の念が浮かび上がってきました。当時は父親が私が22歳のときに亡くなり、自分の仕事も忙しく、家庭のことに目を向けることができず、祖母のことは母に任せっきりになっていました。
最期のときも、海外出張で側にいれなかった悔みが、未消化のまま自分の中に残っていたことを認知しました。
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右側のマザーツリーの近くにいくと、今度は祖父や父親のことが思い起こされました。
父が亡くなってから、「がむしゃらに働いて家族を支えなければ」という思いで過ごしてきたこともあらためて思い出しました。
ふとこの木の中腹に割れ目に、私のカバンがサイズ的にちょうど置ける場所があり、そこに何気なく置きました。(写真の絵がそのようになっています。)
そのまま俯瞰して見れる場所へ移動したとき、ふと自分の肩に背負ってきたものを置けたような、不思議な感覚が芽生えました。父親や祖父の分まで人生をいきなければならない、と自覚していた以上に気負っていた事実に気づくことができました。何だかふっと身体が軽くなったのを覚えています。
参加者と焚き火を囲む、ゆたかな時間
森から出たあとは、参加者のみなさんと焚き火を囲みます。
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それぞれが経験してきたことを、ただただ話していく場。
この焚き火は私とって非常にゆたかな時間になりました。他の参加者の経験を聴くことでたくさんの発見がありましたし、また自分の体験と近いエピソードには、ジーンと来る場面もありました。
そして、私自身の体験も話すことで、新しい気づきも湧き上がってきました。まだ心の中で消化しきれていなかった、祖父や祖母、父母に対しての想いが、氷が溶けるようにゆっくりと消化されていったような感覚があります。
火を囲んで対話するというのは、あらためてパワフルだと感じました。
森のリトリートを終えて
3月に森のリトリートを終えてから、約2ヶ月経過がしました。
あの3日間は、私自身の根源に少し触れられた感覚があり、忙しい日常の中ではなかなか持てない貴重なひとときだったように思います。パーパスにも入れている「生命力」を宿すということについて、身をもってそのエッセンスを実感することができました。
リトリートで得た気づきが、次のアクションへのエネルギーにもつながっています。
それは、長谷川家のルーツを辿ることです。父の兄弟も高齢になってきており、昔のことを知っている親戚の数も減っています。あらためてこのタイミングで皆さんにお会いして、祖父や祖母、父母の人生を違う角度から観てみたいな、と。自分の根っこにも色々と気づく機会になると思っています。
今日はこんなところで。
ええ一日にしていきましょう。