私の好きな美術作品
社会人になり首都圏に住むようになってから、私は定期的に美術館に足を運んでいる。
様々な企画展を実施してくれる美術館が、休日すぐに行ける範囲にあるのは、首都圏に住んでいる特権だと思う。
美術館訪問が積み重なるにつれ、その楽しみはどんどん増えていく。
あ、私こういう作品が好きなんだ…!と実感できるのもひとつ。
この作品、前に見たあの作品に似ているな…?と調べると、その画家たちが影響を受けたり、影響を与えたりしていることが分かり、当時の画家たちの関係性に思いを馳せられるのもひとつ。
私が全く同じ風景を見た時、私にはこの世界が何色に見えるだろうか、と想像を巡らせられるのもひとつ。
とにかく絵を見るのは楽しい。
ここでは、私の好きな絵画を3枚挙げる。絵画鑑賞のご参考にしていただければ幸いである。
『海港』クロード・ロラン 1644年
社会人1年目、美術館に行ってみたい!と思い訪れた上野の国立西洋美術館での企画展「ロンドンナショナルギャラリー展」で出会った1枚。
この企画展の目玉はゴッホのひまわりだったけれど、個人的にはクロード・ロランの『海港』に出会えたことが、一番の収穫だった。
この絵を見るなり、柔らかな太陽と水面に反射する陽光の眩しさに、思わず目を細めてしまった。
しばらくこの絵の前から離れられなくなったのを、今でも覚えている。
心が洗われた。
『陽を浴びるポプラ並木』クロード・モネ 1891年
モネといえば『睡蓮』を思い浮かべる人も多いだろうけど、個人的にはこの頃のモネが描く光が大好きだ。
モネの目には、世界がこんなにも光輝いて映っているのかな、私がこの景色を見たら、どんな風に見えるのだろうか、と、芸術家が芸術家たるゆえんに思いを馳せ、その光の美しさに目を見張るのである。
『ポン・デ・サール橋』ポール・シニャック 1912/1913年
ポン・デ・サール橋は、パリのセーヌ川に架かる橋である。
明るい印象を与えてくれる彼のタッチが、私はとても好きらしい。
私はどうやら、シニャックの他の作品にも心惹かれるようで、彼の作品のポストカードをいくつか持っていた。
シニャックの作品の特徴は点描で描かれているところだ。
点描で、よくもここまで遠近感が出せるものだと、色づかいも含めて感嘆した。
新印象派という派閥があることも、彼がその立役者の一人であることも、この絵を見た時に初めて知った。
鑑賞の度に学びが深まる絵画の世界。
徳島県の大塚国際美術館にも訪れてみたいものである。