私が旅人になった日~道端でスケッチブックを掲げた日~1日目~
これは2019年2月のお話。
人生で一度はヒッチハイクしたいなと思っていた私に舞い込んできた、友達からの、のるしかない提案:ヒッチハイクせん?
迷うことなくOKの返事を出し、日程と行き先を決めた。
もちろんヒッチハイクなんてしたことがなく、本当にできるかどうかも分からぬまま、私はバックパックに荷物を詰めて、100均にスケッチブックとマジックペンを買いに行った。
私たちが決めたのは、それだけだった。
1台目
友達の家がある京都市内。高速に入りやすいのは…と前日にリサーチしたところ、竹田駅から歩くとよさそうなことが発覚。
なにせ初めてのヒッチハイク。
方向感覚もここでいいのかも分からぬまま、スケッチブックを掲げました。
なかなか止まってくれる車が見つからない中、一旦近くのコンビニで暖を取る。
店員さんにおすすめのヒッチハイクポイントを聞くと、京都南ICの近くでたまにヒッチハイカーを見かけるとのこと。
再び「大阪・神戸方面」と掲げると、ほどなくしてcrownに乗ったおじさまが、「大阪行くけど乗っていくか〜?」
人生で初めて拾ってもらえた時のテンションの上りよう。
本当に本当に歓喜で興奮し、何度も何度もお礼を言いました。
おじさまは何度かヒッチハイカーを拾ったことがあるらしく、私たちにたくさんのことを教えてくださいました。
どういう道路状況のところが停車しやすいか…などのコツから、人生の教示まで。
齢70。いつまでもお若くいられるのは、おじさまの心がとても豊かだからだろうなぁと拝察しました。
結局兵庫県まで送ってくだったおじさま。
心に残った言葉は、「人生は思い出作り。いろんなとこ行くとええよ。行く時に、しっかりその土地でなにかあったのかを勉強しておくと、楽しさが増すよ。歴史を勉強すると、今の日本が分かる。」「まだ70歳。まだまだこれから。」
長く生き、たくさん旅をしていないと、説得力のない言葉だなと思いました。
心が浄化されました。
2台目
ひとまず高速に乗りたくて、「SA三田方面」と掲げること10分。道端で激しく自己主張していたら、背後から「おーい」と一声。
私たちを通り過ぎて止まってくださった、優しいご夫婦がいらっしゃったのです。
ありがたい……!!嬉しい……!!
三田にお住まいのご夫婦は、三田まで下道で帰るところだったらしく、高速に乗る予定ではなかったそう。
私たちが高速に乗りたいことを察して、なにも言わずに高速を使ってくださいました。
どこかのサービスエリアで…と話すと、西宮名塩SAで下ろしてくださり「がんばってね!!」の一言。
素敵すぎる…
笑顔で呼び止めてくださり、とても勇気をもらいました。ありがとうございました。
3台目
想像以上の順調さに西宮名塩SAでわちゃわちゃワイワイ。
すると、同じくヒッチハイクをしているお兄さんを発見。なんでも長野から福岡まで行くのだとか。しばらくお話させてもらって勇気をもらってから、近くで「鳥取・岡山」と掲げました。
後ろから声をかけられるのに、時間はかかりませんでした。
「岡山行くんすか」と爽やかなお兄さんの一声。
鳥取砂丘に行きたいことを話し、岡山方面で鳥取方面との分岐点ギリギリのところまで乗せてもらうことに。
…ん、これさっきのヒッチハイクのお兄さんも乗ればいいのでは?と思うと同時に声が出ていました。
(今思えば私が言うセリフではなかったですが)「一緒に乗りますか?」
ということで、女2人+男1人のヒッチハイカーを、お兄さんの車に乗せてもらいレッツゴー!
岡山へ帰宅途中のお兄さんは、滋賀県で大学時代の友人の結婚式に参列した帰りだったそう。
琵琶湖でポケモンGOをしたのもいい思い出になったとのこと(笑)
私が滋賀県出身なことを伝え、「琵琶湖にギャラドス出るんですよ」と情報提供したら、「引き返そうかな」。笑いました。
ご友人の結婚式で、昨夜は遅くまで騒いだらしく、眠気覚ましにヒッチハイカーを拾ったらしいです。ご要望により、全力で騒ぎました。
ありがとうございました。
4台目
龍野西SAで「鳥取砂丘」と掲げること1時間。
ここから鳥取方面に向かう方はとても少ないようで、話しかけてくださる方も「倉敷までなら」「広島までなら」と、広島方面が多数。
なかなか巡り合えず…。
なかには「もっと姫路とか三木とかでやればいっぱいおるやろうに」とアドバイスくださった方もいらっしゃいました。
そうか…西まで来すぎたんですね…。
相方と相談し、今日のところはひとまず岡山を目指し、明日別ルートで鳥取を目指すことに。
目的地を倉敷に決め「岡山」と書いたスケッチブックを掲げたところ、ものの5分でベンツ兄さんが出現。白のベンツいいですね。
止まるかどうか、すごく迷ってそうだったベンツ兄さん。無理やり目を合わせて手を振り強欲にアピールする私たち(笑)
博多まで帰る途中だそうで、乗せて頂けることになりました。(初ベンツ)
車内で目的地(本当は鳥取砂丘を目指しているけど、今日は岡山で…)について話すと、「それなら鳥取行こうか?」と仏の様な一言。
「いやいや、さすがにそれは恐れ多いです…」と言いながらも、内心は(え、まじ?乗せてくれる?めちゃ遠いよ?)
……これはご好意に甘えてもいいものか?と迷いましたが、せっかくそう言ってくださってるんだもの。強欲にいこう。
「じゃあお言葉に甘えてお願いします…!」
バスかトラックしか走らないような播磨自動車道を一気に北上し、いざ念願の鳥取砂丘へ。かれこれ3~4時間くらいご一緒したかな?と思います。
本当にありがとうございます。
せっかくなので、と鳥取砂丘も一緒にぐるり。だだっ広い一面の砂を大満喫しました。思ったよりも急な坂とサラッサラの砂に足を取られつつ爆走。最高でしょうか、いや、超最高です。
鳥取砂丘は夕方に行くのが幻想的でオススメらしいですね。
図らずして、ベストなタイミングで訪れることができて幸甚の極みです。
今日のところはこれで切り上げて、明日は鳥取を観光しながら出雲を目指すことにしました。
今日の宿を探さなきゃ~と相方と相談していると、私たちの身を案じたベンツ兄さんが、宿をとってくださいました。
なんだって…
夜ご飯をご一緒したのですが、今日の微々たるお礼に、島根和牛ステーキを召し上がっていただきました。一口もらったけど、美味しかった。
私と相方は、ハヤシライスをペロリ。
これまでにないくらい美味しく感じました。感謝の味かな。
半日近く一緒に過ごしたベンツ兄さんは、ホテルまで送ってくださり、ホテルの前で握手をしてお別れ。兄さんの去り際、5回点灯した白のベンツのハザードランプを、私は忘れません。
本当にこの日は、多くの人の温かさに触れた一日でした。
そろそろ泣いてもいいですか?
1台目、初めて私たちを乗せてくださったおじ様の言葉が、身に沁みます。
「今日はこれからの人生の一番最初の日やからね。ホンマに一日一日を大切にせなあかんよ。」
肝に銘じます。
私が旅人になった日~道端でスケッチブックを掲げた日~2日目~|はるな|note