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女の業と性の獰猛な美しさと狂怖、『愛のコリーダ』

二十歳くらい、だったかな。
「観てみろ」と彼の周りのオトナの男の人達が、無修正の海賊版DVDを貸してくれた。

海賊版、無修正。
その2ワードだけで、なんか怪しい、、、
「またオトコの幼稚な遊びゴコロで、若い私に回してきたんだろうな、コレ。」と、借りたものの大した興味もなく、「テキトーに見よっ」ってな感じにしか思ってなかった。

……🔪🔪🔪

愛して愛して、常軌を逸してしまうほどまでに、ひとりの男を愛して。
自分だけのものになればいいのにと願い、男を殺して、男根を切断し、持ち去った阿部定という女の事件を題材にした映画。

これだけ聞くと、サイコパスで猟奇的な映画と思えるけど、全く。
これでもかというくらい動物的で、生々しい性と愛。
大袈裟ではなく、画面越しに精子や愛液の臭いがしてきそうな程、蒸されたように密度が高く濃厚な映画。

「疼いた」。

恋愛なんて甘っちょろいもんじゃなく、
命も人生も捨ててしまっても構わない程の覚悟を持って、ひとりの男に飛び込む女の業に、美しさと恐ろしさをみた。

…と同時に阿部定は、私自身でもあると言い切れるくらい、激しく共感した。

(ちょうどその後、同じような時期に歌舞伎にハマっていて、人間国宝である坂東玉三郎が演じる女形を観た時も、同じように感じた。)

美しさと恐ろしさは表裏一体。

まだまだ若くて破天荒な年齢で、それを観てしまったのは幸か不幸か、、、偶然か必然か、、

というくらいに、私の女という性に影響を与えた映画。

女なら、わかるでしょ?
貴方を殺してしまいたい程の、
貴方になら殺されてもいい程の
マグマを内に飼っていること。

でも、それはあくまで渦。技術じゃない。

女は枯れるのか。
技術は廃れるのか。
どうすれば、うまく円熟に繋がるのか。

10年毎に、この映画を観たい。






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