親友の母と語らう冷やし酒
今年のゴールデンウィーク、私は旅に出た。旅という旅に出るのは1年半ぶりで、それはそれは心が躍った。
旅先は、愛媛。親友の地元だ。
愛媛と聞いてみかんを思い浮かべる人は多いだろう。蛇口をひねったら出てくるみかんジュースにテンションが上がった人がここにいる。
そんなみかん大国愛媛県は、とても文学的な側面も持ち合わせている。
県庁所在地(松山市)は、夏目漱石『坊ちゃん』のゆかりの地であり、俳人・歌人として名高い正岡子規の出身地でもある。
街のいたるところには「俳句ポスト」が設置されており、俳句甲子園全国大会は松山市で開催されるのだとか。
松山を去る前に絶対一句詠もう。
そう決めて、親友の地元を堪能した。
そして。
夜は親友のお母さん(初対面)と、3人で地元のお店を訪れた。
日本酒が豊富に揃えられたお店のカウンター席に、3人並んで座る。なぜか私が真ん中で。
少し緊張もしたけれど、お母さんの温かい雰囲気のおかげで、すぐに打ち解けられた。
乾杯をし、箸が進む。私と親友の思い出話や、私の夢の話、これまでにしてきたことなど、たくさんお話させていただいた。
今思い返すと、私の話を聞いてもらうばっかりで、全然お母さんのお話を聞けていなかったな…
正直私はお酒がそこまで強くない。
いつも2杯目にはノンアルコールを頼む。しかしこの時は、旅先でのウキウキ、親友の母と飲む高揚感、とても美味しい料理にそそのかされ、日本酒をたくさん嗜んだ。
上品なお酒をゆっくりと飲んでいたからか、酔いもまわらず、ひたすらに舌鼓を打つ。
最高の日だった。
私のしてきたこと、私の考えていること、私の夢、全部を話せた。
自分の親に話すときよりも、素直に率直に。
自分の親には、話せないエピソードの一つや二つあるけれど、親友のお母さんには、言えない話がないから、どんな話でもできてしまった。
そして、全てを感情豊かに聞いてくださった。
嬉しかったなぁ。
「愛媛またおいでなー!」
そう声をかけてくださったお母さんの笑顔が忘れられない。
必ずまた来よう。道後温泉の工事が終わる頃に。
久しぶりの「旅」の締めくくり。
親友の 母と語らう 冷やし酒
俳句を詠んで、名残惜しくも愛媛をあとにした。